第4回受賞者決定!詳細はこちら

深海に生きる魚族のように、
自らが燃えなければ、何処にも光はない

これは、大島渚監督の墓石に刻まれた、監督自身の座右の銘です。
「松竹ヌーベルバーグ」を生み、独立プロダクションを設立して話題作を連打、
カンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞し、世界を視野に活躍するなか、
毎年PFFに応募された8mm映画を大量に観て次世代を応援し続けてくれた大島渚監督は、二十歳の時、
ハンセン病と闘った歌人・明石海人(1901~1939)のこの言葉と出会いました。
かつて大島監督がそうであったように、自ら世界に挑戦し、新しい道を切り拓こうとしている若い映画監督に、
この言葉を添えて「大島渚賞」を贈ります。

大島渚賞とは

大島渚賞は、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする、若くて新しい才能に対して贈られる賞です。
映画の新しい才能を<発見>する「PFFアワード」。
その才能を<育成>する「PFFスカラシップ」。
そしてその先、その才能をさらに世界へ<飛躍>させるための賞が「大島渚賞」です。
かつて、大島渚監督が高い志を持って世界に挑戦していったように、それに続く次世代の監督を、期待と称賛を込めて顕彰します。

大島 渚

1932年、京都府生まれ。54年京都大学法学部を卒業し、松竹に助監督として入社。59年『愛と希望の街』で監督デビュー。『青春残酷物語』『日本の夜と霧』などで新鮮な技法を見せ、一躍脚光を浴びる。61年松竹を退社し、独立プロ「創造社」を設立。以後、『日本春歌考』『絞死刑』『少年』『儀式』などを製作・監督した。75年に「大島渚プロダクション」を設立。76年、日仏合作映画『愛のコリーダ』が海外で高い評価を得て、78年『愛の亡霊』で第31回カンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞。その後『戦場のメリークリスマス』『マックス、モン・アムール』などの海外合作映画を発表し話題を呼ぶ。99年『御法度』を制作。2001年フランス芸術文化勲章授与。13年に80歳で永眠。79年~88年、92年と「ぴあフィルムフェスティバル」の審査員を務めた。


第1回大島渚賞」授賞式の様子。

選考対象

  • 日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)

  • 原則として前年に発表された作品がある監督とする

審査方法

毎年、国内外の日本映画に造詣の深い映画祭ディレクターやプログラマー、映画ジャーナリストなど、
多様な国、年齢、キャリアの映画人からの推薦により、候補5監督を選出。その中から審査員が授賞者1名を決定する。

審査員長


Photo by zakkubalan ©2020 Kab Inc.

坂本龍一(音楽家)

1952年東京生まれ。78年『千のナイフ』でソロデビュー。同年『YMO』を結成。散開後も多方面で活躍。大島渚監督と出会った『戦場のメリークリスマス』(83年)で初めて映画音楽を担当し、第37回英国アカデミー賞作曲賞に輝く。『ラストエンペラー』(87年)では第60回アカデミー賞作曲賞、第31回グラミー賞他多数受賞。常に革新的なサウンドを追求する姿勢は世界的評価を得ている。15年、『母と暮せば』(山田洋次監督)と『レヴェナント:蘇えりし者』(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督)の音楽制作を、19年には『あなたの顔』(ツァイ・ミンリャン監督)で第21回台北映画賞の音楽賞を受賞した。

※坂本龍一氏は療養中のため、第4回の審査には参加されておりません。

審査員

黒沢 清(映画監督)

1955年兵庫県生まれ。大学在学中に自主制作した『しがらみ学園』が81年「第4回ぴあフィルムフェスティバル」に入選。『CURE』(97年)で世界的な注目を集め、『回路』(00年)、『トウキョウソナタ』(08年)、『岸辺の旅』(14年)でカンヌ映画祭にて3度受賞。その他の作品に『Seventh Code』(13年)、『ダゲレオタイプの女』(16年)、『旅のおわり世界のはじまり』(18年)などがある。2020年9月、第77回ヴェネツィア国際映画祭にて『スパイの妻<劇場版>』で銀獅子賞を受賞し、日本人監督としては17年ぶりの快挙を達成した。大島渚監督への敬意を込めて『絞死刑』『日本春歌考』の素晴らしさを語っている。

荒木啓子(PFFディレクター)

1990年PFF参加。92年よりPFF初の総合ディレクターを務める。コンペティション「PFFアワード」を通して若き映画人の輩出や育成を積極的に行うと同時に、招待作品部門ではダグラス・サーク、ミヒャエル・ハネケのアジア初特集など、映画の過去と未来を伝える企画を実施。近年ではPFF関連作品のみならず、日本のインディペンデント映画の海外紹介にも力を入れ、日本映画の魅力を伝える活動を幅広く展開している。92年「第15回ぴあフィルムフェスティバル」で大島渚監督を審査員長に迎える。

受賞者

第4回大島渚賞の受賞者は、山﨑樹一郎監督に決定しました


山﨑樹一郎(やまさき・じゅいちろう)

1978年、大阪府生まれ。京都文教大学で文化人類学を学ぶ傍ら、京都国際学生映画祭の企画運営や自主映画製作を始める。2006年に岡山県真庭市の山間に移住し、農業に携わりながら映画製作を始める。初長編作品『ひかりのおと』(2011)は岡山県内51カ所で巡回上映を行う一方、東京国際映画祭やロッテルダム国際映画祭ブライト・フューチャー部門にも招待される。また、ドイツのニッポンコネクション映画祭にてニッポン・ヴィジョンズ・アワードを受賞。第2作『新しき民』(2014)はニューヨーク・ジャパンカッツ映画祭にてクロージング上映され、ニューヨーク・タイムス紙でも高く評価された。さらに、高崎映画祭新進監督グランプリを受賞。映画制作と並行して、フランスのメソッドをモデルにした映画鑑賞教育を真庭市内の学校などで実践している。

授賞式・記念上映会

記念上映会 受賞監督作品と大島渚監督作品の上映と、ゲストトークで構成します
日程:2023年3月15日(水)
会場:丸ビルホール
※詳細は2月末に発表予定です
授賞式 日程:2023年3月14日(火)
会場:丸ビルホール
※チケットの販売はありません

主催・協賛