STORM IN A TEACUP

監督:マティーン・デ・ラ・ハープ

日曜日の朝。少年がキッチンでお茶を飲んでいる。その横にいるのは、黒人のメイド・マギー。自分のカップを床に落とした少年が、マギーのカップに口をつけた時、母がキッチンに入ってきた。母は無言でマギーが手渡したカップを取り上げ、少年に歯を磨かせる。少年はマギーのことが気にかかった。やがて母とミサに行った彼は、お祈りをしている時、夢とも現実ともつかない光景を見た。白人ばかりの礼拝堂の入口に立つマギーの手を無理やり引いて、少年は彼女を招き入れるのだった…。
作者のマティーン・デ・ラ・ハープは、南アフリカ共和国でTV用のドキュメンタリーを撮っていたという女性。適切なカメラワークと凝縮された構成は、確かにプロの肌触りだ。人種問題という、ともすれば重くなりがちなテーマをウィットの利いたテイストで料理している。10分という短い時間の中で、伝えたいメッセージを余すことなく伝え切る手腕は、見事の一言。

  • 1992年/10分/白黒/16mm
  • 監督・制作・脚本:マティーン・デ・ラ・ハープ
  • 撮影:マティーン・デ・ラ・ハープ、ルーカス・ジュガラ 撮影補助:ディヴィッド・シーガル
  • 出演:トゥーリ・ドゥマクデ、ケニー・ラ・マドリッド、パム・ウィックルス