Summer Cityに寄らず

監督:青島太郎

最優秀男優賞

会社の金を使い込んだあげく、“宝探し”を夢見るイチタ。彼の幼馴染みでその会社の社長でもあるケンザブロー。ある日イチタのもとに小さな拳銃が届いたのをきっかけに、2人は盗んだ車で成り行きまかせの旅に出る。何のためにどこを目指すのかも定かではない旅の途中、2人は金髪の女と無口なバイク野郎のカップルを拾う。この2人も現実からかけ離れたところで勝手に生きている。そんな4人を乗せた車はあてどなく走り続けた…。
何気ないけど洒落ているセリフ。バックに流れる軽快なオールディーズ・ポップス。非現実的な設定で、疾走感と倦怠感がない混ぜになったムードを漂わせるイカしたロードムービー。ロケ地は真っ直ぐな道がどこまでも続く北海道。広大な風景の中での撮影は、登場人物たちのキャラクターをくっきりと浮かび上がらせていく。中途半端にしか生きられないアウトローたちの旅を、型にはまらない自由な演出で颯爽と見せている。

  • 1991年/90分/カラー/8mm
  • 監督・脚本:青島太郎
  • 制作:折原和弘 撮影:宮沢 厚
  • 出演:塩田泰造、中沢隆文、苅部園子、石川北二