オランダから

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2010年も一ヶ月経とうとしてしているときのブログ更新って・・・・遅すぎますね。

ロッテルダム国際映画祭に着きました。年末から、息つく暇のない毎日が続き、取りやめを真剣に考えたロッテルダム参加ですが、海外出品をお手伝いしている石井裕也監督の『君と歩こう(TO WALK BESIDE YOU)』が、昨日28日の1回の上映で、観客投票10位に入っているニュースに喜ばされ、24時間起きてる頭痛も吹き飛ぶ感じです。

本年は日本映画が例年に増して更にバラエティに富むラインナップになり、「東京で見逃してもカバーできるかも」とつい考え反省。海外では日本で観ることの難しい外国映画をみましょうと自分に言い聞かせながらプログラムブックをみています。
映画祭シンボルの虎は、時々デザインが変わるので、それぞれの虎の姿が、作品の思い出とクロスする効果があります。
ロッテルダムの日本映画ラインナップはこちら↓↓
http://www.kawakita-film.or.jp/filmfest.html

更に、ヨーロッパ行きのフライトでは、うまくやりくりすれば、5本の映画を観る事ができますので上空から既に映画祭の始まりです。携帯より少し大きいくらいの画面のパーソナルTVが主流になった昨今の機内装備ですが(昔、大きなスクリーンで数本の映画を決まった時間に上映という方式だったときは、乗客の頭の位置=観ている人の数で人気作品がすぐわかって面白かった)、どの作品が人気か簡単にはわからなくなったことに加え、小さい画面でも力のある映画は明らかにわかるなあという厳しい現実を実感します。例えばまだ公開中の『母なる証明』。いつどこで観ても凄いものは凄いなと再確認。イーストウッド映画のようですね。ロッテルダムでもまた観ようと思わされました。

そういえばポン・ジュノ作品は黒澤明に似ているところもありますね。年末年始に読んだ映画本のひとつ、小林信彦さんの『黒澤明という時代』は、「黒澤の全作品を全てリアルタイムで観ている人間にしか書けない本にしたい」という気迫の伝わる、発見の多い内容です。特に、映画は公開時に観なければ別のものになる(という言葉は使っておられませんが)、ということと、『酔いどれ天使』で黒澤の構築した三船敏郎演じるやくざのファッションが、どれだけ本当のやくざに真似され、彼らのファッションを変えたかという「映画の影響力」にまつわる話は、胃が痛いです。映画が一歩先を行く、ファッションを風俗をつくる、という技術、まだまだ磨ける気がします。

そしてまた、年末にいただいた『冬の兵士』は、予想よりはるかに厳しい、アメリカの志願兵と傭兵を使っての最新の戦争方法に呼吸困難ともいえる困惑を新たにしました。単純に、「徴兵制度があると、戦争の話題はもっと表に出てくる」のかも知れませんが、更にもっと多くの未来への教訓が溢れている感触があります。 この本をきっかけに、ウォネガットが亡くなって興味が更に減少したアメリカ関係のものを、小説も含め久々にいくつか読んでいます。