No.38:『stay チューン』in カメラジャパン・フェスティバル2013

海外レポート

日本国内のみならず、海外の映画祭でも上映される機会が多くなったPFFアワード入選作品&PFFスカラシップ作品。このページでは、そんないろいろな映画祭に招待された監督たちにも執筆していただいた体験記を掲載します。

PFFアワード2012 審査員特別賞受賞『stay チューン』in カメラジャパン・フェスティバル2013 (開催:2013年9月26日~10月15日)

伊藤監督は、サッカーのオランダ代表のユニフォームを着て舞台挨拶に。

おらの映画、オランダにッ!?

文:『stay チューン』監督 伊藤智之

第35回PFFで日本が盛り上がる中、、こっそりと行って参りましたッ!!
オランダ・カメラジャパン・フェスティバル!!カメラジャパン・フェスティバルとは、日本映画を中心に様々な日本のモノを紹介する映画祭です。決して規模は大きくないですが、ロッテルダムとアムステルダムの両会場で行われるアットホームでとっても素敵な映画祭です!!

わたくし自身、海外に行くのは東京ドイツ村以来の2回目で中々のドキドキです!(東京ドイツ村は海外じゃない?ってことは海外に行くのは実質はじめてですね!)映画祭用にポスターを作ったり、パスポートを取ったり、航空券を取ったりと色々バタバタ動き、編集を一緒にした横田くんといざオランダへッ!

約12時間のフライトを終え、オランダのスキポール空港に到着すると2人の女性が出迎えてくれました!まず1人目はミリアム!彼女はカメラジャパンのボランティアスタッフで、新潟に留学していた経験もあり日本語はペラペラ!オランダ滞在中色々とお世話になりました!ミリアム本当にありがとう!!2人目は映画美学校同期の原さん!原さんは現在ドイツに住んでおり連絡をしたら、わざわざオランダまで映画を見に来てくれました!原さんは本来いち観客だったはずなのに、観光の通訳してくれたり、映画祭のインタビューの通訳をしてくれたり、舞台挨拶の通訳をしてくれたり、原さん本当に助かりました!!この2人を新たな仲間に加え映画祭が行われるロッテルダムへ、いざッ!

ロッテルダムに着き、“南米かッ!”とツッコミたくなるホテルで少し休憩し、ホテル近くのカメラジャパンのキックオフイベントに参加しました!クラブのような場所でノイズミュージックの流れる中、カメラジャパンのディレクター、アレックスに遭遇しました!アレックスもミリアム同様日本語はペラペラ!アレックスに『stay チューン』を選んでくれた理由を尋ねてみると「映画を作る楽しさがよく伝わり、話もおもしろかった」と言ってくれて、とても嬉しかったです!!アレックスは良きアニキという感じでとても優しく本当に良くしてくれました!個人的には、お酒が飲めないところとジャパニーズ・グリーンティーが好きなところに勝手な親近感を覚えました!アレックス本当お世話になりました!!

『東京家族』『ガッチャマン』『希望の国』の間に『stayチューン』のポスターが。

しかし僕たちは胸にイチモツ…いや、イチマツの不安を覚えていました…
それは、、“本当にお客さんは見に来てくれるのだろうか…”“いくらあの伝説のPFFアワード2012で、あの川村元気氏推薦のもと審査員特別賞に輝いた作品と言っても日本の名の知れぬ自主映画を果たしてオランダの人々は見に来てくれるのだろうか…”しかも同時刻に上映される作品はソーソーたる作品ばっかり!!(『東京◯族』や『ガッ◯ャマン』)…やはり不安は残ります。。残り2日間何が出来るのだろう…そこで僕達は考えました、、そうだ!!“stay チューン招致委員会”を作り、“ロビー活動”(宣伝活動)しようとッ!!しかし、、ロビー活動は困難を極めました…クラブやライヴ会場でのロビー活動はすぐ声が枯れてしまうし、オランダの方々に話かけるのは中々腰が重く思う様に行きません。。でも途中チラシなどを作ったりして色々と試行錯誤しながら何とかやっていきました!!

実際に配られたチラシ。

ロビー活動の流れはこうです!!まず『stay チューン』を好きそうな人を見つける、(実は何回かの上映のおかげで、なんとなく『stay チューン』を好きそうな人を見分けるという特殊能力を身につけていました!これは日本人もオランダ人もそう遠くはありません!)そして「ハーイorハロー」と話しかけ、次にチラシを見せ「ステイチューン トゥディ テンオクロック ヒアーorゼアー」、オランダの方々はこんなに拙い英語でもちゃんと最後まで聞いてくれます!そして極めつけはチラシのタイトルに指をさし「ディス ムービー ディレクター」!この極めつけの言葉を言うとほとんどの人が驚いて、チラシを受け取ってくれます!途中からは拙さをあえて演出するという姑息な手段に出て、好きそうな人とか関係なく色々な人に声を掛けました!!中には、『東京◯族』や『ガッ◯ャマン』を見に行くから行けないという人もいたけれど、それでも3人ほどは『stay ◯ューン』を見に行こうと思っていると言ってくれた人たちがいて、とても嬉しかったです!!(『stay チューン』も◯隠しされてる!)

ロビー活動で声をかけた人たちが続々と来てくれて、80人ほどの席に30~40人程は入ってくれたとは思います!!そして、いよいよ上映の時が!!こちらの緊張はピーク!!アレックスに呼ばれ観客の前へ、そしてそこでおもむろにシャツを脱ぎ日本の友達に借りて仕込んでおいたオランダ代表のサッカーユニフォーム姿になりました!!(会場ややウケ)そしてひと言“はじめまして、日本のファン・ペルシこと伊藤智之です”と…(ファン・ペルシとはロッテルダム出身の有名なサッカー選手です!)…しかしこの時通訳に入ってくれたマーテンという背の高いナイスガイに見事に流されました!!少し声が小さかったかな、、あとファン・ペルシぽさも足りなかったかな、、やはり本当に言いたいことはその国の言葉で言った方がいいみたいですね…(本当に言いたいというか掴みの言葉のつもりだったんですが。。)流されたことによって、その後言おうと思っていた「小津作品と同じ日に同じ映画祭で上映されることを誇りに思う」的な優等生コメントがすべて飛んでしまいました…日本のみなさん気をつけて下さい!オランダの人、皆がサッカーが好きとは限りません!そしてオランダの方々!変なこと仕掛けて来る日本人はいます!!

よしッ!!気を取り直して上映だ!!では、はりきって!どうぞ!!
(上映はオランダの方々と一緒に見ました、緊張もしたけれど少しは冷静に見れたかな。あと上映中この映画に出てくれた役者の人達のことを思い出しました。何だか愛おしく誇らしい気持ちになりました。上映、一緒に見たかったな~。)

さぁ上映も無事終わり、質疑応答の時間です!ここからは原さんも通訳に加わりマーテンと2人体勢だ!ッと意気揚々とこと細かく質疑応答の様子を書きたいのですが…例のごとく緊張し過ぎてほとんど覚えてないです。。さらに今回は初めて通訳を通しての質疑応答で慣れないせいもあり、より一層覚えてないです。。これは東京上映からの課題だ…今度は誰かにメモしてもらおうかな…確かマスターベーションがどうだかと聞かれた気がしたけど、、やっぱり覚えてないです。。

カメラジャパン・フェスティバルのスタッフたちと記念撮影。

でも映画祭側のアンケートとstay チューン招致委員会の方でもアンケートを作り配りました!オランダではコメント書くアンケートはあまりなく慣れていないらしいけど、何人かは書いてくれました!中でも『stay チューン』を見てくれたオジさんがたくさん書いたアンケートをわざわざ僕のところに持って来てくれて、固い握手をして去って行きました!それがとても嬉しかったな~!映画祭側が取ったアンケートの集計結果も中々良い評価が多いようです!

ある種日本的なところが多い作品ではあると思っていたので、果たして伝わるのか?どう思うのか?と色々考えていたけど、面白いことに日本とさほど伝わり方は違わないなと!なんか基本みんな苦笑いみたいな、、でも好きな人は好きっていうこの感じ!キライじゃないッす!そしてオランダの方々は、商業映画とか自主映画とか区別することなく同じ日本映画として捉えてくれているようで、それがすごく嬉しかったです!!

上映以外はロッテルダムやアムステルダムなどを観光したり、映画祭で出会った日本人や外国の人たちと語りあったりと、そのどれもがとても楽しく、充実した日々でした!!ここには書き切れないけど、お世話になったすべての人にダンクーウェルっす(オランダ語でありがとうの意味です)!!

そして楽しい日々はあっという間に過ぎ去り気が付けば日本到着…

今回はミッフィーちゃんスペシャルと題しまして、9月25~30日の間(映画祭期間)ぶち抜きでお送りしてきましたけれども、もう暦の上ではオクトーバー、レポートが掲載される時はノーヴェンバーですかね。。色々と上手くいかないこともあるけれど、、わたしこの街が好き!そしてやっぱり夢も恋もあきらめない!!おら、映画が撮りてぇ、、いや英語がしゃべりてぇ!!

わ~わ~言うております、お時間です!さようならッ!!