未来は15歳以下がつくっていく

PFFとガンダム。その意外性が話題となっていた14日土曜日の劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ』特別先行上映。PFF史上初の長編アニメーション映画の招待作品上映(ただし、80年代には「ぴあアニメーション映画祭」を何度か実行し、手塚治虫さんがご来場なさったりしたと聞いている)である。
そのうえ、上映後に、富野由悠季監督をお迎えする計画で、緊張が日に日に膨張中。
同時に、日に日に「Gのレコンギスタ」を子供たちに観せたいという、富野監督の想いに打たれている。

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劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ』
(C)創通・サンライズ

子供たち。
世界中の映画祭で、子供たちの参加をはかるいろいろな試みが行われている。世界中が、小さいときからの習慣づけに<映画をみること>を加えたい。と願っている。
11歳前後。それは映画を一番みて欲しい、あるいは本格的に観はじめる年ごろ。
14歳、15歳、それは最も多感で鋭い年ごろ。
海外の映画祭で、学校の年間行事に「映画祭での映画鑑賞」が組み込まれている姿を多数目撃し、その楽しそうに会場に集う姿、素晴らしい質疑応答などをまのあたりにすると「小学校、中学校の、映画祭への“学校動員”が許されればいいのに日本も・・・」と毎年焦燥感に襲われてしまう。「こども映画教室」など、個人の参加を誘う活動は拡がってきているが、学校単位は困難な現状だ。

そして、「映画を観る」体験なくして、映画をつくるひとは生まれない。
これまで、映画をつくるひとたちに焦点を当てるコンペティション部門「PFFアワード」を通して、多くのつくり手に出会って来た。共通項は、みな、浴びるほど映画を見続けた時代を持っている、ということだと改めておもう。そして、個々人のある決定的な体験が、その作品の根底を支える何かになっていくことは、映画のみならず、あらゆる創作に共通するということも・・・
そんな、つくることに興味のある人を中心に展開してきたPFFが是非参加してほしいのが、講座形式のプログラム「映画のコツ」だ。
2000年から続けている。

本年の「映画のコツ」は、3プログラム。
初日7日13:45~に登場するのは、プロダクトデザイナーであり建築家の寺田尚樹氏だ。
「真剣にバカなことをやることからしか生まれない<何か>を可視化する」という副題そのままに、氏の生み出したテラダモケイと、そして遂にまさかに自主製作したテラダモケイピクチャーズをスクリーンで上映する。*なんと、今回の上映のために、音楽も創作してみる!
寺田氏の経験やアイデアを聞いていると、映画をつくることとプロダクトデザインをすることの共通項に驚く。オリジナルな創作物とは何か、が可視化されていく時間になりそうだ。映画のみならず、何かを生み出すヒントの時間?

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テラダモケイピクチャーズ『1/100 RICE Planting』

ふつかめ、8日は17:00~は、福岡の伝説の映画作家を紹介する。中山太郎だ。
1917年、ほぼ1世紀前に生まれた中山太郎は、映画監督の夢を抱いたまま、8mm自主制作を続けた医師。たぶん、日本中に、この中山氏のような、その土地固有の映画作家が存在するはず、その事実を、これからも機会あれば紹介していきたい。ナビゲーターは、福岡在住の詩人でありアーキビストの松本圭二氏。瀬々敬久監督の作品に俳優として出演したこともある映画人だ。4本のそれぞれ全く違う映画の上映を行うので、お楽しみに!

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『白い道』中山太郎監督

ラストに、既に三回を数える「天才・木下惠介は知っている:その3」が登場。15日日曜日13:30~だ。
巨匠・木下惠介の仕事を伝え続けるという使命に突き動かされる、原恵一監督と橋口亮輔監督によってレギュラープログラムとなったこの時間。今年は『日本の悲劇』を上映し、おふたりへの聞き手に、昨年「PFFアワード2018」にて『ある日本の絵描き少年』で準グランプリ&ジェムストーン賞を受賞した新鋭・川尻将由監督が登壇する。
平成生まれの川尻監督が、敬愛する2監督から木下惠介の映画づくりを教えてもらう、そんな時間になるのかも・・・

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『日本の悲劇』木下惠介監督

こうして書いていると、映画祭は次世代へと橋渡しを続けるための場所なのかと実感する。
劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ』上映に備え、福岡市美術館で開催中の展覧会「富野由悠季の世界」に行ってきた。その情報量と全国開催6都市それぞれの学芸員の情熱、そして、富野監督の40年を超える胆力に眩暈がする濃厚な展覧会だった。
ちょうど豪雨の福岡。予定が空いた夜には『天気の子』を観ることもでき、ここでも15歳以下に希望を託す作家が!と同時代性に驚愕した。

映画作家の芽=眼は子供のころに生まれているのだ。
映画講座として継続する「映画のコツ」は、子供時代から変わらず持ち続ける何かを、いろんな作家にみせてもらう時間なのかな、と、そんなことをいま、おもった。

ではまた明日!