「PFFアワード2022」入選作品を発表します。
■「PFFアワード2022」入選発表にあたって
ご応募誠にありがとうございます。
セレクション・メンバー全員で2日間に渡る討議を経て、コンペティション「PFFアワード2022 」は別掲の16作品で決定致しました。
「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」9月の東京会場で2回、11月の京都会場で1回のスクリーン上映を行います。また今年も、DOKUSO映画館、U-NEXTで配信を予定しています。
毎年のことながら、セレクション・メンバー17名それぞれが強く推す作品は、見事にばらばらでした。「各人の推薦の言葉が新たにその作品を発見させる」というマジカルな時間に興奮し、その後、クールダウンしながらさまざまに考察を重ね、プログラムを決定しました。
この作品、このつくり手の皆さんと、観客が出会う場となる「映画祭」の準備も、いよいよ本格的に始まります。
映画祭全貌の発表は、8月上旬まで今少しお待ちください。
ここからは、
残念ながら入選に至らなかったものの、熱烈な支持を得、熱い推薦の言葉に感じ入ったり、長い議論が起こった作品などを作品名の50音順でご紹介します。
『会者定離』LI XIONG監督 中国広東省深セン市。赤十字社の職員であり献体コーディネイターの高敏さんを追ったドキュメンタリー。高敏さんの不眠不休の活躍と、献体者の家族の死との向き合いと、驚きの連続でした。(「深セン」は劇中表記のまま)
『ordinary life』魏鵬鶴監督 中国広州市。「自分のカメラがどんな目線を持ちながら彼らの日常を見つめるべきか」と自身に問いながら視覚障がい者のカップルを追ったというドキュメンタリー。発見の多い75分間です。
『かの山』山下つぼみ監督 驚きの導入。俳優の素晴らしい演技。素晴らしい風景。クオリティの高い、濃度の深い、別れることになった夫婦の半日を描く19分。
『スイッチバック』岩田隼之介監督 移民家族が住む団地が有名な愛知県大府市を舞台にした長編映画。土地の記憶と、そこに生きる少年少女の現実。半年の撮影を行った力作です。
『田中家』牧原依里監督 ろう者、難聴者、聴者、それぞれの当事者が出演するろう者当事者による映画表現に、話題は大きく拡がっていきました。
『BACKSTREET』オラノオラオ監督 白黒画面のサイレント映画を模した、ある中年男性の旅の記録。結末が悲しくも美しく、同世代の男性から熱い支持が湧きました。
『光があたる街』鎌滝恵利監督 女性ふたりが福生のアメリカンハウスに引っ越してくる。子供も生まれる様子で、新たな暮らしを始めようとする姿が美しい。
『祭り』打江弥監督 障がいがあることを悩む青年の感情の爆発に心揺さぶられたセレクションメンバーからの熱い推薦に、作品を発見しなおしました。
『まだ君を知らない』福岡佐和子、はまださつき共同監督 4話オムニバス形式。始まりから「謎の物体」が結ぶ落ちまで丁寧に紡がれた力作です。
『Lilypop』青石太郎監督 主演の女性ふたりが輝いている。ドッペルゲンガーという設定も新鮮でした。
最後に、高校生作品の傑作がたくさんあったことを特筆しておきたい本年です。
ますます10代の力に期待が高まります!
『Eye Know』池田周治監督 主演が中年男性と老女である、その物語、そのアイデアに感心しきりです。
『悪魔の足は扁平足』杉園瞳監督 タイトルにどよめきが起きました。素晴らしいセンス。
『Abandon Image』磯﨑恵監督 AIに頼る暮らしをストレートに問題提示します。
『ある内で』大川颯仁監督 自室内のみ、自分のみで映画づくりの難しさを描き切ります。
『hako』川﨑優斗監督 白い箱をメタファーにした「学校」という集団の問題を描きます。
『遊声ストライプ』松本颯人監督 声が、音が、非常に大切なことが生き生きと伝わります。
映画をつくりあげた皆様に、改めて敬意を表します。
ありがとうございました。
■「PFFアワード2022」入選作品
520本の応募作品の中から、今年は16作品が入選しました。
※作品名50音順。上映時間、年齢、職業(学校名)は応募時のものです。
『アクト』78分
監督:田中 夢
(38歳/千葉県出身/俳優・立教大学 映像身体学科卒)
『石川君、行け!!』80分
監督:高階 匠
(32歳/東京都出身/映像制作会社勤務)
『彼は誰時(かわたれどき)』15分
監督:谷本桃子
(21歳/青森県出身/名古屋学芸大学 メディア造形学部映像メディア学科)
『暮れる』52分
監督:竹田優哉
(25歳/広島県出身/神戸大学大学院 国際文化学研究科)
『J005311』93分
監督:河野宏紀
(26歳/神奈川県出身/フリーター)
『瀉血』86分
監督:金子優太
(20歳/東京都出身/青山学院大学 理工学部物理学科)
『水槽』53分
監督:中里有希
(20歳/山形県出身/東北芸術工科大学 デザイン工学部映像学科)
『スケアリーフレンド』76分
監督:峰尾 宝、髙橋直広
(23歳/東京都出身/会社員)(23歳/神奈川県出身/無職)
『バンド』28分
監督:河村 陸
(24歳/千葉県出身/フリーランス)
『ふちしすこ』69分
監督:亀井史興
(40歳/新潟県出身/フリーター)
『ポラン』75分
監督:中村洸太
(23歳/東京都出身/立教大学 社会学部)
『MAHOROBA』14分
監督:鈴木竜也
(27歳/東京都出身/飲食店勤務)
『the Memory Lane』25分
監督:宇治田 峻
(27歳/和歌山県出身/フリーター)
『最も無害で、あまりにも攻撃的』40分
監督:中田江玲
(23歳/東京都出身/慶應義塾 大学環境情報学部)
『幽霊がいる家』12分
監督:南 香好
(31歳/神奈川県出身/フリーター)
『Lock Up and Down』34分
監督:Minami
(27歳/北海道出身/東京大学大学院 総合文化研究科)
■1次審査通過作品
※作品名50音順。
『Eye Know』 監督:池田周治
『碧を着る』 監督:尾関香織
『悪魔の足は扁平足』 監督:杉園 瞳
『あっけない』 監督:福井秀策
『Abandon Image』 監督:磯﨑 恵
『雨が降っていた』 監督:越智亮介
『ある内で』 監督:大川颯仁
『歩く』 監督:西郷マチュリ
『We are movies!』 監督:篠田 衛
『動けば雷電のごとく』 監督:芝 暢佑
『会者定離』 監督:LI XIONG
『ordinary life』 監督:魏 鵬鶴
『OKAN』 監督:村松健太
『階段のふたり』 監督:井上朝陽
『かの山』 監督:山下つぼみ
『ガンガー様の魚』 監督:倉谷真由
『CATS』 監督:坂本有里
『今日はいっぱい』 監督:門田亜里砂
『キラキラキラ!高校生!』 監督:川島遥希
『くっつき村』 監督: 長谷川千紗
『気圧され慣性』 監督:河野史弥
『恋人の友だち』 監督:坂口天斗
『COMPASS』 監督:荒川ちか
『最期の一日』 監督:仲野 毅
『サカナ島胃袋三腸目』 監督:若林 萌
『C地点旅行記』 監督:松本帆乃夏
『Shall we love you?』 監督:田中晴菜
『水魚の交わり』 監督:村田陽奈
『スイッチバック』 監督:岩田隼之介
『清風徐来』 監督:盧 明慧
『ただそこに居る私たちへ』 監督:大門倫子
『田中家』 監督:牧原依里
『他人は自分は世界』 監督:黒木槙仁
『誰も言わない』 監督:霞 翔太
『単線、日々。』 監督:目黒貴之
『伝道人』 監督:十城義弘
『TODOKU YO-NA』 監督:川原康臣
『永峰中村飯塚』 監督:桂木友椰
『ナナメのろうか』 監督:深田隆之
『名前を呼ぶ』 監督:小池優里
『バカヤロー、ありがとう』 監督:小山泰嵩
『hako』 監督:川﨑優斗
『BACKSTREET』 監督:オラノオラオ
『光があたる街』 監督:鎌滝恵利
『ヘルメットワルツ』 監督:西村洋介
『ホープレス・クルーレス』 監督:五味采樺
『MY HOMETOWN』 監督:古川 葵
『まだ君を知らない』 監督:福岡佐和子、はまださつき
『祭り』 監督:打江 弥
『無常』 監督:寺谷千穂
『もぬけの家』 監督:加藤健太
『遊声ストライプ』 監督:松本颯人
『Lilypop』 監督:青石太郎
『レコーディング・ダイアリー』 監督:石倉俊宏
『私は彷徨う』 監督:木田龍馬
『私はたぶん絶対にかわいい』 監督:堀内友貴
■「PFFアワード2022」セレクション・メンバー
※敬称略。50音順。
荒木啓子(PFFディレクター)
稲垣美音(装飾美術制作)
榎本高太郎(映画版権営業)
大川景子(映画編集者)
大久保 渉(ライター/編集者/パブリシスト)
樺沢優希(字幕翻訳者/劇場スタッフ)
木村奈緒(フリーライター)
久保田ゆり(PFFスタッフ)
谷元浩之(映像事業プロデューサー)
長井 龍(映画プロデューサー)
中山雄介(PFFスタッフ)
新谷和輝(ラテンアメリカ映画研究者)
ニコデムカロラク(InlanDimensions International Arts Festival芸術総監督)
髭野 純(映画プロデューサー)
前田実香(映画監督/配給)
村上由規乃(俳優)
森川和歌子(映画人材育成事業スタッフ)
和島香太郎(映画監督)
■入選作品/応募作品データ
<入選作品データ>
【入選数】16本
【年齢】平均:26.5歳 最年少:20歳 最年長:40歳
【上映時間】平均:51.9分 最短:12分 最長:93分
<応募全体データ>
【応募数】520本
【年齢】平均:31.7歳 最年少:14歳 最年長:72歳
【上映時間】平均:36.5分 最短:3分 最長:159分
◎第44回ぴあフィルムフェスティバル2022
<東京>
日程:2022年9月10日(土)~25日(日) ※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
<京都>
日程:2022年11月19日(土)~27日(日) ※月曜休館
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)