PFFアワード2011公募締め切りました&香港

日本も暖かくなってきたそうですが、香港も本日は珍しく青く輝く、暑くなりそうな空です。
「PFFアワード2011」の公募は昨日3/31の消印有効で締め切りました。ご応募ありがとうございました。これから、1作品を3人で拝見する一次、全員で拝見する二次、と続く審査を15人で取り組み、7月にはご応募いただいた皆様に入選作品の決定をご連絡できる予定です。
暫くお待ち下さい。

さて、3月11日のあと初めて参加した国際映画祭となる香港ですが、「邦画の上映後の質疑応答で、災害のことを聞かれるか?」ということを日本にいるある監督に尋ねられました。
私が目撃できた質疑応答はまだ『世界グッドモーニング!!』のみですから、事例がなさすぎるのですが、観客からの質問は、そこからはじまることはなく、監督のほうから話す。というケースが多いのではないかと予想しています。
例えば、今回、『世界グッドモーニング!!』の廣原監督は、上映前の挨拶から、「災害前につくられたこの作品を、災害を体験したあとでどう感じるか確認したいから皆さんと一緒に見る」と話しました。
そして、上映後には、「すごく古い映画をみているように感じた」と。
この作品に、何かに対する恐れや、崩壊の予感を込めていたことが、現実のものになってしまったことがまだ自分でも整理できていないこと、また、自分自身でもそして観客にも満足してもらえていたラストシーンが、災害のあと、非常に辛いシーンになったと。それは、鳥瞰で主人公を捕らえていくシーンです。
製作当時は、そこには優しく見守る視線があると自他共に感じていたが、今回、ヘリコプターから撮られた助けを求める人々の姿を見たあとは、残酷なシーンにみえたこと、など、言葉を捜しながら、もどかしげに話していました。

また、一昨日の授賞式での想田監督の受賞コメント、以下をご覧ください。↓
http://documentary-campaign.blogspot.com/

職業柄、映画監督と言葉を交わすことの多い私ですが、優れた映画監督(のみならずクリエイター)は、未来を感応すると実感しています。3月11日以降やりとりのあった監督たちは、皆残らずこれまでの日本の価値観が大きく変容することを、極端に言えば、これまでの生活はありえないこと、変えなくてはならないことを当然として受け止めています。また、過去の企画や脚本が、全く別世界のものにみえる感覚を持っている様子です。自分にとって映画とは何なのか、自分はこれからどう活動していくのか、を、多くの人と話して整理していく場所を持つことが、今とても重要なのではないかと感じますが、映画祭はその場所のひとつだと、今これを書きながら思っています。

香港国際映画祭は、バラエティに富む映画祭です。プログラムのセクション数、コンペの数、イベントの数はアジア1.2を争う規模ですが、特に、若い観客の創造に力を入れていることを、昨今強く感じています。
今年面白かったのは、「Festival Tour」。映画ファン10~15名で構成されたグループを20組構成し、映画批評家や研究家が一組づつに担当配備(?)され、映画祭から5作品をセレクト、鑑賞したあと、その映画についてディスカッションする。というツアーです。映画をみて、語る。その行為が、観客を育てることになると同時に、映画監督にとっても、得がたい機会なのだなと、改めて映画祭の役割を感じる今回の滞在です。

さて、本年はロッテルダム国際映画祭に行けなかった私。昨日、ロッテルダムのコンペティションでグランプリ(タイガーアワード)を受賞した話題の韓国映画『The Journals of Musan』をやっと拝見しました。
「喧嘩のシーンを本気でやりたかったので、人に頼むわけにはいかないから自らが主演を演じたが、顔を腫らし、鼻血を出しながらの撮影が多くなり、かえってスタッフに心配をかけて、やりにくくさせて申し訳なかった」と話していた人気沸騰になりそうなPark Jung-bum監督。きっと日本でもいづれかのアジア映画祭で上映されるでしょうから、是非ご覧ください。この作品含め、脱北者を取り上げる作品の増加が興味深い韓国映画です。
ほんとに日本にはたくさんアジア映画を上映する映画祭があって嬉しいなあ~見逃しても何とかなるな~と実は思ってしまう不埒な私。プログラマーの皆様、よろしくお願いします。
そして、チベット映画の『Old Dog』と『The Sun Beaten Path』も是非上映してください。(見逃したので・・・)