ロッテルダムの話に戻りまして、テレビドラマ特集など
忙しい=心を亡くす、という言葉を使わないように心掛けているのですが、年末からずっと、忙しいと言わざるを得ない状況で、ちょっと困っています。
と、今頃1月の映画祭体験を記すことの言い訳ですけど・・・
事前リサーチの足りない映画祭参加の反省も続いておりまして、ロッテルダム現地でChanging Cannelsと題されたテレビドラマの特集を知りました。
昨年のPFFでも、テレビドラマに焦点を当てましたので(いや、2作品だけで規模が比べものにならないと言われればそれまでですが・・・)「世界中で考えることは同じだなあ」としみじみしてました。
そして、是枝裕和監督の「ゴーイングマイホーム」一挙上映を知ったのでこっそりみにいきました。ちなみに、ただいまイギリスで公開中の是枝監督最新作『奇跡』は、『歩いても歩いても』に続き大ヒット中だそうで、ヨーロッパでの人気も変わらず高い是枝作品です。
実は私は随分長くテレビのない暮らしをしておりまして、みたいテレビ番組は友人の録画をを借りるという習慣です。テレビ版「まほろ駅前多田便利軒」を、2,3話まとめてみるのが、今、日々のものすごい楽しみでございます。ありえないキャスティングに、プロデューサーの孫家邦さんへの敬意が高まる次第です。
テレビ番組をそんな観かたするな~と怒られそうですが・・・
で、「ゴーングマイホーム」。
ロッテルダム映画祭がこの特集のために英語字幕をつけたそうです。ふとっぱら。
これまた豪華キャストで、「猫のホテル」はじめ、小劇場の俳優さんたちの活躍も楽しい作品でした。
一挙にみますと、毎回流れる主題歌(マッキー)を覚えてしまいまして、会場ではインターバルにハミングしてる人がちらほらいたのが、面白かった。日本語の歌詞は、みなさん覚えられないですからハミングですね。
脚本監督を毎回ご自身で完全に続けられたそうで、広告業界の話や、ファンタジーや、過疎地の恋愛や、さまざまなことが詰め込まれており、特に、宮崎あおいさんを中心としたあるエピソードの回には、度肝を抜かれました。また、『歩いても歩いても』ファンなら、阿部寛さんとYOUさん姉弟と家族の会話を、またまた堪能できます。
そして是枝監督がロッテルダムに来るとは知らず、上映後にトークがあってびっくり。
その後、席を同じくする機会があり、このドラマに登場するお料理の本が出るのか確認してみましたら、残念ながらその予定はないということで、特に美味しそうだった、チームナックスの安田さん演じるYOUさんの夫がつくるホタテごはんの作り方を教えていただきました。そして今、宮崎あおいさんのつくるラーメンサラダの作り方も習えばよかったと反省中。
それはともかく、是枝監督はこの特集のための対談に呼ばれたわけで(私は拝見していないのですが)やはり、モデレーターが、「テレビより映画」という話に持っていきたい進行だったという話を伺いました。
テレビより映画、とか、デジタルよりフィルムとか、そういう比較はもういいかなと最近とみに感じています。それどころではない、という焦燥感のほうが高いと申しましょうか・・・「内容」の話をもっとしませんか?という感じと申しましょうか・・・
テレビでも、映画でも、映像作品をたくさんつくって、あらゆる現場経験を積んでということが、誠に大切ではないかと思う次第です。
ロッテルダムでは、みたい映画が多すぎて、各特集をはしごするように過ごしてしまったのですが、ジョニー・トーの新作DRUG WAR(中国大陸撮影で更に度肝抜かれる迫力ですよ!)が完全な満席ではないのには少しびっくりしたことに始まり、アジア映画よりヨーロッパ映画のほうが動員がよくみえたました。
実は、今年のロッテルダムは予算4割減との噂を耳にしたのですが、劇場スタッフの大幅な様変わりなどみると、確かにそれはあるかも・・・と感じたのです。
映画祭と予算。どこでも頭の痛い話題です。ひとごとではありません。
話は突然現在の東京に戻りまして(私は今京都にいるのですが)月曜25日から、TSUTAYAのPFFブースの展開が変わります。25日から2か月間は、「仕事の楽しさ 仕事の苦しさ」と題しまして、春をむかえ、新たな仕事に挑戦する季節に、仕事を描く作品たちを3名の方々に選んでいただきます。
新作『ゼンタイ』公開を待つ橋口亮輔監督、公開迫る石井裕也監督『舟を編む』出演の池脇千鶴さんと、宇野祥平さん。お三方の選ぶ17作品にご期待ください。
また、4月5日から2週間、テアトル新宿で展開する、第35回PFFのプレイヴェントのライアンナップも、週明けには発表すべく、ただいま鋭意交渉中です。(はいすいません。私が遅らせています・・・・チラシ完成が1か月前に間に合いません!涙涙の自業自得状態を今再認識して真っ青です)
ロッテルダムでの話題、そしてベルリンでの話題を引き続きこの数日でご紹介できたらと思います。そして、4月のプレイヴェント、ご期待ください!
高野悦子さんが、ドナルド・リチーさんが亡くなり、ある映画の価値観が、ある映画の時代が終わった感を深くしています。
海外でも、同様の時代の変遷を感じることも多く、いろいろ考える冬の京都です。
個人的な反省書きすぎですね。週末に挽回目指します。