あの監督がこんな作品を推薦しています


『悪人』


『ゲゲゲの女房』


『あんたの家』
TSUTAYA渋谷店4階のPFFブースをリニューアルしました。
これから2ヶ月は、「その本気さにやられました」というテーマで、『悪人』の公開を控える李相日監督、『ゲゲゲの女房』の公開を控える鈴木卓爾監督、そして、各地で上映されるPFFアワード2010入選監督から、『あんたの家』の山川公平監督の3名に、強烈な印象を残した映画を5作品づつ推薦いただきました。
実はこの企画、今年2月から二ヶ月ごとに展開しています。「何をみようかな」と迷ったときに、ともかくこのブースにある作品を片っ端からみるといいよという企画です。
ここで、これまで推薦いただいた作品を一挙にご紹介します。
非常識に長くなってごめんなさい。お暇なときに、ちょこちょこご覧いただけると嬉しいです。
さて、現在展開中のPFFブースでは、3監督がどんな作品を推しているか、是非渋谷TSUTAYAを覗いてみてください!


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.1
おすすめします!
今、元気の出る16作品。
未来の映画を担う4名が、新生活を始めるあなたを元気にさせる
とっておきの作品教えます。

2月25日より展開

?市井昌秀監督 『隼』『無防備』?

『聴かれた女』 山本政志監督
「変態」の対義語は「常態」?いや違う。「普通」か。「普通」って何?
引越し先の部屋の壁の薄さから思わず隣室の盗聴を始める男。
そんな男に感情移入していくオレって変態?
俗に言う「変態」が許容される映画。変態バンザイ!

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『ヴァイブレータ』 廣木隆一監督
「誰かと触れ合いたい」って感情は孤独である自分を再認識させる。
孤独な女にさりげなく差し伸べる男の手。
からからの心をそっと、優しく撫でてくれる。
ほんのちょっと元気出ます。

?井上真行監督 『死ねない奴』『一秒の温度』?

『飛べ!フェニックス』 ロバート・アルドリッチ監督
人間、なんとかなるんじゃないかと思わせてくれた、ような気がする映画。
汗ばんだ手を握ってワクワクして観た、ような気がする映画。
映画がいつか断片的な記憶になっていく時、生き抜く力をもらった事だけは確信してる映画です。

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『グライド・イン・ブルー』 ジェームズ・ウィリアム・ガルシオ監督
不信!不安!不自由!
現実に行き場を無くした時、
ここで一人、白バイ警官は戦ってる。
その姿が荒野と溶け合い、とてつもない安心感に包まれる映画。
大人だって信用できる大人が欲しい!
迷わず観ずに、迷ったら是非観て下さい。

?石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他?

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『オリーブの林をぬけて』 アッバス・キアロスタミ監督
ブッシュ政権時に「悪の枢軸」とまで言われたイランで作られた映画。でも本当に優しくて良心のある映画。核兵器云々よりも、こんなにもあたたかくて深い眼差しがイランにある事の方が僕らにとっては重要だと思います。

『イエロー・サブマリン』 ジョージ・ダニング監督
『アバター』を観た直後に、どうしてもこれが観たくなってDVDを買いました。この心地良い想像力の世界に漂うような感覚が僕は好きです。誰もが言いたいのに言えない「All You Need Is Love」を、しれっと歌い上げたレノンはやっぱり素敵です。

『河』 ツァイ・ミンリャン監督
暗くて深い闇を抱えた崩壊寸前の人間達を、愛の眼差しをもって傍観的に観察するような、そんな映画です。意味化を拒むかのように進んでいくストーリーの中で、ワケも分からず時たま感動させられます。人生なんて、そもそもワケが分かりません。

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『カッコーの巣の上で』 ミロス・フォアマン監督
とにかく人間の臭い(駄目さ)をビシビシ感じます。そういったものに触れると、本当に勇気づけられます。安心もしますし、愛おしい気持ちになります。イケメンもいいですが、欠陥人間だって、視点を少し変えればすごくチャーミングに見えるんです。

『黄金狂時代』 チャールズ・チャップリン監督
チャップリンには憧れています。軽いユーモアの中に隠された哀しみ、哀しみの中に隠されたユーモア。この人は「人生」というものを完璧に悟ったんじゃないか、その上で極上の娯楽映画を作ったんじゃないかと僕は勝手に想像しています。

?満島ひかりさん 女優?

『乙女の祈り』 ピーター・ジャクソン監督
まるで作品の中に何かが宿ってしまったかのように、全ての瞬間が瑞々しい。
作品の中の人々は、人間というよりも、生き物と呼ぶ方が、ふさわしいと思う。

『サマリア』 キム・ギドク監督
こんな映画は観たくなかった。16歳の時に観て、衝撃を覚えた。
キム・ギドク監督の作品はほとんど鑑賞したけど、この作品に、最も心が痛んだ。

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『恋する惑星』 ウォン・カーウァイ監督
フェイ・ウォンがもの凄く可愛い。魅力的過ぎて、恋してしまいそうなくらいに
想像力が、好奇心がみなぎる映画です。多分、50回は観たような。

『ローズマリーの赤ちゃん』 ロマン・ポランスキー監督
信じられないほど怖い。ミア・ファローを始め、役者が皆本当に素晴らしい。
音楽も、演出も、素晴らしい、他に類をみない作品。ただ、信じられないほど怖
い。

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『ロリータ』 スタンリー・キューブリック監督
夢うつつな、哀しい愛の話。観る時によって、状況によって、感じ方が様変わり
する。優しさと虚しさが、作品中に煌めき、漂っている。


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.2
悩んだ時はこれをみる!
~私の人生を明るく照らす秘密の映画たち~
3人の映画監督がこっそり教えます

4月28日より展開

?石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他?

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『ストレイト・ストーリー』 デヴィッド・リンチ監督
悩んだ時は、シンプルなものが一番。主人公のお爺ちゃんが兄貴と十年ぶりに再会するラストシーンは、この上なくシンプルで、だからこそ胸を打たれる。静かでやりきれない、孤独な夜に一人で観るのが乙だと思います。

『アンダーグラウンド』 エミール・クストリッツァ監督
悩んだ時は、楽しいものが一番。ただ楽しいだけのものは馬鹿げているし、腹が立つ。だがこの映画は、人間に課せられた宿命のような悲しさを吹き飛ばそうとする、人間の根源的な明るさ、パワーを感じさせてくれる。

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『ガープの世界』 ジョージ・ロイ・ヒル監督
悩んだ時は、ファンタジーが一番。原作者は、僕が高校生の時から大ファンであるジョン・アーヴィング(映画監督よりも昔から作家に憧れます)。想像力さえあれば、人生のどんな苦しみや悲しみをも乗り越えられる。

『モダン・タイムス』 チャールズ・チャップリン監督
悩んだ時は、チャップリンが一番。「教師も政治家も、大人なんて誰もが嘘をついているんだろ」と疑っていた中学生の時、チャップリンだけは「本当」を真摯に語っている気がした。それは今でも変わっていない。

?塚本晋也監督 『鉄男』『双生児』『ヴィタール』『鉄男THE BULLET MAN』他?

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『七人の侍』 黒澤明監督
高校生のころ、劇場中の観客がどよめくというすごい体験をした。それ以来、そんなどよめきのほんの少しでも起こせないかと映画を作り続けています。

『ブレードランナー』 リドリー・スコット監督
ご存知サイバーパンクの金字塔。「鉄男THE BULLET MAN」のお父さん的存在です。今回は特にこの映画へのオマージュが強い。映像美を追求する徹底的なパワーに力をもらいます。

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『タクシードライバー』 マーティン・スコセッシ監督
何度見たことか。見るたびに新しい発見がある。「タクシードライバー」のようなエポックメーキングな映画が作りたくて、映画作りの旅を続けていると言えます。

『青春の蹉跌』 神代辰巳監督
ショーケンのなんとかっこいいことか。井上堯之さんの音楽のなんといかしたことか。中学生のとき、はじめて怪獣映画でない日本映画を映画館に見に行った作品。僕の青春そのものです。

『赤い殺意』 今村昌平監督
本当のできごとがカメラの前で起こっているのかと思ったほど衝撃を受けた。ヌーヴェルバーグの映画を見るような、俳優の体から発するエロティシズムを含んだパワーを感じた。

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『レインマン』 バリー・レヴィンソン監督
心が落ち着くので、何回でも見る。ぼくにとっては癒しの映画です。俳優の演技に、深いメソッドがあるようで、映画を勉強したことがないぼくはそれはどんなメソッドなんだろうと興味がわく。



?深川栄洋監督 『自転車とハイヒール』『60歳のラブレター』他?
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『E.T.』 スティーブン・スピルバーグ監督
初めて映画館に行ったのは、子供会での体験。スクリーンの迫力、音の振動、大勢で一緒に観る環境に、同じく映画初体験の姉二人と圧倒され、終演後も放心状態。深川家は無言のまま、帰路に就きました。僕の原点です。

『グーニーズ』 リチャード・ドナー監督
母にお小遣いを貰って初めて友達と観た映画。ロードショーでは無く、何度目かのリバイバルでした。プロになり、深川くんはどんな映画が作りたい?と聞かれたら、いつもグーニーズの様な子供が活躍する冒険活劇が作りたいと言ってます。

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『家族ゲーム』 森田芳光監督
映画の専門学校に入った時、実は監督は無理だと思って、録音部志望でした。色んな映画を観る内に、僕の様な人間がスクリーンに居た。『なんでもない、普通の人々』。僕はこの映画から『お前でも良いよ』と言われた気がする。

『百貨店大百科』 セドリック・クラビッシュ監督
大人になり、僕はフランス映画に人生を教わりました。そして映画はフランス映画に学んだように思えます。僕には夢がある。数年後、ヨーロッパに旅立つ。今まで作った映画を仏訳して、上映会をしていた頃のように映画館を回る旅を。

『スティング』 ジョージ・ロイ・ヒル監督
日本では無い映画。お洒落で、ユーモアに包まれ、人生を語り、出演者は素直、音楽は豊かに流れ、痛快な物語。あのメロディーが聞こえてくると、その世界にひき込まれる。誰にもあると思いますが僕には特別な一作。


TSUTAYA PFFブース企画2010 vol.3
スクリーンでみたい!
映画祭でみたい!
はじまる!
第32回PFFぴあフィルムフェスティバル

6月25日より展開

?石井裕也監督 『剥き出しにっぽん』『川の底からこんにちは』他?

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『バートン・フィンク』 ジョエル・コーエン監督
中学生の時、深夜のテレビ放送で観ました。思春期に抱えていた孤独や不安、人生に対する違和感のようなものが、この映画の中に描かれている気がしました。あくまでも「気」ですが。だからこそ非常に勇気づけられた覚えがあります。

『真夜中のカーボーイ』 ジョン・シュレシンジャー監督
ビデオで観ました。「よく分からない人達」が「よく分からない世界」の中でもがきながら、戦って負ける話です。この「よく分からない」感じがとても印象的で、リアルなんです。この「よく分からない」は、時として「よく分かる」よりも貴重です。

『短編集ヤン・シュヴァンクマイエル』 ヤン・シュヴァンクマイエル監督
高校生の時、美術の先生がビデオで見せてくれました。「衝撃」以外の何物でもなかったです。世界は広い、と思いました。映画で人生観が変わったのは、これまでチャップリンとシュヴァンクマイエルだけです。

『赤い橋の下のぬるい水』 今村昌平監督
18歳の時、深夜のテレビ放送で観ました。ああ、ここまで自由に映画を作ってもいいのかと、背中を押された作品。女の「潮」が高く高く噴き上がる場面では、人間の「自由」を感じました。以後、自由を感じられる映画は偉大だと確信。

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『ジャック』 フランシス・フォード・コッポラ監督
BSのテレビ放送で観ました。人より4倍のスピードで成長してしまう少年の物語。少年とその周囲の人達が楽しそうに笑えば笑うほど、どこか哀しげに見えるという、不思議で優しい世界観。同監督の『ゴッド・ファーザー』より素敵です。

?荻上直子監督 『かもめ食道』『めがね』他?

『モーターサイクル・ダイアリーズ』 ウォルター・サレス監督
革命家チェ・ゲバラの若き日の旅行日記。親友とふたり、バイクに二人乗りして旅をする。青い空とまっすぐに続く道。この映画を見ると、明日、旅に出たくなる。若者だけがもつ自由で
尊い時間を満喫してください。

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『蝶の舌』 ホセ・ルイス・クエルダ監督
涙です。素晴らしいラストシーンです。人と馴染めない少年が老いた先生からいろんなことを教わります。自然のこと、蝶のこと、人生のこと。しかし、スペインの内戦が少年から大好きな先生を引き離す。ああ、涙。

『イル・ポスティーノ』 マイケル・ラドフォード監督
詩は、ときにどんなものよりも強く心を動かされる。イタリアの小さな島で、詩人と地味な郵便配達員が交流する。島の美しい風景とうっとりするような詩が重なって、見てるこちらもう
っとり。耳元で囁かれたい。

『天国の口、終りの楽園』 アルフォンソ・キュアロン監督
エロイ!すばらしくエロイ!美しくエロイ!17歳の少年2人が年上美人と「天国の口」を目指して旅をする。メキシコの暑くて青い風景の中、酒飲んでセックスして、少年たちは大人になる。ラストはジーンと切ない。

『グッバイ、レーニン!』 ヴォルフガング・ベッカー監督
ドイツ統一直前に倒れた母。昏睡状態から覚めた母に、ショックを与えないよう、統一された事実を隠そうとする息子。その奮闘ぶりが優しくて悲しくて可笑しい。空に浮かぶレーニン像に重たい歴史を想う。

?平林勇監督 『TEXTISM』『SHIKASHA』他?

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『西瓜』 ツァイ・ミンリャン監督
やりきってるところが素晴らしい!怖じ気づかず、やりたいことを、やりたい放題にやっている。ストーリーで追わず、絵画や彫刻と同じ見方で見ると、ゴロッとした強烈な印象が残る。

『楢山節考』 今村昌平監督
やりきってるところが素晴らしい!人間という動物の陰影がギッシリ詰まった作品。カンヌ映画祭のパルムドールを2回も獲った今村昌平監督作品。

『ダーククリスタル』 ジム・ヘンソン監督
やりきってるところが素晴らしい!人間は1人も出てこないけどアニメじゃなくて実写映画!すべて想像上の生き物!ここまでやりたい放題作れるなんて!

『オアシス』 イ・チャンドン監督
やりきってるところが素晴らしい!扱いづらいテーマや設定を、堂々と真正面から逃げずに作っている。ここまで出来る女優がすごい!それをやらせる監督もすごい!

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『カルネ』 ギャスパーノエ監督
やりきってるところが素晴らしい!馬肉!肉!肉!肉体!40分という中編で、ここまで肉な世界観を構築できるのが凄い。うらやましいのひと言。