第32回ぴあフィルムフェスティバルいよいよ始動します
木村威夫さんが突然亡くなり、その膨大な資料を引き継いでいく人たちのことを考えていました。
日本で最も細部に渡って、日本人の生活の足跡を美術の資料として集め続けておられた方です。
PFFでは、1994年に最終審査員をお願いし、その後も幾度かお目にかかる機会に恵まれました。
つい一週間前には、所沢のイベントで上映した『人のセックスを笑うな』の美術について井口監督とお話し、木村さんの"神の降りてくる"お仕事について伺ったばかりでした。
残念です。
木村さんもそうですが、20世紀の前半、大きな戦争の前に生まれ、青春時代を過ごされた方々の創作に打たれることが多いことは、多くの方が感じていることだと思います。
本年はそんな体験のビッグチャンスがひとつあります。
スクリーンで上映される機会が実はあまりない黒澤明作品ですが、今年は増えます。小林信彦さんの「黒澤明という時代」と、文庫化された脚本家・橋本忍さんの「複眼の映像」を読んでからスクリーンで黒澤映画を観れば、映画学校に行かなくても大丈夫。映画がとてもよくわかります。
ほんとです。
是非多くの方にこうして大画面の黒澤体験をしてもらいたいと思っています。
さて、発見の多かった今年の香港国際映画祭ですが、コンペの受賞がやはり多かった中国の自主映画の動きは、どうしても無視できません。
奥原監督からも少しお話を伺った中国の自主映画製作ついては、また改めてご紹介したいと思っています。
帰国してから、一番大切なのは、勿論第32回ぴあフィルムフェスティバルの準備です。
まず、コンペティション部門「PFFアワード2010」の入選発表を、4月9日に予定しています。
その後、5月中旬には、映画祭の全貌を発表する計画です。
今年は、我ながらかなり多彩な映画祭になりそうです。どうか"映画祭貯金"の開始をお願いします。後悔させない2週間を約束します。
ほんとです。
あ、最後に、香港でのお薦めのレストランは、ノースポイントの市場の2階にある「東寶」と、ジョーダン駅の近くにある「新斗記」。「東寶」には、フルーツ・チャン監督の『花火降る午後』を観てから出かけられることをお薦めします。出演者の経営するお店です。創作料理も多い活気溢れる味です。「新斗記」は、かつて映画関係者のたまり場だった伝説の店「新兜記」の突然の閉店に、その味を惜しむファンたちの呼びかけで、音は同じまま文字を変えて新にスタートしたお店です。子豚のローストが絶品です。