第41回ぴあフィルムフェスティバル
会期/2019年9月7日(土)~21日(土) *月曜休館 会場/国立映画アーカイブ

招待作品部門

PFFスペシャル講座
「映画のコツ」

映画を志す人が何かのヒントを掴む時間。それがこの講座シリーズ「映画のコツ」です。
多彩なゲストと参考上映を通し、映画の発見、そして映画にあると嬉しい“何か”がそこに現れる。
そんな時間を贈ります。

9月7日(土) 13:45~ 小ホール チケットを購入する

「テラダモケイピクチャーズがついにスクリーンに!」

“真剣にバカなことをやる、ことからしか生まれない何かを可視化する”

建築家でありプロダクトデザイナーの寺田尚樹氏が生み出した紙製の1/100建築用模型「テラダモケイ」。ピンセットとカッターを用いた緻密な組み立てを必要とするこの模型が映画に!寺田氏をお招きしその発想と実践のコツを探る。

◎ ゲストプロフィール

寺田尚樹(建築家・デザイナー)

Naoki Terada

1967年生まれ。ロンドンの建築学校「AAスクール」を修了後、2003年、テラダデザイン一級建築士事務所を設立。08年、「1/100建築模型用添景セット」を展覧会に出展、以後シリーズ化。11年に「テラダモケイ」を設立。

9月8日(日) 17:00~ 小ホール チケットを購入する

「日本のゴダール? 伝説の8ミリ作家、中山太郎傑作選」 
ナビゲーター:松本圭二(フィルム・アーキヴィスト&詩人)

「映画はどこにいてもつくれる」と言われながら、他業種と比しても圧倒的に東京に集中する映画人。が、国内に目をむけると、その土地固有の作家が確かに居る。今回は、東京と並び日本で2つのfiaf認定フィルムアーカイブである福岡市総合図書館が発見した作家中山太郎を紹介。8ミリ個人映画の始祖ともいえる中山太郎の全貌が今ここに!

ナビゲーター:松本圭二

中山太郎Taro Nakayama

1917年生まれ、福岡県出身。33年ごろより父親所有のパテ・ベビー等撮影機でホーム・ムービーを始める。41年、九州医学専門学校を卒業、軍医として入隊。51年、福岡市内に内科医院を開業。52年、進駐軍から8ミリ機材を買い受け、医業の傍ら本格的に小型映画製作に取り組むこととなる。50年代から60年代にかけて、様々なジャンルの作品を自主制作する。また8ミリ映画製作の指導者としても活躍。70年代以降は九州大学医学部や福岡県教育委員会等から委託を受け16ミリの記録映画を多く手がけた。85年、福岡市文化賞受賞。92年、死去。

◎ 上映作品  (協力)福岡市総合図書館

『秋晴れの日に』

1955年/モノクロ /14分

国内の小型映画コンテストで初めて最高位を受賞した記念碑的作品。ただし残存するプリントの状態が非常に悪く、長く見ることのできなかった幻の作品だった。今回、スキャニングによってデジタル化にぎりぎり成功。若く美しい女性の自意識過剰な内面を、彼女自身の独白によって描いてみせるという、かなりチャレンジングな珍作。

『仔熊物語』

1958年/カラー/30分

中山太郎の代表作。完成から5年後の1960年に、カンヌ国際小型映画コンクールでグランプリを受賞している。眠れない息子に、母親が物語を聞かせるという設定。その物語部分がなんとパペット・アニメになっている。親熊、仔熊の人形を作ったのは太郎氏の奥様。自宅に巨大ジオラマを作り、夫婦で作り上げたすさまじい根性作品。

『旅役者』

1958年/カラー/30分

本作も完成から4年後の1962年に、カンヌ国際小型映画コンクールで銀賞を受賞している。
青い目の女座長と呼ばれたロシア出身の旅役者・筑紫美主子。彼女が率いる一座を追った本格的ドキュメンタリー。キャメラは公演の様子を丁寧に追い、さらには彼女の母親としての姿にまで迫る。数ある中山太郎作品のなかでも、その頂点といえる傑作。

『白い道』

1967年/カラー/19分

自主制作の8ミリ作品としては最後となる。医師であるがゆえにアマチュア作家を貫くしかなかった中山氏の、心の奥の嘆きが垣間見える。実験映画という新たなフィールドが確立されつつあった時代に、そこまでは行けないという、彼自身のもどかしさを感じさせる作品でもある。同年、大林宣彦は「伝説の午後・いつか見たドラキュラ」を撮っている。

9月15日(日) 13:30~ 小ホール チケットを購入する

原恵一監督と橋口亮輔監督が映画の神髄を探るシリーズ 
「天才・木下惠介は知っている その3」

映画の黄金期を支えた巨匠木下惠介。その仕事はあまりにも広く高く、語るには長い時間が必要となる。そこで始まった、木下映画を愛するふたりの作家が毎年木下作品を上映して語るこのプログラム。本年は新人監督・川尻将由(『ある日本の絵描き少年』)が聞き手として登場し、映画のコツを掴む。参考上映作品は異色作『日本の悲劇』に決定!乞うご期待!

◎ ゲストプロフィール

原 恵一

Keiichi Hara

1959年生まれ、群馬県出身。『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01年)で大人も楽しめるアニメーション映画を確立。最新作は『バースデー・ワンダーランド』(19年)。

橋口亮輔

Ryosuke Hashiguchi

1962年生まれ、長崎県出身。PFFスカラシップ作品『二十才の微熱』(92年)がデビュー作にして大ヒットを記録。『ハッシュ!』(2001年)、『ぐるりのこと。』(08年)、『恋人たち』(15年)と衝撃作が続く。

◎ 参考上映作品

  • 『日本の悲劇』
    1953年/日本/モノクロ/116分/35㎜フィルム上映
    監督・脚本:木下惠介
    出演:望月優子、桂木洋子、田浦正巳

    旅館で働く戦争未亡人の春子は敗戦後の混乱の中、二人の子供を抱え、かつぎ屋や女としての商売までやって生きてきた。そんな彼女の生き甲斐は二人の子供の成長だったが・・・。木下監督には珍しいリアリズム色濃い作品。春子をとことん追いつめていく厳しい演出は見事。


聞き手:川尻将由

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