招待作品部門

青山真治監督特集

3月21日に逝去した青山真治監督(1964-2022)。8ミリ自主映画制作から助監督、監督へ。同時に、音楽家、小説家、舞台演出家、批評家と多才に活躍した、その膨大な仕事を網羅するには歳月が必要だが、PFFでは青山監督の初期ともいえる時期を彩る個性溢れる35㎜フィルム5作品を緊急特集する。劇場公開の機会の少ない作品でもあり、スクリーンでその才気を堪能してほしい。

9月24日(土) 14:00~

『WiLd LIFe』

1997年/102分
出演:豊原功補、ミッキー・カーチス、夏生ゆうな
ゲスト
豊原功捕(俳優)
おかしくて優しくて粋な青山流ハードボイルド!

津村商会で釘師をする元ボクサー・酒井宏樹。ビデオテープを巡って、恩ある津村社長とその娘、関西のやくざ、元同僚、個性溢れる面々に翻弄されながら最後に...。『冷たい血』『シェイディー・グローヴ』と続く「結婚をめぐる3部作」の始まりでもある。

9月23日(金・祝) 17:00~
(C)2001/2003「月の砂漠」製作委員会
(C)2001/2003「月の砂漠」製作委員会
(C)2001/2003「月の砂漠」製作委員会

『月の砂漠』

2001年/131分
出演:三上博史、とよた真帆、柏原収史
ゲスト
とよた真帆(俳優)
アシタ、アナタはドコにイル?早すぎた傑作

ITベンチャー経営者として時代の寵児となった永井だが、妻子に逃げられ、会社も倒産の危機に直面していた。孤独、焦燥、寂しさ、倦怠、哀しみ。時代を先取りする埋めようのない喪失感を抱えた男の物語。2001年カンヌ映画祭コンペティション出品。

9月24日(土)11:30~ / 9月25日(日)18:00~※追加上映
『赤ずきん』(C)Naoko Tamura
『路地へ 中上健次の残したフィルム』(C)スローラーナー/brandish
『路地へ 中上健次の残したフィルム』(C)スローラーナー/brandish

『赤ずきん』

2008年/35分

『路地へ 中上健次の残したフィルム』

2001年/64分
先達へのオマージュあふれる珠玉作たち

『アタラント号』(34年/J.ヴィゴ)のようにセーヌ川で舟を撮影してみるのも悪くない、と青山監督がパリ郊外のジュヌヴィリエで撮影した短編&作家・中上健次が描いた故郷の路地の風景を訪ねるドキュメンタリー。異色の二本立て上映を実現。

9月23日(金・祝) 13:00~
※このプログラムは、「PFFスペシャル映画講座」として実施します。

「青山真治の音響、そして音楽」
講師:菊池信之(音響技師)、長嶌寛幸(音楽家) 進行:松井 茂(詩人)

(写真左から)菊池信之氏、長嶌寛幸氏、松井茂氏

自身ミュージシャンであり音に強くこだわった青山監督作品を支えた。音響の菊池氏と音楽の長嶌氏が「かなり自由にやってみることができた」と語る、人気テレビシリーズの劇場公開版をもとに、その音作りを語る。青山監督のユーモアと映画史を彩る名作への敬意に満ちた快作。

◎ 上映作品

  • 写真提供:読売テレビ
    写真提供:読売テレビ
    『私立探偵濱マイク 名前のない森』
    2002年/日本/カラー/71分(映画版ロングバージョン)
    監督:青山真治
    出演:永瀬正敏、鈴木京香、大塚寧々

    ある富豪から、自分探しセミナーに行った娘を連れ戻してくれと依頼を受けたマイクは、山梨の山荘へと赴く。そこには「先生」と呼ばれる女性と、互いを番号で呼び合う若者たちがいた。2002年ベルリン映画祭フォーラム部門出品。