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PFFアワード作品紹介

PFFアワード1992

作品名 監督名 作品名 監督名
『OGATAを捜す'92』 太田慎一 『STORM IN A TEACUP』 マティーン・デ・ラ・ハープ
『蝸牛庵の夜』 横田丈実 『点滅の朝』 川口良太
審査員特別賞
『家族ケチャップ』
工藤義洋 優秀作品賞
『to Mayu』
隅井朝子
『花粉症の森』 大重裕二 『流れるままのグリーン』 杉浦昭嘉
WOWOW賞
『煙之花 花之煙』
嬰木義行 佐藤工業賞
『PARALYSIS』
徳山高志、元子
最優秀男優賞
『Summer Cityに寄らず』
青島太郎 『春のささやき』 佐分克敏
『SOMETHING BEYOND MY THOUGHTS』 横山智子 日立賞
『LEFT HANDS STORY』
加藤紀子
グランプリ、最優秀女優賞、観客賞
『灼熱のドッジボール』
古厩智之 『六月の太陽』 三浦靖憲

応募総数 478本 入選 16本

『OGATAを捜す'92』

監督:太田慎一

大学時代の映画研究会の友だちだったOGATA。卒業前に失踪し、現在は行方不明となっているこの友人を探すという設定で、ドキュメンタリー・タッチのドラマが展開していく。主人公はビデオ・カメラを担ぎながら、当時の友だちを訪ねOGATAの消息を聞いていく。そんな主人公の姿はまるで(みんなが会いたがっている)OGATAを探しているんだと宣言してまわるのが目的のようにさえ見える。友人たちは「何で今さら」と呆れ、「お前も早く大人になれよ」と諭す。やがてOGATAが九州にいることが分かり、主人公はカメラを持って会いに行く。久し振りに会ったOGATAは、ぽつりぽつりと失踪した理由や今の生活のことを語り始めた。友人を探すという行為を通しての自分探しの物語。限りなくドキュメンタリーに近い体裁をとりながら、モラトリアム人間である主人公の心理構造に巧みにアプローチしていく。

1992年/ビデオ/カラー/29分
監督・制作・脚本:太田慎一
撮影:太田慎一、岩切章二、甲斐富夫、他
出演:小方勝利、太田慎一、岩切章二、東 一文

『蝸牛庵の夜』

監督:横田丈実

青い空を白い雲が流れていく。場所は京の寺、浄念寺。住職の息子は日がな1日、何をするでもなく、ぼんやりと過ごしている。やってくるのは、酒好きの先輩1人だけ。季節は、2人が酒を酌み交わすうちに、ただ静かに過ぎていく…。緑萌える春、祭囃子の夏、月の照る秋、雪の降る冬。そんな折々の季節の風物を盛り込みながら、過ぎていく時間の流れを描写した映像詩。的確なフレーミングが生み出す奥行きのある画面、風の流れや光の微妙な変化を捉えたフィックスのカメラ、葉裏のそよぎまで取り込んだ録音など、そうしたすべてが相まってまさに映画的としかいいようのない“ドラマ”が展開していく。“脚本にできない映画、それでいて物語のある泣ける映画”をつくりたいという作者の意図は、画面の隅々に滲み出ている。無為に見える日々がどれほど豊かなものであるかを、光と音とゆったりとした時間の流れの中に表現した、情感豊かな作品だ。

1992年/8ミリ/カラー/48分
監督・制作・脚本・撮影:横田丈実
音楽:釋臣洋文
出演:扇谷泰伸、大原一仁、横田昌子、横田兼章

審査員特別賞

『家族ケチャップ』

監督:工藤義洋

異色としか言いようのないハードなドキュメンタリー。主人公は工藤監督の友人。幼いころ、両親が離婚した彼は暗いと一言で言ってしまうにはあまりにも悲惨な環境で育ってきた。映画はそんな一家のプライバシーをすべて露出させていく。自分と母を捨てて蒸発した父。家に愛人を連れ込んだ母。オレが孤独感に苛まれていたあの時、両親は何を考えていたのか。それをハッキリさせるために彼は、再婚して子供までいる父の家庭や、彼に仕送りをするために身を粉にして働く母のもとへ行き、対決を迫る。その過程に密着し、赤裸々な事実をフィルムに収めていくカメラ。タブーをぶち破ろうと結託した工藤監督と主人公が、カメラの前と後ろで繰り広げるギリギリのせめぎあい。そこに迸るエネルギーはドキュメンタリーという手法でしか表現できない真実だ。

1992年/16ミリ/カラー/37分
監督・脚本:工藤義洋
制作:小川浩二、中原貴世子
撮影:藤井 勇、忠田隆造

劇場公開
海外映画祭
1993年 オーバーハウゼン映画祭 (ドイツ)
1994年 ロッテルダム映画祭 (オランダ)

『花粉症の森』

監督:大重裕二

郊外の住宅地で子供ばかりを狙った連続殺人事件が発生。少年マモルは事件に全て共通点があることに気づき、友人のタケシに打ち明ける。死体からは必ず歯が抜かれていたのだ。そして新たな犠牲者もやはり歯を抜かれていた。その時2人は現場で保安官らしき人影を目にする。この町の大人達はみんな敵だとタケシは言い、「本当に痛いときは声も出ないんだぜ」とマモルを怖がらせる。何かにとり憑かれたような表情でパチンコを握りしめ、保安官を攻撃しようとするタケシ。やがてマモルはタケシの家で意外なものを発見してしまう…。
2人の少年を演じているのが女性なので一見ファンタジーめいているが、侮るなかれ、緻密に計算されたサスペンスとなっている。クライマックス、屋根裏でのアクション・シーンを捉えたカメラワークもバツグンの上手さ。前半のアクションのテンポのよさで、一気に見せてしまう。

1992年/16ミリ/カラー/48分
監督:大重裕二
脚本:大重裕二、伴 清敬 撮影:中山愉佳子
出演:久保田かおる、伊藤由紀、森 喜行

WOWOW賞

『煙之花 花之煙』

監督:嬰木義行

「和子ちゃんは引っ越すことになりました」
草原の中で泣いている和子の姿に、そんなナレーションがかぶさる。声の主は、和子の親友で療養所にいる春子。彼女の見舞いに行った和子は、「想像してみて」といわれて花に巻かれた和子の姿を思い描いた。その帰り道、森の中で同級生の山田君に後をつけられた時、和子は木の枝に上りながら、今度は自分が花に巻かれているのを見る。そんな不思議な思いを抱いたまま和子は知らない町に来た。新しい友達と焼却炉の中で煙草を吸った和子は、すっかりその場所が気に入ってしまう。そしてある日、自転車で遠出した時、和子は懐かしい療養所がなくなっていたことを知った。そこには空き地があるだけ。和子はその場にうずくまって泣いた。
「それは春子が死んで7日目のことでした」
記憶のはかなさと忘れてしまうことの寂しさ。思い出が薄れていくことの切なさを幻想的なタッチで映像化した、花と緑のファンタジー。

1991年/8ミリ/カラー/30分
監督・制作・脚本:嬰木義行
撮影:吉永健司、嬰木義行 音楽:小西英登
出演:北山美樹子、堀 恭子、井上勝己、石山美由紀

最優秀男優賞

『Summer Cityに寄らず』

監督:青島太郎

会社の金を使い込んだあげく、“宝探し”を夢見るイチタ。彼の幼馴染みでその会社の社長でもあるケンザブロー。ある日イチタのもとに小さな拳銃が届いたのをきっかけに、2人は盗んだ車で成り行きまかせの旅に出る。何のためにどこを目指すのかも定かではない旅の途中、2人は金髪の女と無口なバイク野郎のカップルを拾う。この2人も現実からかけ離れたところで勝手に生きている。そんな4人を乗せた車はあてどなく走り続けた…。
何気ないけど洒落ているセリフ。バックに流れる軽快なオールディーズ・ポップス。非現実的な設定で、疾走感と倦怠感がない混ぜになったムードを漂わせるイカしたロードムービー。ロケ地は真っ直ぐな道がどこまでも続く北海道。広大な風景の中での撮影は、登場人物たちのキャラクターをくっきりと浮かび上がらせていく。中途半端にしか生きられないアウトローたちの旅を、型にはまらない自由な演出で颯爽と見せている。

1991年/8ミリ/カラー/90分
監督・脚本:青島太郎
制作:折原和弘 撮影:宮沢 厚
出演:塩田泰造、中沢隆文、苅部園子、石川北二

『SOMETHING BEYOND MY THOUGHTS』

監督:横山智子

ある日、1人暮らしの美香のポストに入っていた1枚のカード。“あなたと是非話がしたい”と書かれたそのカードがちょっとブルーだった彼女の生活に波紋を広げていく。差出人の柳田という名前に心当たりは無いし、友達の「まじめに受け取っちゃダメよ」という忠告ももっともだと思う。でも美香は柳田が悪い人物だとは思えない。2枚、3枚と増えていくカード。思い切って電話をしても、留守番電話の音声テープが答えるだけ。彼からの電話も美香が留守のときばかり。スレ違い続きでイライラが募りはじめた頃、柳田が待ち合わせの場所と時間を指定してきた。だが、その日その場所で約束の時間が過ぎても、彼は現れなかった。そして美香は思いも寄らない事実を知る…。
自然な演出で浮かび上がる“当世独身女性気質”。独身女性の生活をリアルに描いた等身大のラブ・ストーリーだ。カードや留守番電話といった小道具を無理のない設定で使いこなしたシナリオの腕前が光る。

1992年/ビデオ/カラー/50分
監督・制作・脚本:横山智子
撮影:長谷川光昭
出演:谷川美香、日上顕夫、山崎恵美、横山智子

グランプリ&最優秀女優賞&観客賞

『灼熱のドッジボール』

監督:古厩智之

暑い夏のある日。1人の女子高生が転校していく。校門の前で仲間たちに別れを告げていたその時、駅から発車のベルが聞こえてきた。次の列車まであと40分…。かくして河川敷で最後のドッジボールが始まった。みんなの頭の上を音を立てて黄色いボールが飛んでいく。彼女を好きだった男子生徒2人の視線がからみあう。その1人が彼女に声をかける。
「おまえ靴ずれしたんだろ」
すると彼女は裸足になってその男の子に抱きついた。やがて駅から聞こえてくる発車のベル。
「バイバーイ!」
複雑な気持ちのみんなに大きく手を振って彼女は駅へと向かう…。
誰にでもある10代の甘酸っぱい思い出。決して目新しくはないこのテーマをドッジボールのゲーム上でストレートに表現していく。カットのつなぎやカメラワークも実にユニーク。放課後ならではののんびりとした時間の流れと発車の時刻が迫る緊迫感が渾然一体となって、別れのドラマに起伏をもたらしている。

1992年/16ミリ/カラー/15分
監督・制作・脚本:古厩智之
撮影:青柳省吾 録音:今村 豊
出演:清水優雅子、松島 創、仲野麻貴

劇場公開
海外映画祭
1993年 シンガポール国際映画祭 (シンガポール)
モンテカーニュ国際映画祭 (イタリア)
1995年 エクスポージャー映画祭 (オーストラリア)
1997年 イギリス短編映画祭 (イギリス)
オルレアン国際映画祭 (フランス)
2004年 全州国際映画祭 (韓国)
2013年 ニッポンコネクション
NIPPON VISIONS部門「PIA FILM FESTIVAL:CLASSICS」
(ドイツ)

【貸し出し対象作品】料金:15,000円(税別)/貸し出しフォーマット:16ミリ

『STORM IN A TEACUP』

監督:マティーン・デ・ラ・ハープ

日曜日の朝。少年がキッチンでお茶を飲んでいる。その横にいるのは、黒人のメイド・マギー。自分のカップを床に落とした少年が、マギーのカップに口をつけた時、母がキッチンに入ってきた。母は無言でマギーが手渡したカップを取り上げ、少年に歯を磨かせる。少年はマギーのことが気にかかった。やがて母とミサに行った彼は、お祈りをしている時、夢とも現実ともつかない光景を見た。白人ばかりの礼拝堂の入口に立つマギーの手を無理やり引いて、少年は彼女を招き入れるのだった…。
作者のマティーン・デ・ラ・ハープは、南アフリカ共和国でTV用のドキュメンタリーを撮っていたという女性。適切なカメラワークと凝縮された構成は、確かにプロの肌触りだ。人種問題という、ともすれば重くなりがちなテーマをウィットの利いたテイストで料理している。10分という短い時間の中で、伝えたいメッセージを余すことなく伝え切る手腕は、見事の一言。

1992年/16ミリ/モノクロ/10分
監督・制作・脚本:マティーン・デ・ラ・ハープ
撮影:マティーン・デ・ラ・ハープ、ルーカス・ジュガラ 撮影補助:ディヴィッド・シーガル
出演:トゥーリ・ドゥマクデ、ケニー・ラ・マドリッド、パム・ウィックルス

『点滅の朝』

監督:川口良太

ゴミ清掃員の青年2人が夜明け前の無人の高層ビル街で仕事をしている。彼らの横を中年のサラリーマンが通りかかり、わざとらしく酒瓶を割って去って行った。その後ろ姿を暗いまなざしでじっと青年たち。2人には、1ヶ月前に女性の死体を発見した時の気分がまだ残っている。黙々と酒瓶を拾う1人の横で、もう1人がゴミの山の中から猫が入っているらしきビニール袋を見つけた。
「きっとまだ生きているよ」
2人はうつむきながら呟いた…。
6分を長いと見るか短いと感じるか。それはさておき、鮮烈な映像センスで一瞬にして多くのものを語って行く力のこもった作品である。「観客を退屈させないために緊張感のある映画を作りたい」というのが川口監督のポリシー。その言葉通り、画面は隅々まで緊張を孕み、一触即発のムードが漂う。セリフの量を抑え、雄弁なBGMと無機的な画面をマッチさせながら、都会の絶望と希望を語っていく。

1992年/ビデオ/カラー/6分
監督・脚本:川口良太
制作:斉藤健一 撮影:小村幸司
出演:山口政景、浅川 仁、福山かおり、三谷真谷

優秀作品賞

『to Mayu』

監督:隅井朝子

いとこの長女・真由へ宛てた、モノローグ形式の“手紙映画”。
「まゆちゃんへ。久しぶりに会えてとても嬉しかったです」
そして作者は自分の経験を語り始める。胸の膨らみが大きくなり、病気だと思って医者に診てもらった少女の頃。2年前、乳房にシコリができた時、癌検診を受けたこと。その時初めて自分の膣と子宮を目にしたこと。画面は、検査中の作者の姿に川辺で遊ぶ真由の姿をインサートしながら、成長期の不安と寂しさ、その先にある自己の性の自覚を表現していく。今の真由が感じている不安はかつて作者自身も感じていたこと。同じ思いを抱えていたという事実を正確に伝えようとする作者の意図は、やがて見知らぬ人間たちへの問いかけとなっていく。彼は、彼女は、どれだけ自分のことを知っているの?伝えたいメッセージを伝えるために必死に模索する作者の切実な思いが全編にみなぎり、誰にとっても普遍的なテーマを打ち出している。

1992年/16ミリ/カラー/8分
監督・制作・脚本:隅井朝子
撮影:デナ・ペニントン、クリストファー・アンダーソン、隅井朝子
出演:野口真由、テレサ・リベイロ、隅井朝子

劇場公開
海外映画祭
1993年 シンガポール国際映画祭 (シンガポール)
アジアン・アメリカン国際映画祭 (アメリカ)

『流れるままのグリーン』

監督:杉浦昭嘉

1998年、東京。ケイ子とスミ子の姉妹は留守番電話のメッセージで父の死を知った。異常気象で冬の日が続く。それに呼応するように姉ケイ子の精神状態は悪化し、ついに入院。孤独と不安にかられ、妹スミ子は睡眠薬を常用するようになる。中絶した女友だちユウ子は関係を持った男が自殺した後、南を目指して旅立っていった。さらに、病院を抜け出した姉がスミ子の目の前で電車に飛び込む。テレビではホタルの異常繁殖を伝えている。絶望の淵に立つスミ子は、列車に乗ってホタルの里へと向かう。
病んだ都市の病んだ人々。環境と人間の問題を同時に扱いながら、映画は破滅に向かう地球において生きることの意味を問い詰めていく。「異常な環境の中で身近にいそうな人間の形(精神)がどうなっていくのかを描きたかった」という杉浦監督。肉親や友人の死、異常気象、飛びかうホタルなど、さまざまな事象を安定した文脈で絡ませ、シビアな状況に立たされた女性の姿をじっくりと描いている。

1992年/8ミリ/カラー/79分
監督・制作・脚本・撮影:杉浦昭嘉
出演:菅原三枝子、菅野敬子、岡 薫、清水洋二

佐藤工業賞

『PARALYSIS』

監督:徳山高志・元子

1人の老人のある日の出来事を綴った、シュールなタッチの人形アニメーション。舞台はその老人が暮らす家。入浴していた老人が風呂から上がってらせん階段を降りると、突然、バスローブ姿の青年が大声で何かをわめきながら現れた。驚いた老人が後を追うと、地下室で青年が別な男ともみ合いになっている。落ちて転がる男の首。それからは、めくるめくイメージの世界が矢継ぎ早に展開し、空間は宇宙的な広がりを呈し、様々な物体が浮遊し始める。
「1個のイメージとして制作した」と作者自身が語るように、何らかの物語を読み取るのではなく、目の前で繰り広げられるイメージの流れに身を任すべき作品と言えるかもしれない。グロテスクなまでに細密につくられた人形や、美術品のようなセット。自然な質感を備えた小道具やオブジェ。制作期間に3年を要したと聞けば、なるほどと誰もが頷いてしまうだろうほど、高水準な作品だ。

1992年/16ミリ/カラー/13分
監督・制作・脚本・撮影:徳山高志・元子

劇場公開
海外映画祭
1995年 エクスポージャー映画祭 (オーストラリア)

『春のささやき』

監督:佐分克敏

“僕”は卒業間近の大学生。けれど就職する気はなく、親のスネかじりでいたいなぁと考えている。“社会人なんていやな言い方”としか思えない。僕には2人のガールフレンドがいる。1人は環境問題に熱心なせつ子。そしてもう1人は、知的なタイプのみか子。せつ子はひっきりなしに遊びに来るけど、あくまで友だち。僕が愛してるのはみか子の方だ。だけど彼女の気持ちはハッキリとしない。「結婚して」といったら、簡単に「いいわよ」なんて言うし、知らない外国の話を近所みたいにするし。そうこうするうちに僕も先輩の住むロンドンに行こうと決心し…。
今回の作品は1990年に完成した70分バージョンに追加・削除を施し、再編集したもの。独特なテンポの会話と淡々とした演出が生み出すのは、誰にも真似のできないユーモラスな佐分監督独特の世界。

1992年/8ミリ/カラー/44分
監督・制作・脚本・撮影:佐分克敏
出演:佐分克敏、太田悦子、栗本和佳子、加地秀基

日立賞

『LEFT HANDS STORY』

監督:加藤紀子

1軒の時計店から始まる、2組のカップルの物語。スパゲティ・ハウスで働くコックの石川とウェイトレスの岩本。誰もいない堤防で2人は休憩時間に、なんだかちょっと気の抜けた会話をしている。
「岩本、お前何か欲しいものある?」「えーと、掃除機…」
一方、これから銀行強盗をする伸一と千佳。最後になるかもしれないからと、2人はポラロイドで記念撮影をしている。
「刑務所でも毎日お風呂に入れるのかなぁ」と心配そうな千佳。同じ時間を別々の場所で過ごす彼らのストーリーがパラレルに進んで行く。ただひとつ共通しているのは、両方とも時計をプレゼントすること。そしてその贈り物はどちらのカップルにとっても忘れられない大切な物になること…。かたやフンワリとしたパステル調、かたやキツメの原色。物語の内容に合わせて色調を選んだ作者の感性が、'90年代の恋人たちのピュアな感情を暖かな雰囲気で伝えている。

1992年/ビデオ/カラー/29分
監督・制作・脚本:加藤紀子
撮影:小代 登
出演:森合 崇、西田知佐、吉松 宏、福留優子

『六月の太陽』

監督:三浦靖憲

初夏のある日。引っ込み思案な姉、良子と積極的な妹カナが長髪の大学生、沢田の後をつけている。彼は良子の憧れの君。でも、せっかく話すチャンスができたのに、良子は恥ずかしがって逃げ出してしまう。1人残されたカナは、川に落ちた手帳を探している沢田に根掘り葉掘り色々なことを尋ね始めた。言いたいことをズケズケと言うカナに面食らいながらも会話に乗ってしまう沢田。姉の気持ちを告げようとして接近した彼のそばを離れがたくなっていくカナ。言い争いを繰り返すうち、2人の心はいつのまにか近づいていく。
怖いもの知らずのようで実はとても臆病。そんな割り切れない青春の1コマを綴ったラブ・コメディ。ウキウキとしつつもどこか不安な恋の始まりを軽快なタッチで捉えている。出色なのは意地っ張りなヒロインとボーっとした青年の会話の応酬。出演者の個性にマッチした絶妙なセリフがぽんぽんと飛び出し、思わず笑い転げてしまうのだ。

1992年/8ミリ/カラー/58分
監督・制作・脚本:三浦靖憲
撮影:中里幸敬、三浦靖憲
出演:番場香菜子、首藤洋平、菊地良子、須釜千佳子

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