招待作品部門
『アッカトーネ』
ヒモを生業とする青年が純真な少女と恋に落ち、生き方を変えようとするが...。戦後の復興を謳われながら尚、過酷なスラムの暮らしを描き、衝撃と論争を巻き起こしたデビュー作。詩才が炸裂する傑作となった。アッカトーネは伊語で「乞食」。
1961年/イタリア/白黒/117分
『マンマ・ローマ』
素人を好んで使うパゾリーニが、本作には国民的女優アンナ・マニャーニを招き、美しく成長した息子を貧しさから抜け出させようと奮闘する元娼婦のマンマ・ローマを熱く強烈に演じさせる。実話からヒントを得たという息子の運命がかなしい。
1962年/イタリア/白黒/106分
『ロゴパグ』
「冷戦時代の世界の終末の始まり」をテーマにロッセリーニ、ゴダール、パゾリーニ、グレゴレッティが参加。パゾリーニの『リコッタ』は、主演の映画監督役にオーソン・ウェルズを迎えるも「キリスト教を冒涜している」と物議をかもした。
1963年/イタリア、フランス/白黒/122分
『愛の集会』
イタリア全土を移動しながら、子供から老人まで多彩な背景、年齢の人々にタブーとされた性や恋愛について聞いていく画期的なシネマ・ヴェリテ。それを作家のモラヴィア、精神分析家ムザッティらと分析し「イタリア」を描こうという意欲作!
1964年/イタリア/白黒/93分
『奇跡の丘』
マタイ伝を忠実に映画化。「無神論者でありながら神の子の物語を描く、という矛盾の中から、この映画のスタイルが必然的に生まれた」と自身が語る革命的イエス伝。多数の賞を獲得し一躍名声が高まる。この作品でニネット・ダヴォリと出会う。
1964年/イタリア/白黒/137分
『大きな鳥と小さな鳥』
放浪する無知な親子(父を喜劇王トト、息子をニネット・ダヴォリ)に言葉を話す不思議なカラスが同行する。やがて知的なカラスにうんざりした親子は...。「生と死」の問題を寓話的な物語形式で描きパゾリーニの転換点となった貴重作。
1966年/イタリア/白黒/86分
『アポロンの地獄』
ソフォクレスのギリシャ悲劇「オイディプス王」をもとに、強烈な母への愛情と父への憎悪=エディプス・コンプレックスを描く自伝的作品。初カラー作品でもあり大女優シルヴァーナ・マンガノが輝く。自由に時代を超える美術や音楽も出色。
1967年/イタリア/カラー/104分
『豚小屋』
中世の戦闘でのカニバリズムと現代のブルジョワ社会の獣姦、2つの物語を交互に進行させるユニークな構成の寓話。ピエール・クレマンティ、ジャン・ピエール・レオ、アンヌ・ヴィアゼムスキーなど、プロの俳優がメインとなるのも新しい試み。
1969年/イタリア/カラー/99分
『デカメロン』
14世紀イタリアの偉大な作家ジョヴァンニ・ボッカッチョが生んだ"百物語"『デカメロン』から8話を、奔放な解釈で映画化。コミカルで愛に溢れ1971年ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。本作から「生の三部作」が始まった。
1971年/イタリア/カラー/112分
『カンタベリー物語』
陽気な「生の三部作」第2弾。14世紀イギリス詩作の父、ジェフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」を長期イギリスロケで実現した、カンタベリーを目指す巡礼たちの艶笑体験談オムニバス。1972年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
1972年/イタリア/カラー/111分
『アラビアンナイト』
「生の三部作」第3弾。「千夜一夜物語」をベースとしたカップルの時空を超える愛の物語。舞台とした北イエメン・シバームの旧城壁都市とエンニオ・モリコーネの音楽が夢の世界を紡ぐ。1974年カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。
1974年/イタリア/カラー/131分