PFL
PFLは、「ぴあフィルムライブラリー」の略称です。
PFFアワードにご応募くださった方は、「約款」という書類にサインなさってますが、この約款は、PFLにまつわるものです。PFFアワード"入選作品"は、PFLに入ることになります。
もともとは、この世にそれ一本しか存在しない8ミリフィルム作品(1970&80年代、90年代も前半は、自主映画は、ほぼ全て8ミリフィルム作品でした)の紛失を防ぐために、つくり手からお預かりして、貴重な作品を後世に残していくことを意図した映画ライブラリーです。
背景には、「自主上映会に貸して、紛失された」とか、「いつのまにかなくなっていた」、という話が珍しくなかったことがあります。
同時に、「無料」が当たり前のように起こる自主映画の上映を、少しでもつくり手に「上映料」が入るように交渉する窓口になるためでもありました。
PFLを「PFFが権利を持って行くシステム」と解釈する方をみかけますが、それは完全な間違い。権利はつくり手のもの。PFFは、一定期間、対外的な窓口になるのです。
1:作品が確実に保管される
2:国内外の映画祭や上映会、興行など、出来るだけ多くの場所での上映を推進する
3:煩雑な交渉ごとを代行して、制作費が少しでも還元されるチャンスを逃さないようする
ということから始まったPFLですが、デューププリントを1本つくるのも大変だった8ミリ作品と違い、デジタルが主流の現在は作品のコピーは大変に手軽。しかしその保管方法に関しては、世界的にまだ明確な方針を持てていません。デジタル作品は、商業映画も自主映画も、どちらも"保存"に関しては手探りな状況です。
制作費の潤沢にあるメジャー映画の場合、デジタル作品も、現在最も安心な「ネガフィルム」で保存されているのですが、低予算映画はデジタル素材しかない。その保存方法に、確実な答えの出る日はまだ来ないでしょうから、常に最新のフォーマットに移し変えていくしかないのではないか?と囁かれてもいます。
「デジタルは、とてもパーソナルなものなのだな、8ミリフィルムみたいな存在だな」と、ふと感じる今日この頃です。「個人の責任で保管する」という現実において。そして、35ミリフィルムは、個人では保管が難しいところで、公的なものなのだな、と思わされます。
DCP(デジタルシネマパッケージ)とか、VPF(ヴァーチャルプリントフィー:前回のブログに、間違ってVPCと書いちゃいました!失礼しました)とか、略語はその内容を表すに効果的なのかどうか、近年疑問ですが、ともかくPFLのことを改めて考え始めたのは、このDCPとVPF騒動のおかげかもしれません。
しかし、フォーマットが何に変わろうが、興行システムがどうなろうが、自主映画は、全て関係ない、とも言えます。自主映画は「映画をつくる」ということに純粋に集中できる最も自由な世界。そのつくり手が「映画」というものをどう定義するか、というところからして自由です。自由ゆえに難しいとも言えますが、「自分で自分に課題を与える」ことで整理する人も多いでしょう。
ともあれ、出来上がった作品がおもしろければそれでいい。つまり内容が全て。規制ゼロです。
自主映画のコンペティション「PFFアワード2012」の締め切りまで残りわずかとなりました。
そのPFFアワード2012入選作品発表は、7月初旬、できるだけ早くを目指しています。入選作品を上映する、第34回PFFは、東京国立近代美術館フィルムセンター大ホールにて、9月18日から28日の10日間(月曜休館)で開催が決定しました。
最終審査員や招待作品の発表も、7月初旬を目指します。
更に速報です。
震災の影響で開催決定に時間のかかった第33回PFF各地会場予定ですが、
名古屋開催は6月30日、7月1日と3日の3日間で決定しました。愛知芸術文化センターです。そして、福岡開催は、続く7月6日、7日、8日の3日間、福岡市総合図書館で決定です。プログラム決定次第お知らせします。
第33回と第34回が、同じ年に展開する珍しい一年となる今年。「いよいよ始動」という雰囲気に包まれてきた事務局です。