告白・「映画の闘い/闘いの映画」企画のはじまり

20170921-1.JPG本年の「映画の闘い/闘いの映画」企画は、『チリの闘い』を上映したいがために生まれたと言えましょう。この映画を基底にプログラムのイメージが拡がり、最終的に6プログラムを展開するに至りました。

その、待ちに待った『チリの闘い』大ホール上映が、明日です。
12時30分から。
是非とも逃さないでほしいと願っています。DVD発売もありますが、『チリの闘い』は、大勢の見知らぬ人たちと大きなスクリーンで体験すると更に輝く、まさに映画祭の映画だからです。
狼狽えることに、映画館を「強制的に密室に閉じ込められる」と表現する人がいる現在ですが、そこはひとつやはり「能動的に異世界をみにいく場所」という発想で、参加いかがでしょう。『チリの闘い』は、まさに、世界を、人間を、歴史を、みる映画です。そこには、すべてが詰まっています。稀有な体験になります。
そして明日は、特別に劇場用パンフレットも販売されます。

「映画の闘い/闘いの映画」企画は、9月16日、小ホールのオープニングを飾るラヴ・ディアス監督の『立ち去った女』で幕を開けました。上映後、PFF史上初「オープントーク」として、どなたでも入場可能なトークタイムを設けました。トークにはラヴ・ディアスの胆力に感嘆した秦早穂子さんにご登壇願い、そのあとに上映する、特集「何度でも!メルヴィル」の一作『海の沈黙』についても触れていただきました。ラヴ・ディアスとメルヴィルをつなぐトークタイム、というのも、秦さんはメルヴィルをリアルタイムでご存知だからです。

トーク前に秦さんと打ち合わせをしました。が、そこで盛り上がった話題を紹介できずに終わり、反省しました。これは後日改めてトーク企画をたてましょうとお話したのが「真実と事実」という秦さんの提示されたテーマです。
ラヴ・ディアスの力、それは、事実を並べて映画を動かす力。それは、優れた映画、優れた監督、優れた役者の持つ力。秦さんの話術でこのことを語っていただくと、鮮やかに映画の力が掴めます。なんとか機会を持とうと考えております。

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秦早穂子さん

「映画の闘い/闘いの映画」プログラムはあと4つ。『チリの闘い』3部一挙上映、『仁義なき戦い』1~4一挙上映『悲情城市』&『?嶺街少年殺人事件』二本立て上映『昔のはじまり』です。ただただ映画に浸りに、是非お越しください。
そして、第39回PFFは明日で丁度中間点。後半には豪華な「映画のコツ」プログラムも登場します。コンペティション「PFFアワード2017」の上映も二巡目を迎え、上映後には同プログラムの監督同志で語り合うトークスタイルを実行しています。思わぬ個性が現れるトークになりつつあります。お楽しみに!


そして、秋は映画祭のシーズン。10月には、山形国際ドキュメンタリー映画祭と釜山国際映画祭、そして高雄映画祭が待っています。
釜山国際映画祭は、この5月に亡くなったキム・ジソクさんのことを思い出すと哀しみがとめどなく溢れてきて、渡航を迷う場所です。追悼イヴェントや、記念の賞の設定、温めておられた「インディペンデント映画にもっと力を入れる」方向性のひとつである、監督たちの交流企画など、ジソクさんの遺志を継ぐ計画が続々と発表され、ご葬儀には欧州にいたため参加できなかった私は、やはり行かなくてはという気持ちが固まってきました。

釜山国際映画祭は、キム・ドンホさん、キム・ジソクさんという「人」で人が集まる映画祭だったと改めておもいます。プログラミングや運営に特筆するところはないけれども、他に比べることのできない、ハートのある、志の高い人がはっきり見える場所でした。多くの人が、ジソクさんに会うために行く場所だったかもしれません。ジソクさんがいない釜山で一体何をおもうのか、不安とともに参加します。
・・・・・ああ、PFF真っただ中に、何を口走っているのだろうか!
第39回PFF、あと7日の会期をスタッフ一同日々新たな工夫を重ねながらすすめています。皆様のご来場を、お待ちしております。