福岡&仙台&美味しいお店

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まず、福岡の瀬々監督による大島渚講座についてです。
学生運動に詳しい瀬々監督ですから、同じく京都大学時代、運動に参加していた大島渚監督の作品について、「どの視点からどの世代に向かって描いていたか」という、非常に面白い話を展開してくださいました。"運動に参加すること"と、"映画監督になること"がシンクロしていた時代が、確実にあると思います。それらの人々による、作品の解析は、この混乱した世相に非常に役立つのではないかと、もっと他の機会がつくれないかと考えてしまいました。
福岡での上映は、『太陽の墓場』と『日本春歌考』。
2作品とも、松竹から提供いただいたプリントでしたが、どちらもとてもよい状態で、福岡市立総合図書館が持つ非常にクオリティの高い映像ホール「シネラ」の大画面での上映は格別でした。

今年のPFF企画のはじまった春からずっと、大島&イーストウッド漬けの日々のためか、大変まずいと思いつつ、現在の劇場公開作品がゆるく感じられてしまって困っています。1930年代生まれの監督たちの持つ冒険心、好奇心、強さを、現在にふさわしい別の形で継承していくつくり手の出現を期待している自分を知るこの半年でした。

そして、哀しいかな、その大島&イーストウッドとも、来週末の神戸と名古屋のPFF開催を最後にお別れです。
先週末の仙台では、映像専門学校の授業の一環として、イーストウッドの『許されざる者』を約70名の10代の学生にみていただきました。幾人かの方々の心に、小さく痕跡が残ってくれることを祈っての上映でした。
仙台会場の「せんだいメディアテーク」は世界的に評判の建築物で、市の図書館としても、さまざまな講習会やイベント会場としても、大変利用頻度の高い、街のランドマークです。9回目のPFF開催で初めて宮城県出身のPFFアワード入選者が登場したこともあり、老若男女の非常に熱心なお客様にご来場いただけました。
今年はアワード入選の4監督が来場して、上映後のトークを行ったのですが、全国で一番豊かな時間が持てたかもしれません。『映画製作において、手を抜いていいところはひとつもない』ことを、つくり手として痛感させられる、映画の中の小道具、舞台設定、台詞などについての鋭い質問が、特にご高齢の方々から出、なにひとつないがしろにできないものづくりの厳しさと楽しさを再認識させられました。
PFFアワード作品=自主映画をこれまで一度もみたことがないであろう多くのお客様の姿に、主催者としては、少々ハラハラしましたが、良い時間となって大変うれしく思いました。

実は全国ツアーは、各地の美味しいお店を再訪する楽しみでもあります。毎年各人「ツアー貯金」をして年に一度の贅沢に備えます。福岡は「山ちゃん」、京都は「有恒」、仙台は「一心」や「Jus」や、数え切れないほどありますが、これは仙台の担当者の小川さんも美味しいもの好きで一緒に参加してくれるからです。関西は神戸の「千代」や大阪の「炭味屋」、「花かご」など、関西の胃袋大王の宣伝マン、船井さんが教えてくださいます。
いや、食べ物の話になると激しく脱線するので、このへんで。

週明けの24日は、鎌倉で「アカルイミライ」と「トウキョウソナタ」の上映の後、黒沢清監督と対談という川喜多記念映画文化財団の企画に参加します。10年ぶりくらいになる鎌倉行きですので(思い出してみますと、前回はジャジャンク監督と山形国際ドキュメンタリー映画祭の藤岡さんと小津墓参にまいりました)、さまざまな映画関係の場所を散策してみようと思っています。
最近、鎌倉を舞台にと言えば、吉田秋生さんの漫画「海街diary」。新刊がものすごく待ち遠しいです。

そんなこんなで、明日から始まるFILMEX、また数えるほどしか参加できそうもなく悲しくなっています。
海外の映画祭でみそびれた映画は、「大丈夫だ、TIFFとFILMEXで日本語字幕つきでみせてくれる!」と自分に言い聞かせて帰ってくるのに、東京にいると、ほんとに映画祭に通うのが難しくなります。今年はコンペや招待作品以外に、メルヴィルあり、私の一番生まれたかった30年代特集はあり、ず~と浸っていたかっただけに、心から残念です・・・・・

と悲しんでもいられません。
PFFの神戸開催には兵庫出身でグランプリ受賞の井上監督はじめ蔦監督、加治屋監督、岩永監督が、名古屋開催には、愛知出身の武田監督はじめ、飯塚監督、蔦監督がやってきます。蔦監督はとうとう全国制覇達成しそうです。
是非ご来場ください。

また今日も長くなってしまいました・・・