点滅の朝

監督:川口良太

ゴミ清掃員の青年2人が夜明け前の無人の高層ビル街で仕事をしている。彼らの横を中年のサラリーマンが通りかかり、わざとらしく酒瓶を割って去って行った。その後ろ姿を暗いまなざしでじっと青年たち。2人には、1ヶ月前に女性の死体を発見した時の気分がまだ残っている。黙々と酒瓶を拾う1人の横で、もう1人がゴミの山の中から猫が入っているらしきビニール袋を見つけた。
「きっとまだ生きているよ」
2人はうつむきながら呟いた…。
6分を長いと見るか短いと感じるか。それはさておき、鮮烈な映像センスで一瞬にして多くのものを語って行く力のこもった作品である。「観客を退屈させないために緊張感のある映画を作りたい」というのが川口監督のポリシー。その言葉通り、画面は隅々まで緊張を孕み、一触即発のムードが漂う。セリフの量を抑え、雄弁なBGMと無機的な画面をマッチさせながら、都会の絶望と希望を語っていく。

  • 1992年/6分/カラー/video
  • 監督・脚本:川口良太
  • 制作:斉藤健一 撮影:小村幸司
  • 出演:山口政景、浅川 仁、福山かおり、三谷真谷