夏秋の映画祭ディレクター&プログラマー来日の季節です

香港、ロカルノ、釜山、トロント、NYのNDNF、バンクーバー&ロンドンと、今月来月は海外の映画祭ディレクターやプログラマーが多数来日です。
PFFは、昨年からの7月から9月への会期変更に伴い、ただいまセレクションの真っただ中!&スカラシップ作品は撮影にも入っていない状況ですから、各映画祭の人たちにお会いして「いい作品があるから待ってて!」と鋭意営業するのも私の仕事です。
自主映画を、海外および国内の映画祭に紹介するのは、PFFの重要な仕事のひとつ。コンペティションにご応募いただいた作品、招待作品として拝見した作品、そして、過去の入選監督たちの新作など、PFFで上映しない作品でも、国内外の多彩な映画祭に紹介しています。

『サウダーヂ』効果でしょうか、今年はロカルノ映画祭に出品したい、という声をよく耳にします。ディレクターのオリヴィエ・ペールさんは、カンヌの監督週間から一昨年ロカルノに職を変え、行くところ行くところの映画祭を活気づかせています。昨年は、釜山のニューカレンツコンペの審査員として、『ダムライフ』ご覧になり、気に入っておられました(だったら賞出して欲しかったわ~!)

PFFのコンペティション部門「PFFアワード」の入選ラインナップは7月初旬に発表すべく今が佳境。招待作品部門の決定も同時期を目指し、いろいろな方にお目にかかっています。
そして、忙しければ忙しいほど、切羽詰まれば詰まるほど、無理に何か他のことをやりたくなる、現実逃避したがる性癖がある私。つい、合間を縫って「台湾への義捐金感謝二泊三日ツアー」をまたやってしまい、その旅で未読本の山の中から「メルトダウン」と「困ってるひと」を読み、機内の往復で(滞空時間が短いもので)『ALWAYS三丁目の夕日'64』(3Dで劇場で拝見しなくてごめんなさい!)をみて、この3点セットが偶然に、ある種「昭和の価値観検証セット」になってるなあ、と茫然として帰国しました。
3点セットお試しあれ!

それにしても、ユーロも90円台になったそうで、日本に来る海外の人々には物価がますます高い苦しい旅になるでしょう。台湾への訪問者は、メインランドからをはじめ、倍々に増え続けてているそうで、物価は旅先選びに強く影響することを改めて実感しています。

物価、とは少し違いますが、先日、アジアの主要な製造拠点の人件費が日本経済新聞に掲載されました。
※ジェトロ調べ、2011年度、一般的な工場労働者の月額賃金
広州(中国) 352ドル
武漢(中国) 333ドル
バンコク(タイ) 286ドル
チェンナイ(インド) 260ドル
ホーチミン(ベトナム) 130ドル
ヤンゴン(ミャンマー) 68ドル
というわけで、飛び抜けて人件費の低いミャンマー(ビルマ)にただいま続々と日本を含む、世界の生産工場が進出中とのこと。

これをみながら、世界の映画人件費一覧を心の中でつくってみている自分。
人件費の安い国で映画はつくられるか?と言えば、それはなく、工場生産品でない映画にとって、人件費リストは意味を持たないことを再確認です。
だから、やめられない。だから、悩む。

と書いてたら、新宿テアトルから、『くそガキの告白』試写の案内とともに、公式サイトの監督ブログを読んで!という案内が。
熱い!

ところで、現実逃避シリーズのひとつとして、自室のアナログのレコードプレイヤーとアンプ、そしてスピーカーを、もっといい音に聞こえる場所を探して、移動してみました。
結果として、もっと悪い音になってしまい、がっくりとしながら「スピーカー棚をつくろう」と新たな現実逃避目標をみつけて喜んでいるのですが、テストに使ったパンクのレコードを聴きながら、「今一番アナーキーなのは、この国の政府?」とはっと気づいたのでした。
政府って、国民生活を豊かにするために、民意を反映してプロの仕事をするためにあるはず。でも、今、まさに(あるいは、これまでもずっと?)「無政府(アナキズム)」なんじゃない?
(ちなみに最新の世論調査では、原発稼働しないことでライフスタイルに不便が生じるのを、「受け入れる」人が約8割、「安全性が確認されても再稼働反対」が約6割という「民意」だそうです)
「地震が来る」と大キャンペインしながら、「安全宣言」したり、「責任」という言葉を安易に使ったり、東西ともに、なんだかめちゃくちゃな日本。

でも、映画にとっては、ネタの宝庫の国、日本。
かもです。