3兆円を6211万人で割ってみる

「PFFアワード2011」応募作品を拝見しています。作品と作品の間のリフレッシュに、ちょっとニュースをみてみたら、「原発を全て止めた場合のエネルギー生産必要経費年間3兆円」という試算が政府発表されたとの読売新聞ニュースが出てました。その経費は、電気代として国民負担になる。とも(←でも、それって現状と何ら変わらないんですけど・・・)。
統計局の本日時点での発表によると、実態の掴めない岩手、宮城、福島の3県の就労者データを除外して、現在の日本の就労者人口が、6211万人とのこと。
3兆円を試しにこの数で割ってみると、ひとり年間約5万円弱。月間4千円強。
しかし、今後送電網の自由化が早急になされれば、安全でずっと割安な小さい発電を私たちが個別に選択できる未来が間違いなくやってきますし、既にその未来は夢レベルではない確実なものですから、落ち着いて長い目でみれば、安心と安全を買う金額として、5万円をどう判断するか?の私たちの価値観にかかってくるなと思いました。
「3兆円」と言われれば、ひゃ~!と冷や汗でちゃいますけど、就労者が増えれば、金額も下がりますね。就労率は、決して高くない日本の現状を、ちょっとこの計算でも認識してしまいました・・・56パーセントです。新たなエネルギー産業が生まれれば、就業率も上がる可能性がありますし、新しいことを始めるときの幸福感は、更に何かを生むのでは、と期待できます。
やっぱりここでも「さよなら20世紀」進行したいです。自分の中の勝手なキャンペーン名ですけど・・・
と、そんなことを書いている私は、実は、文化芸術に時間とお金を使って惜しくないと感じる社会を望むものです。そのために働いているものです。ですから、社会のインフラが壊れて、その再生が最優先の状況に、文化芸術の可能性をどう導入できるのか、実は涙がぽろりとこぼれる毎日でもありますが、とりわけ40歳以下、特にこれから母親になる人たちと、10歳以下の子供たちがさらされている危険と、それが更に悪化する可能性を想うと、背筋が凍り今起こっていることから目を逸らすわけにはいきません。
同時に、映画を中心としたクリエイティビティの力についても、考えずにはいられません。
たとえば先日お伝えした、渋谷TSUTAYA4階のPFFコーナー6/25変更ですが、今回は、雑誌「ぴあ」休刊も記念して、「雑誌で知ってみに行った映画、あのときみてて、ほんとうによかった映画」ということで、『東京公園』の公開迫る青山真治監督と、『監督失格』話題沸騰の平野勝之監督に登場願います。
毎回不思議であると同時に感動するのが、作品をセレクションしてくださる方々のリストが、決して重なることがないことです。それはそれは見事に違います。こんなときにも、映画の豊かさと可能性を実感するのです。100人いれば100種の人生。それを昇華する映画という媒体は、多様な社会の賜物ですから、生まれ続けて欲しいと願います。

*青山監督が初めて舞台演出に挑戦する『グレンギャリー・グレン・ロス(GGR)』天王洲銀河劇場にて、明後日10日が初日です!