座頭市とか時代劇とか
阪本順次監督の『座頭市 THE LAST』の公開が来月に迫ってきました。
劇場公開時に拝見したいと考えていますので未見なのですが、今回、「最後の座頭市」を演じる香取真悟さんに「PFFアワード2008」の最終審査員を務めていただいた際、その真摯な仕事に感じ入ったこともあり、期待が高まっています。
90年代から、時代劇や時代小説にかなり親しんでいる私ですが、ティーンネイジャーの頃に興味があったか?と問われれば、ぜんぜんなかった気がします。けれども、そんな年頃でも、魅かれてやまない方は沢山おられるでしょう。
また、時代劇映画のガイドブックとして、素晴らしい本もあります。
様々な時代小説の編者として著名な細谷正充さんの編纂された『時代劇原作選集~あの名画を生み出した傑作小説~』です。過去に色々な人に薦められて観た映画が網羅されていたことにまず感動。そのうえ、原作と映画の違いも一目瞭然。二弾三弾と編纂していただきたくなるのです。2003年に編まれた本ですので、現在では紹介されているソフトの入手が容易ではないかもしれませんが、一体どの映画から観ればいいのか迷われたら、是非お薦めしたい本です。 時代小説では、新世代の登場が盛んですが、ベストセラーとなっている高田都さんの『みをつくし料理帖』シリーズ3冊は読み出したら止まりません。心と体に沁みる料理と人情の物語ですが、「人情」となると時代設定を江戸時代にするのが一番しっくりくるのかなあ・・・と改めて考えます。現代を舞台に、人情物語は成立しないのか?物語をつくる仕事に携わる人々にとって、これは大きな課題。
現在の料理にまつわる人情話、を考えていると、小説ではありませんが、魚柄仁之助さんの『世渡りの技術』のあとがき。それから、久住昌之さんの『野武士のグルメ』からいくつか。を思い出しました。昨年出版された本からは、これらが強く印象に残っています。
ところで、時代小説の書き手には、かつて脚本家をなさっていた方や、監督だった方など、映画にまつわる方々も多くおられるのですが、日本映画監督協会の事務局におられた河治さんも時代小説家として活躍しておられます。最近は歌川国芳一門を主役に置いたシリーズ『国芳一門浮世絵草紙』が楽しみなのですが、丁度今、府中の市立美術館で、膨大な数を揃えた国芳の展覧会が開催されています。国芳の絵を見てから河治さんの小説を読むと、更に楽しいかも知れません。今日はちょっと現実逃避して時代劇のことを考えてしましいました。
来週にはPFF32回めのプログラムを固めるべく、鋭意調整中です。
『座頭市 THE LAST』
5月29日(土)ロードショー