ベルリン国際映画祭に行ってまいりました

古い話題で恐縮です。
そして、1ヶ月以上の更新なし、恐縮です。

昨年の、吹雪による空港閉鎖と、哀しく夜汽車に揺られ二日間かけてのベルリン入りの悪夢はもう繰り返されず、心底ほっとしましたが、やはり寒い寒いベルリンの冬。
建物の中はぬくぬくですから、会場移動のたびの厚いコートの始末が面倒で、丸めてバッグに入れられる薄いコートにしようと、つい、東京で思いついたのが墓穴。戸外を歩くのに泣けました。ベルリンでは、暖かいコート必須を再学習しました。

今回は、3作品と5名の監督スタッフキャストと揃い、さまざまに点在する会場を廻りました。
「家族x」の吉田監督と「世界グッドモーニング!!」の廣原監督(本年のベルリン国際映画祭上映作品中最年少監督でした)が上映後の質疑応答を体験したのですが、会場ごとの客層の変化、反応の変化に大いに刺激され、巨大な映画祭を肌で感じる毎日になったようです。
詳細は、これから各人のレポートにお任せするとして、
到着して最初に「話題作だな」と実感したのは、ヴェンダースの3Dピナ・バウシュドキュメンタリー「Pina」と、タル・ベーラの「the Turin Horse」。
両作とも日本公開決定の様子ですので、是非ロードショー体験してください。

the Turin Horseは、少ない英語字幕上映に参加したのですが(コンペ上映作品はドイツ語字幕上映がメインになります)待ちかねた世界中の映画祭関係者が一堂に会しましたね・・・という会場風景で、観客の期待が熱く渦巻く時間でした。この作品が公開される日本。ほんとに日本の映画ファンと、上映環境はすごいなあと誇りに思います。
ニーチェの神経に深刻なダメージを与えたエピソードをタイトルに持つthe Turin Horse、ニーチェへの再注目が高まる現在を実感します。

そして、岩井俊二監督と瀬々敬久監督という、高い作家性と技術と人気を持つ監督たちが、殆ど自主映画と言っていい挑戦作(「Vampire」と「へヴンズズトーリー」)を製作していることが改めて世界に伝わるのを目撃できたことも、今、映画を志す人たちにとって、今回のベルリンの刺激体験となることを感じました。
ベルリン国際映画祭。もしかすると、世界三大映画祭の中で、最も現在をあらわす、先鋭的な映画祭となっていくのではと期待しました。

*瀬々監督の「ヘヴンズストーリー」は、再々ロードショーが始まります。