第35回PFFまであと46日

9月14日。第35回PFF初日までの残りの日々を数えて愕然として、つい「失踪しちゃおっかな」と心で呟く夜です。
もう大人ですからしませんが。

先週末には、恒例のPFFアワード入選監督の皆様にお集まりいただいてのオリエンテーションを実施しました。これから起きることの説明を兼ね、入選監督間の交流をはかる会です。

年々、増々、商業映画と自主映画の差がなくなっていることを痛感する、入選監督の皆さんから伺う制作体制。フィルムコミッションの力、スタッフ&俳優の力、映画制作参加者の本気度の高さを、作品を通してのみならず、このオリエンテーションで伺う話から、目が眩むように感じます。

自主映画、いま、ほんとにおもしろいから、是非、PFFでアワード16作品体験してほしいのですが、さてこれを、どう伝えていけば映画祭会場に足を運んでもらえるのか。これからどんどん開催告知に力を入れなくてはです。

また、シネクイントで初開催となる今年のPFFですから、何が起こってもいいように現場の準備を慎重にしなくてはなりません。が、その前の、招待作品プログラム発表、ただいま追い込みです。

本年は、映画状況の厳しさばかりが取り沙汰される現在、一体どんな方法をもって映画をつくり続けることができるかのヒントになるような、講座形式の映画紹介プログラムを計画しています。
例えば、海外という選択。
例えば、配信という選択。
例えば、自主制作を極めるという選択。
などなど、未来に繋がる選択でつくられた作品の上映をするとともに、監督をはじめとする製作者に、つくり続ける秘訣を伺うという、「連続講座仕立て」で企画をしています。
勿論、映画をみたい!!というその為の来場大歓迎!です。

また、本年逝去された特撮の巨匠、レイ・ハリーハウゼン監督の代表作のいくつかを、小さな追悼特集として上映し、あわせて、特撮という素敵に手作りな映画の技術と、CGという技術との融合について未来を提示できるプログラムも企画中です。

うわ!
46日前なのに、この不吉な「企画中」という言葉は何でしょうか・・・と、またふっと失踪したくなる現実が襲う・・・

加えて、間もなく、8月11日から、35回開催記念&『HOMESICK』公開記念イベントも、オーディトリウム渋谷と映画美学校エクランで始まります
この開催にあわせて、第35回PFFのチラシ完成配布を計画しています。
その前に、このHPに、第35回の特設ページもオープン準備中。
今暫くお待ちください。


え~このブログ、またもや一か月以上更新されていませんでした。
一体何をしていたのかと申しますと、「PFFアワード2013」ラインナップを決定し、8月のイベントを完成し(あ!追いかけまして本日、8/17土曜日の、8mmフィルム作品オールナイト上映ラインナップを発表しました!園監督と平野監督に焦点を当てるプログラムです)、第35回の招待プログラムを構築していました。
最終審査員の交渉、更には、「PFFアワード2013」作品の海外映画祭への営業も既に始まっております。

正直なところ「第35回PFF開催一か月前の8月にプレイヴェントを入れる」というのは、かなり無謀だったなと今しみじみしていたりしますが、同時に、初体験の会場が増えていくのが、どうしようもなく楽しみだという、イヴェント中毒な自分も感じるのでした。

そして、実は、そんな中、突然関西巡りにも行ってきました。
東京を離れると、地方で映画興行に携わる方々の危機感がそくそくと伝わってきます。
未来に向けての工夫や連帯した行動も、とても伝わります。
危機感が、そのまま具体的な行動に繋がっている感がある。
一方、そんな場所から東京を眺めると、正直、なんだかちょっと変。
ふっと今いる場所を離れて、自分のやっていること、やれることを考えてみることの必要性が、ますます重要に思えてくる旅です。

興行の悩みとは、つまるところ、映画も「習慣」にならなければ、映画館でみることは難しい。という現実。映画館でみるときは、「必ず誰かを誘って出かける」それが私たち、映画館に行く習慣が少しでもついている人たちの果たすべきことではないのかな、とますます強く思う昨今です。

(つい、ひとりで行ってしまうのよね。そして、ひとりで何本かみてるのよね。
ということは、日本人の平均映画館での映画鑑賞本数が年に1本だというのは、完全に平均という数字の怖さで、一生に一度も行かない人が殆どだということなのよね)といつも心で呟いている私は、ともかく「ひとりで映画館に行かないぞ」運動を始めようと思うのでした。
理想的には、小学校の前の駄菓子屋のばばあになって、子供たちが集まったら毎日でも映画館に連れて行くという暮らしでしょうか?
とそんなアイデアを話してましたら、友人から「すぐ誰か騒いで映画館の前に警察が張ってるなんて状況になるのが現代」と言ってましたが、「映画館に連れてくぞおばけ」というおせっかいなばーさん、じーさん、かーさん、とーさん、にーさん、ねーさんが増えればいいなと思うのです。

全く話が飛んでしまいました。

そして、今回、会場を東京国立近代美術館フィルムセンターからシネクイントに移すことになって、フィルムセンターで過ごした5年の間に、一般劇場はすっかりデジタルに移行したことを、浦島太郎のように(ちょっとオーバー)に知るのです。

フィルムセンターは、映画のオリジナルフォーマットを厳守する場所でしたので、上映作品のプリントを探すのに苦労しましたが、シネクイントでは、DCPが主流。35mm映写機は1台のみですので2台使っての架け替え方式は不可能です。

映画祭使用フィルムの交渉をする海外のアーカイブはどこも、「プリントは繋いではならない=架け替え上映に限る」という誓約を求めるのが普通ですので、今回、恐る恐る、「一巻に繋いでの上映」の許可を貰えないか交渉したところ、なんとOKが!!
更には「DCPもあるけどどっちがいい?」とも!
(そして、DCPのほうがレンタル料が高い!!)
変わる変わる、あっという間に変わる状況。
逆に言えば、過去のフィルム作品のDCP変換予算がつくれなければ、これから古い映画の上映チャンスが大幅に減っていくという現実もあるわけです。

例えばPFFスカラシップ作品。
時代によって制作フォーマットが違います。
16mmフィルムでつくられたものの損傷が激しいので、ニュープリントを焼くとなると早く手立てしなくてはなりません。

今、現像といえばすぐ名前の浮かぶIMAGICAの、フィルムに関する運営がすべてIMAGICA WESTに移行ちゅうです。京都の研究者の方々を中心に定期的に、「映画の復元と保存に関するワークショップ」も開催されるそうで、本年第8回も夏にあるとのこと。
PFFからも是非参加したいワークショップなのですが、いかんせんその時期は身動きとれず残念です。

実は今年、PFFアワード2013入選作品に2本、16mmフィルム作品があります。
映写機持ち込んで上映します。
8月は8mm,16mm,35mm,デジタルフォーマット作品の上映。9月は、16mm,35mm,DCP含むデジタルフォーマット作品の上映、と、「映画祭上映は効率と無縁にあるな」としみじみするのでした。

「効率」
なんだか近年、あまりいい意味に使われているとは思えないこの言葉。
効率→均質→無慈悲な世界、というイメージがどうにも湧いてきます。
話はちょっと飛びますが
「フェアトレード」とか、「新人」とかいう言葉に私はいささか弱い。
そんな告知が出ている店とかギャラリーとか、ふらふら~と入る傾向が高い。

「フェアトレード」という言葉のことをぼんやり考えていたのですが、
それって、平等取引。"平等"というのは、つまり、植木等。
無責任シリーズの主人公は、平等=たいらひとし、でした。
無責任シリーズの平等は、実は働き者で、誰もやっていない交渉を成功させ、前例のない新たな仕事を生み出す人でした。
戦中にあらわになった、ヒステリックな精神主義で実は具体的な仕事のノウハウのない組織主義で空威張りでいじめが趣味なひとたちの牛耳る世の中に対する痛快な反撃だったのではないかと、あの映画のことを考えました。
またみたくなりました。

なんだか結局話が遠くにきてしまいました。
どうか皆様第35回PFFプログラムお楽しみに!
シネクイントでお会いしたいです!