原田芳雄さんのことで頭がいっぱいです
第33回PFFの会場となるフィルムセンターに打ち合わせに行ったあと、「この風景はどこかでみたぞ・・・」とSALEの看板の目立つ銀座を歩きながら、思い出そうとしていました。あ!とうろたえたのは、なんのことはない、昨年まで、まさにこの時期にPFFを開催していた、その風景の記憶だったのです。
思えば暑い毎日でした・・・・「夏フェスだったのだなあ~」と今頃実感です。
そして、今年の会期は9月20日から30日。何と、もう、開催二ヶ月前になってしまったのに、あまりに高濃度な「PFFアワード2011」ラインナップ決定に押され、招待作品の決定に遅れが生じています。明日にはオフィシャルサイトのプレオープンとして、アワード17作品を写真つきで紹介し、招待作品決定次第アップです。
「2ヶ月前だ2ヶ月前だ」と、呪文のようにつぶやいていたら、原田芳雄さんの訃報が襲いました。自分でも驚くほど悲しい。映画の記憶は原田さんと共にあったと言ってもいいのかも・・・と非常にうろたえました。ご本人にお目にかかったのは、黒木和雄監督の『美しい夏キリシマ』をPFFでご紹介させていただいた時のみで、それはもう話かけるどころではありませんでしたが、監督たち始め、これほど多くの方に愛される俳優はいないのではないかと感じていました。
『美しい夏キリシマ』は、仙頭武則プロデューサーが、黒木監督に「ご自身の一番辛い記憶を映画にしてみるという新たな挑戦はどうですか」とお話になったところから始まったと聞いたことがあります。新たな挑戦をする時に、側に居てほしい俳優。そんな人のような気がする原田芳雄さん。昨年の若松孝二監督の特集では、阪本順治監督が原田さんの輝く『寝盗られ宗介』を選び、この作品に思い入れの深い若松監督は大変喜んでおられました。その阪本監督の『大鹿村騒動記』が原田さんの遺作となりますが、まだ暫くは平静に観ることができそうにありません。