トリュフォー、森崎東に続く...『ひと夏のファンタジア』今週25日(土)より公開
昨秋の「第37回PFF」にて「映画内映画~映画は映画をつくることをどのように描いてきたか~」企画でフランソワ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』、森崎 東監督の『ロケーション』など、映画製作現場を魅力的に描く名作群に連なる若手監督作品として上映した『ひと夏のファンタジア』。本作が長編3作目となる韓国の俊英、チャン・ゴンジェ監督の新境地をひらく一作でした。
その、『ひと夏のファンタジア』の劇場公開が決定しました!
奈良県五條市にシナリオ・ハンティングにやってきた韓国の映画監督と地元の人々の邂逅を描く第1部と、そこから生まれた若い男女の淡いラブストーリーという2部構成、を成す本作のプロデュースは河瀬直美監督。韓国では昨年、インディペンデント映画として異例の大ヒットを記録した注目作です。
チャン監督は、高校時代の苦い恋愛体験を描く鮮烈なデビュー作『つむじ風』(09年)がバンクーバー国際映画祭でグランプリを受賞し注目され、
自らの結婚生活をベースにした前作『眠れぬ夜』(12年)は全州映画祭グランプリと観客賞をダブル受賞。
本作、『ひと夏のファンタジア』も、各国で高い評価を受け「第二のホン・サンス」という声が出るなど、話題の新鋭です。
昨年9月19日(土)にPFFでのプレミア上映後に実施された、チャン監督と親友の真利子哲也監督(『ディストラクション・ベイビーズ』公開中)の対談も少しご紹介します。
「日韓合作の映画ということで、海外(日本)での撮影、キャスト・スタッフには日本人がいて、日本語の話せないチャン監督は、どのようにしてこの壁を乗り越えたのですか?」
という真利子監督の質問に、
「言葉が通じない分、感覚が研ぎ澄まされていた気がします。
映画の中の(日本語の)会話でも、内容を読み取るというより、音として聞きながら感情を読み取るようにしていました。」
と答えられていたのがとても印象的でした。
お二人の出会いは、2009年のバンクーバー国際映画祭。チャン監督が『つむじ風』、真利子監督が『イエローキッド』で新人監督の長編映画のコンペに招待された時のことです。その後も海外で何度か顔を合わせ、『イエローキッド』の主演であり、本作にも出演する岩瀬亮さんとも親交を深めていったそうです。
その岩瀬さんとの関係についてチャン監督は、
「岩瀬さんとは、これまでに好きな映画や俳優、そのシーンや演出についてたくさん話してきました。
お互いに、"やってはいけないこと"の認識や感覚が同じで共通していることが分かっていたので、信頼していました。」
と語られていました。
25日(土)の初日に向け、チャン監督はじめメインキャストの来日と舞台挨拶が決定しております。パンフレットを購入の方には、登壇者によるサイン会も企画されています。是非参加してください。
『ひと夏のファンタジア』
監督:チャン・ゴンジェ
【公式サイト】
公開情報:
6月25日(土)~ ユーロスペース(渋谷)
7月2日(土)~ シネ・ヌーヴォ(大阪)、シネマスコーレ(名古屋)
★初日舞台挨拶:
6月25日(土)ユーロスペース(渋谷) 21:00~22:35上映後
登壇者:チャン・ゴンジェ監督、キム・セビョク、岩瀬亮、康すおん(予定)