スペシャルメンションとは何か

映画祭のコンペで「スペシャルメンション」という授与が起きることがあります。
これは何なのか。日本語に直せば何がいいのか。長年考えているのですが、適当な言葉を見つけられず、「スペシャルメンション」という英語をそのまま使っています。もしかすると「審査員特別表彰」などが、一番近い日本語かもしれません。
近年、スペシャルメンションもオフィシャルな表彰として、証明証(表彰状のようなもの)が用意されたり、審査員コメントが公式に出されたりしますが、10年前くらいまでは、表彰式でアナウンスされるのみだった記憶(スカラシップ作品『BORDER LINE』がいただいた頃)があります。
スペシャルメンションは、つまり、審査員からの「私たちは、賞を一つに決めなくてはならないかったので、決断をしましたが、あなたの作品は受賞作品と遜色がありませんよ」という意思表示です。ですけれども、賞ではないので、「受賞」ではなく、「授与」という表現を使います。*殆どの映画祭は、コンペの審査員にグランプリ一本を選んでもらうので、他の作品にも触れたくなるのが審査員の心情と言えます。

昨日ご紹介した吉野耕平監督の『日曜大工のすすめ』は、なんと、釜山国際映画祭の短編コンペでスペシャルメンションだったそうです。そのことをツイッターで知ったという吉野監督。最先端?と申しましょうか、本人にいち早く知らせる方法はなかったのかな?と思うのですが、そのお話しを聞いた後に出かけた、ぴあが主催する落語のイベント「rakugoオルタナティブ」シリーズで、同様の話を聞きました。間もなく真打昇進となる春風亭一之輔さん。決定は、やはりツイッターで知ったそうです。なぜそうなったか、を調べてみると、師匠の一朝さんの携帯が電池切れで、何度も試みられた、協会からの真打決定電話を受けられなかったからだとか・・・その間に、協会のHPに発表された真打決定ニュースを見た人からのツイッターで昇進を知ったと・・・・
昨日今日と、いろいろ賞の発表について考えさせられることが重なり、ちょっと不思議な気持ちです。

本日の落語会は、立川志らく師匠の「名人の噺とは江戸の風が吹く噺なのではないか」(←乱暴なまとめですいません)という言葉に触発されて企画されたもので、昼、夜と立川志らく師匠が二席づつ登場なさいました。昼のゲストは故・桂枝雀さんのお弟子さんの桂雀々さん、夜のゲストは、春風亭一之輔さん。この落語オルタナティブシリーズは、ちょっと違った視点からの落語会企画で、とても刺激的。毎回通うことは全然できていませんが、できるだけ参加したいと思っている企画です。落語初体験の方をお誘いしたい会でもあります。

そしてまだ風邪が治らず、鼻声でふがふがしてるのですが、PFF東京開催準備佳境な頃から現在まで数か月、ちょっと世の中の動きから隔絶されてたかも?と慌てている昨今です。で、発令されてましたね。暴力団排除条例・・・・詳細把握できていませんが、なんだかすごい・・・そんなときに、新・文芸坐で行われる岡田茂プロデューサーの特集上映。チラシをしみじみみちゃいました。殆ど観てるけど、またみたい。やくざ映画の灯よ永遠に!です。未見の方、必見です。映画は「何が起きてもOK」「何を描いてもOK」な創造物でいて欲しいと、青臭いことを改めて思います。こんなときですから、『青春墓場』シリーズの奥田庸介監督の新作でありメジャーデビュー作品となる『東京プレイボーイクラブ』、未見ですが、期待が高まるばかりです。