ヒエロニムス・ボッシュ


若松孝二監督



山村浩二監督



平林 勇監督



矢口史靖監督



鈴木卓爾監督



ジョン・カサヴェテス監督



イ・サンウ監督
本年のPFFメインビジュアルは、お馴染みのカメラを持った幼稚園児奈緒子の、ヒエロニムス・ボッシュ煉獄探訪です。
厳しい時代を楽しもう、生き抜こうという、渡部満画伯のメッセージですね。
ボッシュの好きなデザイナーさんの多さに、いろんな製作物の進行も盛り上がっています。
今月中旬には、まずはポスターが登場しますので、ご期待ください。

ボッシュといえば、オランダの中世の画家ですが、同時に、マイクル・コナリーの生み出したアメリカの孤独な刑事も同じ名前を持ちます。複雑な過去を背負って、殺人犯を追うハードボイルドヒーロー。ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュという珍しい名前も、その過去と関係します。
著作の多くは映画化権を早くに買われているといわれているコナリーですが、なかなか実現していません。(昨年のクリント・イーストウッド特集で、コナリー原作による『ブラッドワーク』を上映しました。こちらは、主人公はマッケイレブというFBI捜査官ですが)
最新翻訳作品『エコー・パーク』のあとがきによると、コナリー作品には未訳のものがまだまだあること、しかし、昨今の海外小説の販売不振で、出版社が購入に二の足を踏んでいることが語られていました。洋画の不振と同じことが起きています。
評価の高い作品は値段が高騰している→しかし日本での海外作品の需要は減少している→投資分の回収が出来ない→日本に入ってこない

沢山外国語をマスターして、全部原語で読んだりみたりすることを考える時代になったようです。
映画も文学も、状況はどんどん100年前に戻っていますね。

実は本年のPFFの招待作品部門も、邦画が中心になります。
まず、インディペンデントの王者とも言える、若松孝二監督の特集。
ここでは、ネガの存在だけ確認された作品、DVD化されていない作品など、貴重な作品の上映や、若松監督ゆかりの3監督の選んだmy best Wakamatsu企画など、レア企画満載です。若松監督にもご登場願います。

そして、「日本に於いて短編映画とは何か」を考える特別講座。
短編アニメーションについて山村浩二監督に、世界の短編映画状況について平林勇監督に、長編監督にとっての短編映画について矢口史靖&鈴木卓爾監督に作品上映とお話をお願いします。撮りおろし作品も登場します。

PFFは、その始まりの1977年から、映画をつくる人、つくりたいと思っている人、映画を知り始めもっと映画をみたい人、映画で何かをしたい人のためのプログラミングを行っています。
33年前に比べて、学生が自分の生まれた街よりも郊外に置かれた学校に通い、授業のカリキュラムと課題とバイトに追われて、都心で映画をみること、あるいは、学外で自分の居場所をみつけることが困難になっている昨今、映画をスクリーンでみないまま、映画をつくるのも普通になってきました。
そんな中で、PFF開催の2週間は、映画という刺激のある時間と空間をつくれたらと考えています。
上記のプログラムの他に、インディペンデント映画の父であるジョン・カサヴェテス作品、韓国のファズビンダーとも言われる、イ・サンウ作品など、海外の刺激的な作品も上映します。勿論、映画祭の花と言われる、最新作品のプレミアも。

わずか二週間なのに、我ながら眩暈のする豪華なプログラムを揃えた第32回PFF.
今月中旬に詳細を発表です。
7月16日~30日。夏休みのスケジュールに、PFFを入れてください。