◎コンペティション部門 PFFアワード2014

PFFアワード2014 審査員特別賞受賞作品

介護に追われる女性を、監督自身の体験をもとに描く

『埋み火』

Banked Fire
[2014年/32分/カラー]

監督・脚本:山内季子

撮影:足立友梨/編集:本田佐恵/録音:横田昌信/照明:尾山颯介/制作:小川 学/助監督:石黒裕章、田中 篤/撮影助手:小寺安貴
出演者:武田多佳、松原大貢、飯尾弘子

この映画のキーワード

  • 介護に追われる閉塞感
  • 手を洗い続けるヒロイン
  • 監督の実体験も含む機微な脚本

セレクション・メンバーによる解説

田舎町のスーパーで魚をおろし続ける比富美は、小さなアパートで寝たきりの母親を介護中。東京から戻った大輔との再会で、心の奥深くに埋めていた希望の光に手を伸ばそうとするが…。20代半ばで介護に縛られる閉塞感を、手を洗うという行為で表現。比富美の未来に光が射すよう心を込めてエールを送りたい気持ちにさせられる。
江口のりこに少し似た風貌の比富美は、魚の生臭い匂いが染みついた手をゴシゴシ洗う。帰宅すると、母親のおむつを替え、再び手をゴシゴシ。大切な母親が快適に過ごせるよう心をくだいているが、介護生活の不安を聞いてくれる友人はいない。この生活からいつか解放された暁に自分に何が残るのか、そもそも解放されるのか、解放を望んでいいのかも、わからない。そんな暗闇の絶望感のなか手を洗いつづけるけなげな姿に、涙を禁じ得ない。

文:片岡真由美(映画ライター)

監督:山内季子 やまのうち・しゅうこ

1989年 青森県出身。東放学園映画専門学校映画制作科卒業
英文科専攻の大学入学で東京に来て2年後、ぷっつりと学校に行かなくなり、退学。もともと虚言癖というか作り話が好きで(笑)、ストーリーを考えるのが大好きなので、映画の専門学校へ。『埋み火』のシナリオを書いているとき、入院中だった母が危篤状態になりました。「もうだめかも」という連絡が入るなか、東京で撮影を続行したのは、たぶん、現実を受け入れたくないというか、どこかで「まだ大丈夫」と思いたかったのかも。でも、向き合わなければという気持ちもあって、そのぐちゃぐちゃした感情のなか、この作品が生まれました。私の場合、何より脚本を書くことが大好きす。映画を撮るために脚本を書くというより、書きたくて書きたくて書いて、せっかく書き上げたのだから自分で映像にしたいという順番。たぶん、作り話好きの発散にもなっていると思います。

繰り返し観ている作品
『サマーウォーズ』(09年/細田 守監督)
最近観て面白かった作品
『グランド・ブダペスト・ホテル』(14年/ウェス・アンダーソン監督)
好きな映画監督
無回答
主役にしたい俳優
無回答

【フィルモグラフィー】
『埋み火』(2014年/32分/カラー)、『宙に浮く』(2014年/15分/カラー)

◎予告編

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月13日(土) 14:30~ / 2014年9月17日(水) 15:30~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月14日(日) 12:00~ / 2014年12月19日(金) 12:00~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 13:30~
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 10:30~ ※主演の武田多佳さん、来場予定。
  • 【福岡会場】2015年4月25日(土) 15:30~

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