「第37回PFFin神戸」開催まであと10日

PFF初の試みである"学生スタッフに企画運営を任せた"「PFFin京都」には駆け足訪問だったのですが、神戸開催は、全日程滞在の計画です。

神戸の会場は、淀川長治さんの故郷、かつて神戸最大の歓楽街であった新開地に阪神・淡路大震災後生まれた神戸アートビレッジセンター(以下、KAVCと略)です。

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神戸アートビレッジセンター

10月31日(土)から11月3日(祝・火)までの四日間の会期に
「PFFアワード2015」20作品は、土、日、祝日の三日間で一気上映。
間にある平日、11月2日は関西初上映の『ベートーヴェン通りの死んだ鳩』『フラーライフ』を含む、サミュエル・フラー祭り!
そして、11月3日には、PFFアワードプログラムの他に、世界を驚かせた短編映画の特集も、という、
京都→神戸→名古屋→福岡と続く全国開催で、最も東京会場に近いプログラムを詰め込んだ四日間が実現する神戸です。

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『ベートーヴェン通りの死んだ鳩』

更に、新しい試みとして、共同主催のKAVCから提案のあった「映画講座」を実施します。
思わぬ過激な講座の提案にあわわわわ~~~となった私ですが、地元のリクエストには応えます!
というわけで、やります!映画講座。
10月31日(土)の14:30~は、PFFアワード2015入選作品『みんな蒸してやる』(先日の下北沢映画祭でグランプリを受賞。おめでとうございます!)と『チュンゲリア』(『野火』のスタッフ&出演をなさったという峯監督です)上映後に、KAVCスペシャル講座その�@「PFF入選の極意」が!
いやーすごいタイトルですね~。「極意」を語るのは、私なんですね~。
聞き手は、本年の「PFFアワード2015」セレクションにも参加されたKAVCの前田実香さん。共にPFFアワード2015応募作品を拝見してきた記憶の新しい今だからこそ、対話を通してみえてくるものがあるのではないか、と、私も楽しみにしています。

次は、11月3日(火・祝)の13:00~特別企画「世界が絶賛した日本の短編たち」の上映に引き続きまして、KAVCスペシャル講座その�A「つくる人のための世界の映画最新事情」を開講です。
こちらは、京都在住でインディペンデント映画の海外紹介などの活動もなさっている中西佳代子さんが、聞き手的な役を担ってくださり、今現在の映画状況について情報交換という時間になることでしょう。
勿論、ご来場の皆さんからの質問を受ける時間を想定しています。

神戸が終われば、その10日後から「PFFin名古屋」の開催(愛知芸術文化センター)です。
名古屋は自主映画への興味が高いという感触があるのですが、それは、シネマスコーレとシネマテークという、長い間インディペンデント映画をバックアップしているふたつの映画館の存在が大きいでしょう。
神戸のKAVCや、京都シネマもそうですが、「映画をみせる場所」がある幸せ、を改めて感じるPFFの各地開催です。

話は突然飛びますが、
今月来月と新橋演舞場で行われているスーパー歌舞伎�「ワンピース」、是非体験してもらいたいと切に思います。実はスーパー歌舞伎は欠かさずみておりましたが、今回の「ワンピース」、一体どんな歌舞伎化に・・と困惑のまま劇場に入り、その素晴らしさに国内外の友人知人にやたらめたらすすめております。
まず、当代猿之助さんの演出手腕に驚愕。多様される映像は学生時代から舞台映像作家として活躍していた上田大樹さん(PFFアワード2003『NEG.WONDERLAND(ネガ・ワンダーランド)』でグランプリを獲得)です。この10年、眼を瞠る舞台の映像は、決まって上田さんだなあと再確認。そして、歌舞伎役者の皆様は勿論のことながら、浅野和之さんがますます素晴らしい。去る9月、PFFの東京開催前の気分転換に出かけた北村想さん作、寺十吾さん演出の「草枕」。ヒロインの那美を演じた小泉今日子さんはじめ、配役が抜群!浅野さんの3役も光る光る!一番の歓びは、夏目漱石世界が見事に見事に舞台化されていたこと。今や"那美"は私の中ですっかり小泉今日子さんになりました。
ところで、浅野和之さんはPFFスカラシップ作品『バーバー吉野』にご出演くださっています。が、全くお話する機会がなかったというか、緊張して何も話せなかったというか、そんな残念な私であります。
それにしても、演劇の躍動感と映画の躍動感は、違う。
舞台をみるたびに、映像の力と生の力の違いを考えてしまう、かなしい職業病を感じつつ、「劇場」が「場所」がある幸せをここでもしみじみと味わうのでした。