◎コンペティション部門 PFFアワード2014

PFFアワード2014 審査員特別賞受賞作品

左右田次郎、お前は誰だ!

『人に非ず』

Quiet & Evil
[2014年/65分/カラー]

監督・脚本・撮影・編集:矢川健吾

脚本・出演:佐藤考太郎/録音:丸山勝之/美術:新谷 葉/助監督:辻本 守/衣装:石川ひろみ/整音・音楽:浜田洋輔
出演:椎橋綾那、大瀬 誠、よこえとも子、藤枝真樹、高橋有香

この映画のキーワード

  • ツインピークスのような不協和音
  • 静まり返ったリゾートホテル
  • 小笠原諸島を捉えた画力

セレクション・メンバーによる解説

小笠原諸島の父島にある観光客向けホテル・ホライズンにひとりの新人従業員がやってくる。彼は、海と山の豊かな自然に囲まれた一見のどかに見える日常生活の裏に、閉鎖的な環境からくる陰鬱な人間関係があるのを垣間見る。それは人知れず、陰惨な事件の萌芽の温床となっていた。
小笠原諸島の雄大な海や山を背景として展開する、ほとんど動機を欠いたまま淡々と行われる凶行と、それらを背後に覆い隠すことでむしろいままでなかった輝きを取り戻す日常とのコントラスト。人間らしいのかそうではないのか。世界のごくごく一部に過ぎない人間の狭い基準によって立てられたその問いが、鳥、獣、虫、あるいは山や海といった、人ではないものたちの間で発せられる時、その意味をまったく変える。

文:結城秀勇(ライター・映写技師)

監督:矢川健吾 やがわ・けんご

1987年 神奈川県出身。多摩美術大学映像演劇学科卒業
大学に入ってすぐ、授業でBOLEXというカメラを使って撮影したのが映画制作を始めるきっかけでした。母方が小笠原出身で、祖父が持っている土地を探しに、昨夏ひとりで行きました。せっかくだから少し生活しようとバイトしたのが、舞台になったホテルです。主人公と同じように夜勤の宿直業務みたいなことをして、あのベッドで寝ていました。宿直しながら脚本を書いて、登場人物名もほとんどホテルの従業員仲間の名前と同じに。主人公を演じた佐藤考太郎は大学の同級生で、半分はアテ書きです。佐藤以外のキャストは、小笠原からスカイプと電話でオーディションして決めました。スタッフとの打ち合わせや準備もすべてそういった遠隔でのやりとりでした。小笠原までは東京から船で25時間半かかります。撮影はホテルのオーナーが貸してくれた大きな家に合宿して行いました。ロケ地も車も貸してもらい、節約のため釣りをして食糧を調達。実は、まだホテルの人たちに完成作を見せていません。見てもらうのは、ちょっと反応が怖いです(笑)。

繰り返し観ている作品
『2001年宇宙の旅』(68年/スタンリー・キューブリック監督)
『タクシードライバー』(76年/マーティン・スコセッシ監督)
『うつしみ』(99年/園 子温監督)
最近観て面白かった作品
『風立ちぬ』(13年/宮崎 駿監督)
好きな映画監督
スタンリー・キューブリック、テレンス・マリック
主役にしたい俳優
特になし

【フィルモグラフィー】
『人に非ず』(2014年/65分/カラー)、『ビヨーンドのあなたへ』(2010年/80分/カラー&白黒)

◎予告編

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月13日(土) 11:30~ / 2014年9月17日(水) 18:30~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月15日(月) 16:20~ / 2014年12月18日(木) 16:20~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 16:00~ ※矢川監督、来場予定。
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 15:30~ ※矢川監督、来場予定。
  • 【福岡会場】2015年4月26日(日) 14:00~

このページの上部へ戻る