流れるままのグリーン

監督:杉浦昭嘉

1998年、東京。ケイ子とスミ子の姉妹は留守番電話のメッセージで父の死を知った。異常気象で冬の日が続く。それに呼応するように姉ケイ子の精神状態は悪化し、ついに入院。孤独と不安にかられ、妹スミ子は睡眠薬を常用するようになる。中絶した女友だちユウ子は関係を持った男が自殺した後、南を目指して旅立っていった。さらに、病院を抜け出した姉がスミ子の目の前で電車に飛び込む。テレビではホタルの異常繁殖を伝えている。絶望の淵に立つスミ子は、列車に乗ってホタルの里へと向かう。
病んだ都市の病んだ人々。環境と人間の問題を同時に扱いながら、映画は破滅に向かう地球において生きることの意味を問い詰めていく。「異常な環境の中で身近にいそうな人間の形(精神)がどうなっていくのかを描きたかった」という杉浦監督。肉親や友人の死、異常気象、飛びかうホタルなど、さまざまな事象を安定した文脈で絡ませ、シビアな状況に立たされた女性の姿をじっくりと描いている。

  • 1992年/79分/カラー/8mm
  • 監督・制作・脚本・撮影:杉浦昭嘉
  • 出演:菅原三枝子、菅野敬子、岡 薫、清水洋二