「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」著名人5名の推薦コメント到着&『豚小屋』字幕付き予告編を公開!
「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」、ユーロスペースと京都文化博物館の上映日時が決定しました。
詳しくは、こちらからご覧ください。⇒【パゾリーニ特集チラシ】
そして、本特集に向けて、かつてパゾリーニ作品に衝撃を受けた、5名の著名人から推薦コメントをいただきました。
■ヤマザキマリさん(漫画家・文筆家)
私がパゾリーニの作品と初めて出会ったのは17歳の時でしたが、その時に得た衝撃は私の中にあらゆる実情を受け入れる受容体を作り上げました。
映像を世界共通の新たな言語であると称し、我々を拘束する倫理を客観視することで、人間の生の真意を繊細かつアグレッシヴな表現によって暴き出そうとした詩人パゾリーニは、満身創痍になりつつも立ち上がり続けた孤独な闘士だったと捉えています。
パゾリーニの作品を知るのと知らないのとでは、私の人生も確実に違っていた。これだけは間違いありません。
【パゾリーニ未体験の人におすすめするなら...】
『マンマ・ローマ』
■城定秀夫さん(映画監督)
パゾリーニ全作品上映なんてチャンスはそうそうないですよ!
映画を志すすべての人に観てもらいたいです。「なんだこれー、よくわかんないけど面白い!」となるかもしれませんし、ならないかもしれません。高校生の頃の自分はなりました。
【パゾリーニ未体験の人におすすめするなら...】
『テオレマ』
神が宿っているような美しい物語、美しい映画。
実のところ意味とか大して分かっていないのですが、そんなのはどうでもいいのです。
圧倒的な美の前ではあらゆることが無意味になると、この映画が語っていますから。
■小野寺系さん(映画評論家)
若い時代に体験したパゾリーニ作品は、閃光のように心を貫き、いまでも衝撃の余韻が身体のなかに燻っている。彼が"謎の死"を遂げる直前に撮りあげた『ソドムの市』が到達したのは、人がどれほど悪辣になり得るかという極限の表現だった。悪逆の限りを尽くした狂宴の果てに姿を現すのは、人間の正体であり、我々の内面の鏡像でもある。その姿から目を逸らさない者だけが、人間を、世界を理解することができる。
【パゾリーニ未体験の人におすすめするなら...】
『豚小屋』、『ソドムの市』
かつて人間の真実を探求し、イタリアから世界を席巻した巨匠監督たち。なかでも『豚小屋』『ソドムの市』を撮ったパゾリーニは、その深部に最も迫った。いまだこれらの作品は、現在の我々の姿を描く"最新の映画"であり、豚小屋の豚として生きる日常から脱出する武器である。
■宮代大嗣さん(maplecat-eve/映画批評)
パゾリーニの映画には人物を撮ることのプリミティブな喜びが溢れている。ニネット・ダヴォリがストリートをスキップする『造花の情景』のような喜劇性。パゾリーニの映画においては、喜劇のすぐ隣にすべての終わりと始まりがある。束の間の生は花火のよう咲き乱れ、体ごと砕け散ってしまう。しかしその残香は、なんと馨しいことだろう!
(※『造花の情景』...オムニバス映画『愛と怒り』のパゾリーニ監督作)
【パゾリーニ未体験の人におすすめするなら...】
『大きな鳥と小さな鳥』
喜劇俳優へのリスペクトとパッション!パゾリーニの覚悟が刻まれた記念碑的傑作!
■四方田犬彦さん(批評家)
世界は根底を失ってしまった。神々は零落して放浪し、時間は廻りくることを忘れてしまった。
この疲れきった現代にあって、神聖なるものはどこにあるのだろうか。
聖女は本当に実在して、奇跡を起こしてくれるのだろうか。
これが『テオレマ』を通してパゾリーニの差し出した問いである。
半世紀前、彼が非業の死を遂げたとき、答えられる者はひとりもいなかった。
イタリアにも、日本にも。いや、全世界にも。
世界映画史のなかで突出する鬼才監督の全貌が、今、明らかにされようとしている。
また、ヴェネチア映画祭で賛否両論を巻き起こした、パゾリーニ中期の傑作『豚小屋』(1969)のオリジナル予告編を字幕付きで公開しました。ぜひご覧ください!