◎コンペティション部門 PFFアワード2014

フランス映画の軽やかさと土着的な日本感覚の不思議な融合

『暁の石』

Dawning Stone
[2014年/30分/カラー]

監督・脚本・撮影・編集:清原 惟/監督・録音:飛田みちる

出演:坂藤加菜、橋本日香里、菊沢将憲、吉村英治

この映画のキーワード

  • 少女たちのモラトリアム
  • 鮮麗なロケーション
  • フランス映画のような感覚

セレクション・メンバーによる解説

母が失踪して3か月の佳子は、干上がって水際に大量の魚の死体が浮かぶ不気味な沼で幼馴染みの光子と再会する。佳子は職にも学校にも付かず、光子は夏休みを迎えたばかりだった。かつてのように、沼地、図書館、「神殿」と呼ぶ廃屋、森などで無為の戯れに興じる2人。一方で母の部屋に籠り、母の実体を感じられなくなった佳子は、光子を伴ってある行為を行う決意をする。
この映画は通常想起されるような母の不在への閉塞に向かわず、少女たちの戯れを通じ、生活の何処にも属さぬ、あてどなき時間そのものを鮮やかに掬い取ってみせるという大胆な映画的挑戦に満ちている。しかしその感触は、戯れに興じる少女たち同様に殊の外軽やかで、フランス辺りの一連のバカンス映画をも彷彿とさせ、良い意味でどこか日本映画らしさを欠いている。

文:江川太洋(フィルムラボスタッフ)

監督:清原 惟 きよはら・ゆい

1992年 東京都出身。武蔵野美術大学映像学科4年在学中
高校生のときに初めて自主映画を作り、大学入学後に作った『ムーンドーン』と本作は、同級生の飛田みちると2人で「飯田春子」というユニット名で制作。本作は主に私が演出、飛田がプロデュースを担当するかたちで制作しました。夏休みに感じた、どこにも所属していない感覚がずっと続いたらどんなだろうと想像したのが、お話の出発点です。主演2人は、同じ大学の同じ学科の友達。卒業後も映画を撮りつづけたいです。

繰り返し観ている作品
『彼女たちの舞台』(88年/ジャック・リヴェット監督)
最近観て面白かった作品
『アクト・オブ・キリング』(12年/ジョシュア・オッペンハーマー、クリスティーヌ・シン、匿名監督)
好きな映画監督
アンドレイ・タルコフスキー、清水 宏
主役にしたい俳優
イザベル・ユペール

監督:飛田みちる とびた・みちる

1992年 茨城県出身。武蔵野美術大学映像学科4年在学中
メディアアートに興味があって大学に入ったものの、自分にはまったく向いていないと自覚。それから映画を撮るようになりました。私の家の近くの沼で撮影しました。きれいな沼という設定だったのに、ロケハンに行ってみたら水が干上がっていて一面に魚の死骸が散らばっていました。まったくの想定外でしたが、これに合わせて話を変えました。もうすぐ卒業制作の撮影に入りますが、それは清原とはべつべつに作ります。

繰り返し観ている作品
『ツィゴイネルワイゼン』(80年/鈴木清順監督)
最近観て面白かった作品
『女っ気なし』(11年/ギヨーム・ブラック監督)
好きな映画監督
ハル・ハートリー、小津安二郎
主役にしたい俳優
ジェイソン・シュワルツマン

【フィルモグラフィー】
『暁の石』(2014年/30分/カラー)、『ムーンドーン』(2013年/85分/カラー)

◎予告編

◎上映日程

  • 【東京会場】2014年9月13日(土) 18:00~ / 2014年9月17日(水) 12:00~ ※監督、出演者など来場予定。
  • 【京都会場】2014年12月14日(日) 12:00~ / 2014年12月19日(金) 12:00~
  • 【名古屋会場】2014年12月20日(土) 13:30~
  • 【神戸会場】2014年12月21日(日) 10:30~ ※清原監督、来場予定。
  • 【福岡会場】2015年4月25日(土) 15:30~

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