嬉しいことがたくさん

ミヒャエル・ハネケの新作『白いリボン』が全回満席でスタートしたそうです!
すごく嬉しい・・・・。銀座テアトルシネマです。
そこから歩いて約10分の、ヒューマントラストシネマ有楽町では、「ミヒャエル・ハネケの軌跡」と題して、これまでのハネケ監督映画を全て集めることに成功した映画祭が展開されています。
凄いです。
ハネケの存在が、ごく普通にそこにあることが、やたらと嬉しい12月の東京です。

そして、熊切和嘉監督の新作『海炭市叙景』が、フィリピンのシネマニラ映画祭で、グランプリの「リノ・ブロッカ賞」を受賞したというお知らせをいただきました。更に、最優秀俳優賞が、『海炭市叙景』に出演した全ての俳優に対する「アンサンブル」賞として贈られたそうです。なんとも粋な審査員ではありませんか!いや、勿論映画のあらゆる出演者が光っているからですが、審査員の悩みと、「アンサンブル」賞という解決法をみつけたときの悦びを感じます。

リノ・ブロッカは、91年に交通事故で不慮の死を迎えたフィリピンの伝説の巨匠です。その作品は、フランス人プロデューサーの管理のもと、なかなか観ることが難しいと言われていますが、日本では、今はなき国際交流基金アセアン文化センターで展開した「東南アジア映画シリーズ」や、アセアン文化センター廃止後の、国際交流基金アジアセンターでの「アジア映画講座」で90年代に数度紹介されました。そのときのプログラマーが、現在、東京国際映画祭「アジアの風」プログラミング・ディレクターの石坂健治さんです。PFFでは、その運営を担うことで、多くの東南アジア映画を体験する幸運に恵まれました。
(と書いていて、80年代~90年代は、圧倒的にアジアとの交流が日本のテーマだったのに、21世紀のこの対アジアへの急速な撤退が怖くなりました・・・・)

ブロッカ作品は、世界中の映画祭で現在もぱらりぱらりと上映が行われています。どこかの映画祭でブロッカの名前をみつけたら、是非体験してください。『マニラ・光る爪』が圧倒的に有名ですが、実は私は、『スター誕生』にかなり呆然としたことを、思い出します。

そして、この『海炭市叙景』のブロッカ賞受賞ニュースを石坂さんにお伝えしたところ、香港アジア映画賞の新人監督賞は「エドワード・ヤン賞」だし、フィリピンは「リノ・ブロッカ賞」だし、各国が偉大な監督の名を冠した賞を出しているが、日本はどうかしら?という話しが出ました。

"新しい世代の監督に贈る賞に冠されて、世界中の映画監督が悦びを感じる名前"
・・・・う~む。日本には素晴らしい監督が多すぎて、ひとつに絞るのは難しそうですね。日本の全ての映画賞に映画監督名を!というのもあるかもしれません。

と、そんなことを考えているときが、一番気楽なのですが、実はただいまPFF事務局は、年末の渋谷への引越し準備で修羅場なのに重ね、短編映画の製作、来春の所沢イベント「世界が注目する日本映画たち」準備、嬉しくもおそろしい恒例になってまいりました、1月のロッテルダム国際映画祭と2月のベルリン国際映画祭への作品出品準備と、バタバタと追われています。

1月4日から、PFF事務局は東京都渋谷区東1-2-20 住友不動産渋谷ファーストタワーに、ぴあと一緒に引越しです。電話番号も03-5774-5296にかわります。1月4日には新オフィスの片付けを終えて、馴れない渋谷生活が始まります。