招待作品部門
詩人、小説家、脚本家、評論家、俳優、活動家、多くの顔を持ち、映像表現の最先端を、人間の深淵を、激しく、そして純粋に追及し続け、センセーショナルな話題にまみれた比類なきイタリアの知と行動の人ピエル・パオロ・パゾリーニ(1922-1975)。生誕100年を迎えた本年、その軌跡を未体験世代に!
共催:イタリア文化会館
< NEWS >
今回、国立映画アーカイブで上映する18作品・16プログラムに加え、『奇跡の丘』(1964年/137分)、『テオレマ 4Kスキャン版』(1968年/98分)、『王女メディア』(1969年/111分)も含む21作品を、10月22日(土)~11月3日(木・祝)に、渋谷・ユーロスペースにて上映します。
尚、国立映画アーカイブで上映する18作品は、ユーロスペースでの上映も1回のみ、東京で合計2回の上映となります。どうぞお見逃しなく!
また、11月開催の「PFFin京都」では、35mmフィルム作品から10本を上映する計画です。
> ★詳しくはこちらをご覧ください。【パゾリーニ特集チラシ】
『アッカトーネ』
ヒモを生業とする青年が純真な少女と恋に落ち、生き方を変えようとするが...。戦後の復興を謳われながら尚、過酷なスラムの暮らしを描き、衝撃と論争を巻き起こしたデビュー作。詩才が炸裂する傑作となった。アッカトーネは伊語で「乞食」。
1961年/イタリア/白黒/117分
『マンマ・ローマ』
素人を好んで使うパゾリーニが、本作には国民的女優アンナ・マニャーニを招き、美しく成長した息子を貧しさから抜け出させようと奮闘する元娼婦のマンマ・ローマを熱く強烈に演じさせる。実話からヒントを得たという息子の運命がかなしい。
1962年/イタリア/白黒/106分
『ロゴパグ』
「冷戦時代の世界の終末の始まり」をテーマにロッセリーニ、ゴダール、パゾリーニ、グレゴレッティが参加。パゾリーニの『リコッタ』は、主演の映画監督役にオーソン・ウェルズを迎えるも「キリスト教を冒涜している」と物議をかもした。
1963年/イタリア、フランス/白黒/122分
『愛の集会』
イタリア全土を移動しながら、子供から老人まで多彩な背景、年齢の人々にタブーとされた性や恋愛について聞いていく画期的なシネマ・ヴェリテ。それを作家のモラヴィア、精神分析家ムザッティらと分析し「イタリア」を描こうという意欲作!
1964年/イタリア/白黒/93分
『大きな鳥と小さな鳥』
放浪する無知な親子(父を喜劇王トト、息子をニネット・ダヴォリ)に言葉を話す不思議なカラスが同行する。やがて知的なカラスにうんざりした親子は...。「生と死」の問題を寓話的な物語形式で描きパゾリーニの転換点となった貴重作。
1966年/イタリア/白黒/86分
『アポロンの地獄』
ソフォクレスのギリシャ悲劇「オイディプス王」をもとに、強烈な母への愛情と父への憎悪=エディプス・コンプレックスを描く自伝的作品。初カラー作品でもあり大女優シルヴァーナ・マンガノが輝く。自由に時代を超える美術や音楽も出色。
1967年/イタリア/カラー/104分
『華やかな魔女たち』
パゾリーニ(『月から見た地球』)、ヴィスコンティ、ボロニーニ、フランコ・ロッシ、デ・シーカのイタリアを代表する5監督と、クリント・イーストウッド、アニー・ジラルドなど国際的なキャストが参加。シルヴァーナ・マンガノが各話の魔女で登場。
1967年/イタリア/カラー/107分
第1話 『疲れ切った魔女』
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
第2話 『市民気質』
監督:マウロ・ボロニーニ
第3話 『月から見た地球』
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
第4話 『シチリア娘』
監督:フランコ・ロッシ
第5話 『またもやいつも通りの夜』
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
『イタリア式奇想曲』 *日本初上映
1970年代のイタリア社会について、6人の巨匠が辛辣なユーモアを交えて描いた6本の短編作品。パゾリーニは『曇って何?』を監督。喜劇王トトとニネット・ダヴォリが、操り人形に扮して、シェイクスピアの『オセロ』をコミカルに演じる。
1968年/イタリア/カラー/81分
第1話 『子守』
監督:マリオ・モニチェッリ
第2話 『日曜日の怪物』
監督:ステーノ
第3話 『どうして?』
監督:マウロ・ボロニーニ
第4話 『雲って何?』
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
第5話 『海外出張』
監督:フランコ・ロッシ、ピーノ・ザック
第6話 『嫉妬深い女』
監督:マウロ・ボロニーニ
現存する素材が限られているため、上映の画質状態がかなり悪い素材での上映になりますことをご了解の上で、チケットをお買い求めください。
『豚小屋』
中世の戦闘でのカニバリズムと現代のブルジョワ社会の獣姦、2つの物語を交互に進行させるユニークな構成の寓話。ピエール・クレマンティ、ジャン・ピエール・レオ、アンヌ・ヴィアゼムスキーなど、プロの俳優がメインとなるのも新しい試み。
1969年/イタリア/カラー/99分
『愛と怒り』 *日本初上映
ゴダール、ベルトルッチなど5監督が参加。パゾリーニの『造花の情景』の舞台はローマ。大きな造花を持って街を軽やかに歩く青年の屈託のない表情と、戦争、爆撃、虐殺、チェ・ゲバラの最期などの記録映像が、対照的に重なりあう。
1969年/イタリア、フランス/カラー/102分
第1話 『無関心』
監督:カルロ・リッツァーニ
第2話 『臨終』
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
第3話 『造花の情景 』
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
第4話 『放蕩息子たちの出発と帰還』
監督:ジャン=リュック・ゴダール
第5話 『議論しよう、議論しよう 』
監督:マルコ・ベロッキオ
現存する素材が限られているため、上映の画質状態がかなり悪い素材での上映になりますことをご了解の上で、チケットをお買い求めください。
『アフリカのオレステイアのための覚書』 *日本初上映
ギリシャ悲劇の登場人物オレステスを現代アフリカに置く構想で、ウガンダ、タンザニアをモラヴィアと旅した記録。後年『ラスト・タンゴ・イン・パリ』で注目されたガトー・バルビエリの貴重な演奏も記録されている。
1970年/イタリア/カラー/65分
『デカメロン』
14世紀イタリアの偉大な作家ジョヴァンニ・ボッカッチョが生んだ"百物語"『デカメロン』から8話を、奔放な解釈で映画化。コミカルで愛に溢れ1971年ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。本作から「生の三部作」が始まった。
1971年/イタリア/カラー/112分
『カンタベリー物語』
陽気な「生の三部作」第2弾。14世紀イギリス詩作の父、ジェフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」を長期イギリスロケで実現した、カンタベリーを目指す巡礼たちの艶笑体験談オムニバス。1972年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
1972年/イタリア/カラー/111分
『アラビアンナイト』
「生の三部作」第3弾。「千夜一夜物語」をベースとしたカップルの時空を超える愛の物語。舞台とした北イエメン・シバームの旧城壁都市とエンニオ・モリコーネの音楽が夢の世界を紡ぐ。1974年カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。
1974年/イタリア/カラー/131分
『ソドムの市』
「スクリーンの上で堪えられるものの限界に到達したい」と願ったという遺作。時代と場所をナチ占領下北イタリアに置き、宗教、王権、行政、資本を代表する権力者たちの背徳的な行為を、人間の醜さの極限として描き切った超衝撃作。
1975年/イタリア/カラー/118分
短編プログラム(3本立て上映) *日本初上映
(1)『「奇跡の丘」のためのパレスチナ訪問』
1965年/イタリア/白黒/54分
『奇跡の丘』の撮影前に、実際イエスが訪れた土地、ガラリア、ナザレ、ヨルダン、ベツレヘム、シリア、ダマスカスなどを記録した映像。
(2)『インドに関する映画のための覚書』
1968年/イタリア/白黒/25分
宮殿、庭園、工場、新聞社、僧院、読書市などを取材。
第29回ヴェネチア映画祭ドキュメンタリー部門で上映。
(3)『サナアの壁』
1971年/イタリア、イエメン/カラー/13分
ユネスコへの街区保護請願のためのドキュメンタリー。
『アラビアンナイト』イタリア国内初試写時に併映。
現存する素材が限られているため、上映の画質状態がかなり悪い素材の作品もありますことをご了解の上で、チケットをお買い求めください。