僕は俳優でして、映画を撮る専門でも、映画を語る専門でもなく、ただただ映画に映り込む専門としてここまでやってまいりました。なので、こんなふうに偉そうに審査なんてできる立場ではありません。でも一つ言えるのは、映画の現場はものすごく楽しいです。僕のデビューは16歳で、その時に大人たちに混ぜていただき、ワチャワチャした映画の現場に惚れて、この世界に入ってまいりました。それはいまも変わりません。どの映画の現場でも、揉め事も楽しさも大変さもありますが、みんなで一生懸命つくって、作品が出来上がればみんなで祝杯を挙げております。いまはコロナ禍でそれができていませんが。本当に映画の現場は楽しいです。なので、どうぞ皆さん、つくり続けてください。
個人的に大好きだった作品が『石川君、行け!!』。高階監督、みんなを楽しませる作品を今後もつくり続けてください。それからMinami監督の『Lock Up and Down』。僕も以前はよくアジアを旅行して、ホテルから眺める景色を写真に収めていたので、同じことを考える人もいるんだなと。特にコロナ禍のいま、刺さりました。
最後に・・・今からプロの監督・プロデューサーになる方もいらっしゃると思います。おじさん俳優のご用命の際は、ぜひ光石研をご指名ください。その際、「ぴあフィルムフェスティバル2022」と一言付け加えていただければ特別価格でやらせていただきます。皆さんおめでとうございます。
だんだん表現の自由が失われていくなかで、全てのノミネート作品から、映画って本当に自由だと思わせていただいて、とても幸せな時間でした。自由になれなくて、でも自由になりたくて・・・という人たちがもがいている作品が多かったです。特にコロナ禍のベトナムでつくられた『Lock Up and Down』のなかで、ずっと部屋の中にいた人間が最後はバイクに乗った主観のカットで走っていく、風を切りながら自由に人間が動けるというところを見た時に、私が求めていたのはこの自由だったんだなと思いました。それから、『ふちしすこ』には物語を語らないという覚悟、『瀉血』には自分が撮りたいことへの素直さがあって、やっぱり映画の中ではみんな自由になれるんだと、ノミネート作品を見て強く感じました。
審査会で、とよたさんが「やっぱり撮ることよね」とおっしゃられていました。「どんな時でも撮ることよね」と。以前、青山真治監督から頂いた言葉をみんなと共有したいなと思います。「生きていれば、良いこともイヤなこともある。でも、ほっといても俺たちはまたつくる」。この"俺たち"は、映画に関わる全ての人のことだと思っています。映画を撮る人、映画に出る人、俳優を育てている皆さん、映画祭をやってらっしゃる皆さん、それを開催するために上司に頭を下げてくださっている皆さん、全ての人があてはまると思います。
私も頑張ってつくりますので、皆さんもぜひこれからもつくり続けていただきたいです。
2022年9月22日(木)の「PFFアワード2022」表彰式にて述べられた、各賞授与理由および、最終審査員による総評をご紹介します。[人名敬称略]
授与理由
グランプリ
【受賞作品】
『J005311』
監督:河野宏紀
【プレゼンター】
三島有紀子 (映画監督)
私も8ミリフィルムで自主映画を撮っていたのに、PFFに出すこともできなかったヘタレがなぜ審査員をやることになったのかと思いながら、毎日スクリーンで全作品を見せていただきました。『J005311』を見た時に、私はこの作品にグランプリを獲ってもらうために審査員に呼んでいただいたんだと感じました。審査会でグランプリを決める時に、一生懸命この作品の良いところを興奮してただひたすら話していたんですが、なんと満場一致だったんです(笑)。
この作品を生まないと次に進めないという作品がどの監督にもあると思いますが、『J005311』こそがそんな魂の映画だったと思います。人間に絶対的に寄り添うという優しさが溢れていて、いわゆる"追っかけ"、人物を背中からずっと手持ちで追いかけるカットにもそれは現れています。最後に野村さん演じる男があることを決めた時の、河野監督演じる男からのパンカットに、私はこの世界に生きていてよかったと思いました。その後、キャメラが野村さん演じる男の横顔を捉えて横移動していって、彼が何を今後見ていくのかというところで、その先に河野さんが演じる男が待っていたという一連の流れ。 覚悟のある"優しさで打ち負かす映画"だったと心から思いました。この映画を生んでくれてありがとうございます。
すごく良いタイトルなので、河野監督からタイトルの意味をぜひ皆さんに教えてあげてください。
(河野監督が「ニュースで見たんですけど、宇宙にすでに死んで光っていない星が2つあって、それがものすごい奇跡と言われる確率で衝突したら再び光り出した、その星の名前がJ005311っていうらしいんです。それを登場人物に当てはめて、このタイトルを付けました」と説明)
こんな素敵な意味があると知ってすごく嬉しかったです。この映画は河野監督と主演の野村さんが出会って生まれた映画ですし、映画の中でも男2人が出会って、彼らは再び生き始め・・・まさに生きる星になりました。タイトルの意味を聞いて、私もそのニュースを読んだら、死んでいたはずの星が太陽の4万倍の光を放ったそうです。この映画もそれくらい輝いてくれたらいいなと思いますし、このメンバーの次回作をまたぜひ見たいです。
[副賞:賞金100万円]
準グランプリ
【受賞作品】
『スケアリーフレンド』
監督:峰尾 宝、髙橋直広
【プレゼンター】
菊地健雄 (映画監督)
映画をつくる楽しさや喜びがあふれている作品です。その点が多くの審査員に評価されての授賞となりました。監督お二人の名前でほとんど埋めつくされているエンドクレジットでいちばん笑ったのですが、よくよく考えてみればこの作品のD.I.Yな本質をとても良く表していると思いました。その濃密な自主映画らしさに感銘を受けました。本当にすばらしいです。主演の峰尾桜さんの素敵なお芝居と表情を変えることのないヤバチャリや縫いぐるみとのアンサンブルに対する演出が見事でしたし、ストーリーも最後までどこに辿り着くのかわからないような面白さがありました。そして、縫いぐるみのキャラクターや小道具や美術などの "手づくり感"がある一方で、ストップモーション・アニメ、VFX、実写を見事に融合させたカット割りとかカメラワークや音の設計などの技術的な達成という意味でもその世界観は群を抜いていました。お二人の次回作を楽しみにしておりますので、続けて是非撮っていただきたいです。おめでとうございます。
[副賞:賞金20万円]
審査員特別賞
【受賞作品】
『幽霊がいる家』
監督:南 香好
【プレゼンター】
光石 研 (俳優)
この作品はもうファーストカット、ファーストシーンから、審査員全員もっていかれたという話になりました。微に入り細に入りつくられた、繊細さも持ち合わせた映画だと思いました。それから12分というサクッとした尺もいいですね。次はもっと長い作品もぜひ見てみたいです。どうぞ、撮り続けてください。
[副賞:賞金10万円]
【受賞作品】
『MAHOROBA』
監督:鈴木竜也
【プレゼンター】
とよた真帆 (俳優)
鈴木監督は、以前は実写映画を撮られていて、今回が初めてのアニメーション作品ということですが、宇宙に行ったり体の中に行ったりというアニメーションでしかできない表現をされていて、14分という短い尺の中でありとあらゆるところに飛んでいくという 夢を見させていただきました。コロナ禍なので生まれた作品といいますか、人と関われない状況で、一人でできるもの、少人数でできるものは何かと考えてアニメーションをつくられた。コロナ禍というピンチを逆手にとってチャンスに変えた、素晴らしい、夢のある作品だと思います。ブラックユーモアで、冷めた主人公の目がずっと幸せそうではないのですが、最後に彼が本当の幸せに辿り着けた時にほっとして、人の幸せって何なのかなと考えさせてくれる作品でした。鈴木監督にはこれからも、実写、アニメーション、いろんな分野で、自由に映画を撮っていっていただきたいと心から思いました。おめでとうございます。
[副賞:賞金10万円]
【受賞作品】
『the Memory Lane』
監督:宇治田 峻
【プレゼンター】
玉川奈々福 (浪曲師)
『the Memory Lane』はすごくセンスのいい映画だと、他の最終審査員の皆さんがおっしゃっていました。けれども私はこの映画を鎮魂の物語として見ました。自分たちが知らない間に大学のキャンパスが閉じてしまって、入れなくなっている。キャンパスに対してちゃんとお別れの儀式をするため、仲間で一昼夜かけてスケボーで遊ぶ。場や自分たちの記憶を鎮魂するということが能の構造に似ていると思いました。それから、ただ遊ぶだけじゃなく写真をいっぱい持って行って、遊んで楽しかった、面白かった記憶をその場所に貼り付ける。きっとね、キャンパスもすごく喜んで、落ち着いて終わりを迎えられたと思いますよ。もう思い残すことはないなと思えたんじゃないかな。能みたいだと言うと「それは穿ちすぎだ」というおっしゃる方もいるかもしれませんが、最後にちゃんと神様が出てきたじゃないですか。場を鎮魂するみたいな意識が若い方々にあることがものすごく嬉しくて、ぜひこの賞を差し上げたいと思いました。こんな映画をつくってくれてありがとうございます。
[副賞:賞金10万円]
エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
【受賞作品】
『水槽』
監督:中里有希
【プレゼンター】
堀 義貴 (ホリプログループ会長)
毎年この賞は文句無く面白い作品を選ぼうということでやっていますが、スタッフと色々話しまして、これから先僕らと同じ現場で一緒に働いてみたい、あるいは所属のタレントと一緒に仕事をしてほしいという視点も入れて、今年は作品を選びました。
まず冒頭の主人公のアップのシーンで掴みはOKで、観客に見せようという思いが全編通して感じられました。また、ラストの主人公の叫びが非常に爽快で、終わりがすんなりまとまった、理想的な展開でした。またノミネート作品に音にこだわった作品があまり見当たらなかったのが残念でしたが、この作品ではちゃんと音にもこだわってつくられていたと思いました。いま世界で、日本の女性監督も、そして海外の女性監督も多数活躍されています。中里監督にこれからも映画に関わり続けてほしいと思い、この作品を選びました。
他の作品もいくつか挙げさせていただきますと、金子監督の『瀉血』は何とも気味が悪いモノクロの作品で、昔のデヴィッド・リンチ監督作品が思い出されました。峰尾監督、髙橋監督の『スケアリーフレンド』は文句無くぶっ飛んでいて、どんでん返しの連続ですごく面白かったです。モーションアニメもCGも全部2人でやってしまうという驚きに満ちた作品でした。中田監督の『最も無害で、あまりにも攻撃的』。設定と映像のセンスがうまく絡んでいて、経歴を拝見したところMVの監督をされており、その感性が見事に発揮されたのではないかと思います。ただ全体として「ザッツ・エンターテイメント!」という作品が少なかったという感想を抱きました。今回はこのようないろいろな視点から『水槽』を選びました。おめでとうございます。
[副賞:AMAZON商品券]
映画ファン賞(ぴあニスト賞)
【受賞作品】
『瀉血』
監督:金子優太
【プレゼンター】
岡 政人 (ぴあ株式会社 ぴあ統括編集長)
一般公募で選ばれた3名の審査員の方に映画祭会期中に全作品をご覧いただき、2時間超の審査会議を経て、決まった賞です。私も全作品を鑑賞し、今年も非常に楽しませていただきました。代表して、審査会議で出たコメントを紹介させていただきます。
『瀉血』は初監督作品とは思えないくらい監督の企みとか野心をひしひしと感じた。それからきっと映画が大好きで、たくさん見てらっしゃるように思った。役者の演技もセリフも章立てもしっかりしていて、何よりも観客を意識して映画をつくられている。作品の中で描かれている狂気、居心地の悪さが見ていて身につまされた・・・。そういった声と共に、一般審査員の皆さんの"推し"ということで決定しました。
実は全員が最初から挙げていた作品が『水槽』と『MAHOROBA』。そして『最も無害で、あまりにも攻撃的』、『スケアリーフレンド』、『the Memory Lane』、『ポラン』、『石川君、行け!!』といった作品にも長い時間を割いて議論しました。全16作品について真剣に楽しく語り合えました。ぜひスクリーンで金子監督の作品が見られることを期待しております。
[副賞:映画館ギフトカード]
観客賞
【受賞作品】
『スケアリーフレンド』
監督:峰尾 宝、髙橋直広
【プレゼンター】
入江良郎 (国立映画アーカイブ 学芸課長)
私にとっても強く印象に残っている作品です。殺人鬼が登場しますが、最後は誰がいちばん怖いのか分からなくなる映画。2人だけで何でもつくって、なんとキャラクターの声も2人で担当されています。ですが"手づくり感"というおとなしい表現で足りないような凄まじさがありました。やりたいこと、こういうものを見せたいという気持ちがあふれ出していて、それが観客に伝わり会場をいちばん盛り上げた作品だと思いました。
[副賞:国立映画アーカイブ優待券]
最終審査員による総評
光石 研
俳優
僕は俳優でして、映画を撮る専門でも、映画を語る専門でもなく、ただただ映画に映り込む専門としてここまでやってまいりました。なので、こんなふうに偉そうに審査なんてできる立場ではありません。でも一つ言えるのは、映画の現場はものすごく楽しいです。僕のデビューは16歳で、その時に大人たちに混ぜていただき、ワチャワチャした映画の現場に惚れて、この世界に入ってまいりました。それはいまも変わりません。どの映画の現場でも、揉め事も楽しさも大変さもありますが、みんなで一生懸命つくって、作品が出来上がればみんなで祝杯を挙げております。いまはコロナ禍でそれができていませんが。本当に映画の現場は楽しいです。なので、どうぞ皆さん、つくり続けてください。
個人的に大好きだった作品が『石川君、行け!!』。高階監督、みんなを楽しませる作品を今後もつくり続けてください。それからMinami監督の『Lock Up and Down』。僕も以前はよくアジアを旅行して、ホテルから眺める景色を写真に収めていたので、同じことを考える人もいるんだなと。特にコロナ禍のいま、刺さりました。
最後に・・・今からプロの監督・プロデューサーになる方もいらっしゃると思います。おじさん俳優のご用命の際は、ぜひ光石研をご指名ください。その際、「ぴあフィルムフェスティバル2022」と一言付け加えていただければ特別価格でやらせていただきます。皆さんおめでとうございます。
菊地健雄
映画監督
それぞれの視点の豊かさを16作品全てに感じました。こうした作り手たる皆さんの自分や世界を見つめる確かなまなざしを感じることで、久しぶりに映画を見ながらワクワクするという体験をすることができました。映画祭の期間中にスクリーンで作品を拝見しながら、劇場の暗闇の中で映画が放つ熱を観客の皆さんと共有できたことにも大いに刺激を受けましたし、映画学校に通っていた学生の頃の気分を思い出しながら、映画って何だろうともう一度考え直すきっかけにもなりました。応募された全ての皆さんと、こういう場を作っていただいた映画祭関係者の皆さんの努力に敬意を表すると共に心から感謝いたします。
私はいま最終審査員としてここに立っていますが、思い返せば35歳で映画監督としてデビューするまで全く賞とかに選ばれたことがなかったんです。なので、むしろ受賞した皆さんよりも、残念ながら賞を獲れなかった皆さんの今後の作品に期待しております。映画にはいろんなかたちがあっていいし、それぞれがそれぞれのやり方で続けていって、また皆さんの作品と出会えることを心から願っております。撮り続けることでどんどん自分や世界との向き合い方が見えてくると思います。
本当に素晴らしい体験をありがとうございました。
とよた真帆
俳優
映画を命がけで撮っていた、映画に人生の全てを捧げた青山真治の横にいた者として、映画とは"マジ"、つまり本気であると思っています。グランプリの『J005311』には"マジ"を感じたんです。芝居なのか、現実なのか・・・もしかしたら本人たちを描いているんじゃないかというくらい。カメラワークに関してもカメラマンの方と一体になって撮影されたんだろうと思いました。後にすごく稽古を重ねたと伺って、そうでないとできないようなカメラの動きと、俳優の方々の精神の落としかたに感激しました。河野宏紀監督は20代で私は55歳ですが、人生をちょっと先に生きているだけの人間で、年齢が上だからって威張ることは全くなく、真剣に真摯に作品と向き合って作り上げたその精神を心から尊敬します。これからもずっと希望を持って映画をつくっていただきたいです。この映画で長回しに挑戦し、音楽にも頼らず、一生懸命つくるという"マジ"を見せてくれてありがとうございます。
ノミネート作品の監督の皆さん、コロナ禍で大々的に撮影ができないところを試行錯誤されていて、こういうかたちでも映画をつくっていけるんだ、エンターテイメントができるんだという感動を与えていただきました。これからもみんなが楽しめるような作品をぜひつくっていっていただけたらと思います。
三島有紀子
映画監督
だんだん表現の自由が失われていくなかで、全てのノミネート作品から、映画って本当に自由だと思わせていただいて、とても幸せな時間でした。自由になれなくて、でも自由になりたくて・・・という人たちがもがいている作品が多かったです。特にコロナ禍のベトナムでつくられた『Lock Up and Down』のなかで、ずっと部屋の中にいた人間が最後はバイクに乗った主観のカットで走っていく、風を切りながら自由に人間が動けるというところを見た時に、私が求めていたのはこの自由だったんだなと思いました。それから、『ふちしすこ』には物語を語らないという覚悟、『瀉血』には自分が撮りたいことへの素直さがあって、やっぱり映画の中ではみんな自由になれるんだと、ノミネート作品を見て強く感じました。
審査会で、とよたさんが「やっぱり撮ることよね」とおっしゃられていました。「どんな時でも撮ることよね」と。以前、青山真治監督から頂いた言葉をみんなと共有したいなと思います。「生きていれば、良いこともイヤなこともある。でも、ほっといても俺たちはまたつくる」。この"俺たち"は、映画に関わる全ての人のことだと思っています。映画を撮る人、映画に出る人、俳優を育てている皆さん、映画祭をやってらっしゃる皆さん、それを開催するために上司に頭を下げてくださっている皆さん、全ての人があてはまると思います。
私も頑張ってつくりますので、皆さんもぜひこれからもつくり続けていただきたいです。
玉川奈々福
浪曲師
受賞された皆さん、おめでとうございます。グランプリの授賞式で涙ぐんでしまいました。『J005311』はグランプリで間違いないという作品でした。授賞には至らなかったけれども、とても良いと審査員で話し合った作品がいっぱいありました。特に最後の最後まで私が審査員特別賞に推すかどうかすごく迷ったのが『最も無害で、あまりにも攻撃的』。可愛くて生々しい、新鮮な作品で、そのセンスに感動しました。
ノミネート作品を見てびっくりしたのが、あまりセリフ劇が無かったことですね。自分は浪曲師という言葉が主題の仕事をしているのですが、映像の世界だとあまり言葉に頼らずに映像に語らせるほうが多いんだなと思いました。『石川君、行け!!』で石川君がちゃんと急須でお茶を入れていて、湯呑みに茶渋が付いているところとか、『ふちしすこ』のカメイの部屋に雑誌の「暮らしの手帖」が置いてあることとか、そういうディティールが胸に沁みました。
16作品全てが素晴らしかったです。だいたい520本の応募があったと聞いて、「ちょっとは浪曲のほうにも人が来てくれよ」と思いましたけれども(笑)。それだけ映画をつくる気持ちがある方たちがいるということが素晴らしいですね。受賞された方も受賞されなかった方も、どんどん作品をつくっていくことが日本を豊かにしていくことだと思いますので、頑張っていただきたいです。良い作品を見せていただきまして、ありがとうございました。