◎コンペティション部門 PFFアワード2014

中学生27人と作り上げた瑞々しい群像劇

『ひこうき雲』

Contrail
[2014年/25分/カラー]

監督・脚本・撮影・編集:柴口 勲

助監督:安達真実子、植木晋太朗/音楽:岡村奈央子/撮影:小畑来夢、坂倉 梓
出演:前田紘輝、川添瑞貴、渡邉 凌、吉村颯真、宮野志都、川本美樹

この映画のキーワード

  • キャスト、スタッフは27名の中学生
  • 夏休み前日の小さな事件
  • 爽やかな感動

セレクション・メンバーによる解説

物語は夏休みの前日。とある中学校の教室で、「修学旅行の予定表」が破き捨てられるという小さな事件が起こる。一体誰が…?しかし、これをきっかけにクラスメイトの心が繋がり、大きな輪となる。
初めて観たのに、どうしてこんなに親しみ深いのだろうと思った。空気の合う人との出会いのような映画だ。それが嬉しかった。この作品では12歳~14歳の生徒がそのまま生徒役を、同じく教師が教師役を演じているわけだが、その演技は奇抜さや小賢しさとは一切無縁。とにかく、とてつもなく素直で素朴、言葉は人肌のように温かくて、微笑みのように柔らかい。健康な血の通った感覚がある。わたしはきっとそのことに一番心を揺さぶられたのだ。彼ら彼女らの経験した夏の1日は、永遠のように切なく、輝かしい。本物の若さに「二度」はない。

文:森下くるみ(文筆家・女優)

監督:柴口 勲 しばぐち・いさお

1967年 福岡県出身。山口県立下関中央工業高等学校卒業
デジカメで写真ばかりを撮っていて、映画は愛しすぎているゆえ動画に近づかないようしていました。が、初めての短編『周南の娘』が地方の映画祭で小さな受賞をしたとき、自分にしか撮れない物語があるような気がしました。情報とマニュアルだらけの昨今ですが、そちらには組しない人々はきっとどこかにいて、もしかすると途方に暮れているかもしれない。そんな人々に映画を届けたいと勘違い(?)したまま歩いている気がします。2012年に母校の中学校で講演を依頼された際、語るよりも在校生と一緒に映像制作をしたいと申し出て『月日貝』を撮りました。ここから学校との関係が深まり、『月日貝』の1年後の続編『ひこうき雲』を作りました。集まった中学生27名の参加希望者とまずはワークショップをおこない、キャスト14名とスタッフ13名に振り分けて夏休み中の土日に撮影。ワークショップ中に掴んだキャストの素の素晴らしい部分をそのまま生かした絵にするよう心がけ、スタッフには撮影を進めながらアドバイスをしていきました。この作品は中学生27人と一緒になって作った映画で、それは地図を持たない冒険でした。

繰り返し観ている作品
『明日に向かって撃て!』(69年/ジョージ・ロイ・ヒル監督)
『花とアリス』(04年/岩井俊二監督)
最近観て面白かった作品
『別離』(11年/アスガル・ファルハーディー監督)
『海炭市叙景』(10年/熊切和嘉監督)
好きな映画監督
ガス・ヴァン・サント、是枝裕和、佐々部 清
主役にしたい俳優
瑛太、満島ひかり、イッセー尾形

【フィルモグラフィー】
『ひこうき雲』(2014年/25分/カラー)、『奏でられて』(2014年/7分/カラー)、『東京散歩』(2013年/20分/カラー)、『月日貝』(2012年/3分/カラー)、『愛を買う場所』(2012年/15分/カラー)、『go EAST』(2011年/20分/カラー)、『何気ない日々に』(2011年/63分/カラー)、『イッセー尾形とあの人「今昔二人物語」ドキュメント』(2011年/7分/カラー)、『周南の娘』(2010年/3分/カラー)

◎関連映像

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月13日(土) 14:30~ / 2014年9月17日(水) 15:30~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月14日(日) 12:00~ / 2014年12月19日(金) 12:00~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 13:30~
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 10:30~ ※柴口監督、来場予定。
  • 【福岡会場】2015年4月25日(土) 15:30~ ※柴口監督、出演者など来場予定。

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