俄かに話題が高まる『贖罪』海外映画祭バージョン

・・・と、自分たちの映画祭で上映となる作品を、このようなタイトルで紹介するのはいささか照れくさいのですが、ヴェネチアでの『贖罪』上映が、更に一層話題になっているのを感じています。
そこここで、300分のWOWOW放映ヴァージョンDVD発売のポスターも目にしますし、「機会があれば観たいな『贖罪』・・・・」という方が少なくないことを想像すると、「テレビドラマが劇場公開可能という時代にもっともっとなってほしいなあ~、そんな話題に、PFFでのWOWOWプログラムが繋がってほしいなあ~」と考えながら、ゲストトークをあれこれ企画中です。

改めて記しますと、今回PFFで上映する『贖罪』は海外映画祭ヴァージョンの270分。先日の渋谷ユーロスペースでの300分オンエアヴァージョン一挙上映時は、黒沢監督と森山未來さんの対談もあってか、これまでになく女性観客が多くを占めたと、劇場の方に伺いました。その対談では、司会の市山尚三さんが、270分バージョンはどこがどう違うのかという話にかなり迫っていたと聞き、アワアワアワと少し慌ててしまった私。秘密にしておきたかったな~、とセコいことを思ったのでした・・・

今回のWOWOWドラマをスクリーンでみる企画は、数あるWOWOWドラマから、最新作であり、PFFと所縁の深い2監督の『贖罪』と『エンドロール~伝説の父~』を上映し、上映後、監督との質疑応答を設ける計画です。
また、両作品とも、プロデューサーのお話も伺いたいと、映画祭カタログで、短いながらインタビューを掲載しました。

『エンドロール~伝説の父~』(こちらは117分です)の石井裕也監督は、ただいま、新作『舟を編む』の撮影中ですので、それが終わるまではPFF上映に頭を切り替えるのは難しいだろうなあと、時を待っている状況です。

基本的に「無名の新人」を常に気にするのが私の仕事。それ故にか「ベストセラー」や「大ヒット」からは距離を置きがちなことを感じています。
大ベストセラーとなっている『舟を編む』も、少し月日を経てから読む予定でした。
しかし、著者の三浦しをんさん、主演の松田龍平さん、共演のオダギリジョーさん、企画の孫家邦さん、と、皆さんかつてPFFアワードの審査員をつとめてくださった面々。そして監督が石井裕也さん、となると、「読まねば」といつもより早く手に取りました。

そして、その面白いこと!ぶらりと気分転換に入ったカフェで読み始めたら止まらなくなり一気読み。思わず、隣の席で、ずっと同僚の悪口を続けていた二人組に「読むと心が落ち着くよ」と進呈したくなりました。
更に、孫さんのご厚意で拝読した撮影台本も、素晴らしい。何が「画」になるのか、映るのか、よくよく考え抜かれたホンで、完成が待ち遠しくてたまりません。
あ、そういえば『贖罪』も、黒沢さんがドラマ化すると聞いて読んだのでした。

映画企画を聞いて読む小説と、映画をみてから読む小説と、映画化を期待してしまう読んだ小説と、映画化するの!と驚いてしまう小説と、ああ、いろいろあるなあと、ちょっと今ぼんやり考えました。
イギリス映画『日の名残り』は、数年ごとに観ては、新たな感慨の湧く個人的に重要な映画のひとつなのですが、なぜか原作は開くことなく、本棚に置かれたままです。我ながら不思議です。

「映画『日の名残り』にヒントを得た舞台がある」と聞き、昨年出かけたのが『鎌塚氏、放り投げる』倉持裕さん作・演出。素晴らしかった!そして、先日、その続編『鎌塚氏、すくい上げる』があると聞き、おお!と駆けつけました。
こちらは少し方向が変わったのですが、更にパワーアップして、そして、満島ひかりさんが、唄う!みんな踊る!『日の名残り』関係なく、このシリーズずっと続いて欲しい・・・と密かに願いました。
すいません。東京公演は終了したのですが、大阪公演が今日、明日とありますので、関西の方、是非体験してほしいなあと思います。

・・・・・・なぜか舞台の話になってしまいました。ちょっとした現実逃避でしょうか・・・
今気づきましたが、ベストセラー本、もうひとつ読んでました。『戦後史の正体』。高校生向けという出版社のリクエストから始まったからか、平明な文章が一層この本をミステリー小説を読むような興奮に引き込み、これまた一気読みしてしまうのでした。

仕事に戻ります。