台湾映画特集など

全く違う話題で、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシエン、ツァイ・ミン・リャンという台湾の3監督の話を、イギリスの映画評論家トニー・レインズさんとした矢先に、台湾からの義援金が100億円を超えたと知り、あの小さな国の日本への親愛に、たじろぐほどの感動を覚えました。どんな風に感謝を伝えればいいか、考えています。
近年、台湾映画がまた興味深くなってきたと盛んに言われています。上映日と滞在日があわないため、拝見できていませんから恐縮ですが、香港国際映画祭でもTAIWAN CINEMA RETURNSという小特集があり、「The Forth Prortrait」「Hotel Blackcat」 「Return Ticket 」「When Love Comes」の4作品が上映されています。そして、素晴らしいタイミングで、台湾映画を多数収蔵している福岡市総合図書館の映像ホール・シネラで、丁度昨日から一ヶ月かけて、台湾映画の歴史をたどる特集が展開されています。貴重な作品満載ですので、是非多くの方に観ていただきたいです。
http://www.cinela.com/#f

PFFの福岡開催会場であるシネラは、通常通り上映が行われておりますが、仙台での会場であった仙台メディアテークからは、施設の復旧にどのくらいの時間がかかるか不明との知らせがきています。
3月11日は、西と東をふたつの別の国にするような天災、と続く人災、だったと海外にいると改めて感じます。東京あるいは、静岡から東は、恐怖を体感し、今後の生活を変えていくことが必要であり、同時にそれが新しい大きな希望という実感がありますが、そこから西は、これまでの日常を継続可能ですので、感覚に大きな違いがあり、それが今後の日本だと思います。福岡市総合図書館と仙台メディアテーク、この二つのホールの状態の違いが、東西の差異を象徴しているかもとふと思いました。

そして、昨日の話題に繋がりますが、香港では、日本の状況を日本人に聞く人は、殆どおりません。気遣いもあると思います。が、こちらから積極的に話をしたほうが、自分たちの状況を客観的に整理できますし、現状は知られていないことも、同時に理解できて役立つとも感じます。
最も知られているのは、勿論、津波、そして最も恐れられているのは、原発事故です。一方、エンターテインメントの自粛は、全く知られていません。が、映画祭世界では、「沖縄コメディ映画祭」の開催で、日本は大丈夫だという理解もあり、エンターテインメントは対外的な印象付けに役立つことを改めて実感しています。

これから、東は、放射能という静かな見えない脅威との向き合い方を探しながら、静かに生活の改革をすすめていく必要がありますが、西は、別の道を進んで欲しいなと思っています。「大丈夫」だと国内外に伝えるためには、西の平常化と、東の福島への遷都が、私が非常に効果的だと思う国の再建です。
311前には戻れないことを前提に、子供たちに危険のない社会をつくるための方法を構築しなくてはなりませんが、人類にかつて例のない今回の状況ですから、どこにも何のマニュアルもありません。私たちがゼロから始めるしかないのだなということをしみじみ再認識するのも、海外という距離を置いた場所にいるからこそだという気がします。そして、月末のイギリス王室の結婚式に日本の皇族が参加しないことをいささか残念に思ってます。日本の状況を、広く伝える得がたい機会だからです。
海外に出る機会をお持ちの方は、出来るだけ計画を変更せず、出来るだけ外に出て交流を続けることが日本のために有効だなとも感じる香港滞在です。