監督:塚田万理奈 つかだ・まりな
1991年 長野県出身。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業
卒業制作で何を撮るかの段階で壁にぶつかりました。不器用なので、例えば自分の好きなものは何か考えても、本当に好きなのか、好きと言える自信ってなんだろう等々、キリがなくなって。私には書くものが何もないって思ったとき、ある方から「気持ちがゆらいで不安なそのままを書けばいいじゃないか」と言われました。主人公のちかげを歯科衛生士に設定したのは、資格が必要な職業ではあるけれど、人の口の中を掃除する単調な仕事でもあり、ある種の虚無感を抱くのではないかと思ったから。登場人物の名前は、ちかげは「影」ですが、みどり、あおい、きいと、色の名前にして、衣装や小道具もそれぞれの色を反映させました。話のなかの駒であるキャラクターではなく、いろんな思いを抱えて今を生きている人間にしたかったから。人は最終的には土に還って無になるけれど、土は生命が生まれる場所でもある。いま抱えている不安は確かに存在していることに気づいて土と一体化したとき、そこから再生が始まるという気持ちを込めました。
- 繰り返し観ている作品
- 『ジャーマン+雨』(06年/横浜聡子監督)
『エレファント』(03年/ガス・ヴァン・サント監督) - 最近観て面白かった作品
- 『ROOM237』(12年/ロドニー・アッシャー監督)
- 好きな映画監督
- 横浜聡子、古厩智之、ガス・ヴァン・サント
- 主役にしたい俳優
- 無回答
【フィルモグラフィー】
『還るばしょ』(2014年/36分/カラー)、『あぐりとなな』(2013年/10分/カラー)