577本の応募作の中から、約4ヶ月もの厳正な審査を経て選出された20作品を、お披露目上映。まずは、気になる1作品から観てみよう!あなたの投票で賞が決まる「観客賞」にもご参加ください。
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「かかしになりたいおとこは夢中 おんなはおとこを今更さよならふりむかせたい わたしが結婚しても いつもの時間に きみがラジオきくなら、」。監督自身の手による作品紹介文からしてぶっとんでいるが、人を煙に巻いているわけではない。どのシーンにもカヨコの切実なる思いがぶつけられているのだ。
映画の始まりから何事かと思った。そんなワクワクが最後まで止まらなかった。会話におけるさりげない言葉選びのセンスも光っている。キャラクターも抜群。設定も可笑しい。映画ならではのハッタリも利いている。そもそもタイトルがいい。一つ一つを挙げるとキリがないぐらいいい。それらが空中戦のように飛び交う本作は、他の何にも似ていない。これぞワン・アンド・オンリーの才能。大河原節が生まれる可能性すらある。否、既に生まれている。
小原 治(映画館スタッフ)
1994年東京都出身/多摩美術大学 造形表現学部映像演劇学科 在学中
映画をつくることと演じることに興味があり、多摩美術大学の映像演劇学科に入りました。今、そのどちらもやっていて、どちらかが欠けると私のなかのバランスが崩れるような気がします。『みんな蒸してやる』は初めて監督と主演を兼ねた作品です。多摩美の好きな先輩先生後輩同級生、大学外で出会った魅力的な方々と、一緒に右往左往していただきました。
この作品の脚本を書いているとき、‘ひとりで地に足をつけて生きていくこと’、‘植えつけらてしまったもの’について考えていて、そこから「かかし」という要素をとっかかりにし、作っていきました。また、自分にとってとてつもなく悲しい瞬間を、まわりの人が楽しげに消化している(こともある)ことに興味があり、そういう瞬間を探し、おりまぜて進めていきました。
映画のなかのひとつひとつをどうやって発想してつなげていったのか、当時と頭の回転率が変化し詳しくは説明できないのですが、その時の自分の今一番を楽しくぶつけています。
【繰り返し観ている作品】
『インスタント沼』(2009年/三木 聡監督)、
『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年/犬童一心監督)
【好きな映画監督】
犬童一心、タナダユキ、三木 聡
[2015年/41分/カラー]
監督・脚本・編集:大河原 恵/撮影:原 悠介/録音:広田智大/照明:吉永良芽生/制作:目黒律啓
出演:大河原 恵、須藤瑞己、大渕礼奈、森川しゅう、鶴巻 紬、南久松真奈、星野慶太、松嵜翔平