「PFFアワード入選監督に聞きました!―なぜ私は映画をつくるのか?―」第1回:工藤梨穂監督

映画祭ニュース

PffAward2021_interview.jpg 「PFFアワード2021」は、現在作品を募集中です!締め切りは3月23日。
そこで、近年のPFFアワード入選監督の生の声をお届けすべく、「映画づくり」や「PFF」に関するアンケートを行いました。
2月8日(月)から6週に渡ってご紹介します!(毎週月曜日更新)
第1回は、『オーファンズ・ブルース』で「PFFアワード2018」グランプリを受賞した工藤梨穂監督です。

<更新予定>
第1回:工藤梨穂監督『オーファンズ・ブルース』
第2回:中尾広道監督『おばけ』 2/15(月)アップ予定
第3回:草場尚也監督『スーパーミキンコリニスタ』 2/22(月)アップ予定
第4回:城 真也監督『アボカドの固さ』 3/1(月)アップ予定
第5回:金子由里奈監督『散歩する植物』 3/8(月)アップ予定
第6回:石田智哉監督『へんしんっ!』 3/15(月)アップ予定

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工藤梨穂監督(PFF入選作『オーファンズ・ブルース』)
1995年生まれ、福岡県出身。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の卒業制作『オーファンズ・ブルース』で、「PFFアワード2018」グランプリを受賞。その後、東京・テアトル新宿を皮切りに、名古屋、大阪、福岡など全国10か所を超える劇場で公開。2021年、PFFスカラシップの権利を獲得し、『裸足で鳴らしてみせろ』を監督。9月11日(土)から開幕の「第43回ぴあフィルムフェスティバル」でお披露目上映が決定している。

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Q1. 映画監督になりたいと思ったのは何歳の頃ですか?またきっかけは何ですか?

17歳です。
私自身、元々映画が好きだったりとかいうことは全然無くて、どちらかというと文章書いたりすることが好きだったので、進路もなんとなく文学系に進もうと思っていました。
そんな時、西加奈子さんの著書『さくら』を読んで、どうしようもなく感動してしまいます。それが、自分が映画の道に進んだきっかけになったわけですが、とにかくその時はその感動を自分の中だけに留まらせておくことがものすごくもどかしく感じました。「同じ空間でいろんな人とこんな感情を共有できたらいいのに」と強く思い、それを実現できる最も近い表現が私にとって映画でした。
とにかく映画を学んでみようという気持ちと同時に、映画監督を目指そうと思いました。


Q2. 初めて監督した現場での出来事や感じたことを教えてください

大学2年生の時に監督した短編映画が自分の最初の作品になるのですが、今以上に何もわからず、ほとんど感覚のみを頼りに撮影しました。
夕方のシーンを撮ろうとして、ライティングを調整してもらっていた時があったのですが、それがすごく良くて、咄嗟に「うわっ、めっちゃいいやん!」と私が言うと、現場の雰囲気がガラッと変わったことを感じたのを覚えています。その時、喜怒哀楽をいつもよりはっきり表現することを現場では大事にしようと思いました(その後スタッフとして別の作品に参加した時も、監督が喜んでると嬉しかったこともあり)。
芝居で悩んで主演とその場でたくさん話し合ったことや、みんなでリヤカーを運んで現場に行ったことは今でも大事な記憶です。


Q3. 映画制作でくじけそうなときの乗り切り方、気分転換の方法は何ですか?

私は、最近一つの映画を制作しました。
その最初のプロットを生み出す時がものすごく苦しくて、確実に表現したいものはあるのに全然まとまらなくて、一文字も書けない日が何日も続きました。迫る締め切りに発狂しそうになりながら、もはや企画提出を辞退しようかと思うくらい辛かったのですが、そんな時、レオス・カラックス監督の『汚れた血』で投げかけられる「もし君とすれ違ってしまったら、世界全体とすれ違うことになる。こんな人生ってあるか」というセリフが浮かんできました。
自分も今、この企画を投げ出したら一生引きずることになるだろう。だから、絶対にここですれ違ってはいけない。諦める選択肢はないと奮い立たせられました。
それから脚本を書く時も撮影時も、くじけそうな時いつもこのセリフを思い出します。
この言葉に背中を押してもらって、自分なりに懸命に映画を作りました。


Q4. PFFに応募しようと思ったのはなぜですか?

大学に入ってからPFFという映画祭を知ったのですが、気が付くと、「映画を撮ったら応募する」、「PFFに間に合うように完成させる」ということを意識するようになっていました。
特に思いが強かったのは、大学の卒業制作『オーファンズ・ブルース』を撮った時です。大学を出たら学生時のように人を巻き込むことも簡単じゃないし、自らの力だけで自分が撮りたい映画を制作することはかなり難しいことだと考えていたので、次の映画を撮るチャンスを掴むためには、この作品でPFFに入賞するしか道はないと思っていました。背水の陣のような気持ちで応募したことを覚えています。
応募した際のぴあのレシートはまだ持っていて、これが今に繋がってると思うと、ものすごい奇跡みたいなものを感じるし、怖くもあります。


Q5. PFFに入選して、一番印象に残っていることは何ですか?

上映を緊張しながら見守ったことも、授賞式で作品名が読み上げられる前の静けさやその瞬間のことも、思い出すと今でも手に汗をかくほど鮮明に覚えています。
でも何より、「制作者が作品に込めた思いは伝わる人には必ず伝わる」ということを信じられたことが自身にとっては大きな経験でした。
『オーファンズ・ブルース』の製作中、私は「もし今死んじゃったらどうしよう」とずっと頭の隅で思いながら撮影していたようなところがありました。
次回作を撮れる保証も明日生きている確証も無く、これが最後になるかもしれんと思いながら作った作品で、だからこそ、この映画は観る人にとって絶対に心に残るものであってほしい、観た後に走り出してしまうような原動力が宿っていてほしいと願っていました。
そのような思いが映画のどこに映るのか、未だに私はわからないですが、それでも観てくれた方々からの感想や賞を頂いたことで、この映画が誰かにとってそうなれたかもしれないと思うことが出来ました。それが一番だったような気がします。


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グランプリ受賞時の工藤梨穂監督と、最終審査員の生田斗真さん、主演の村上由規乃さん



20210208_3.jpg 『オーファンズ・ブルース』
【作品データベース】
DOKUSO映画館にて配信中⇒【配信ページ】


第43回ぴあフィルムフェスティバル コンペティション
「PFFアワード2021」作品募集中!
2021年2月1日(月)~3月23日(火)
【作品募集ページ】