『盲獣vs一寸法師』との旅

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突然、石井輝男監督の遺作『盲獣vs一寸法師』が不思議な話題になって驚きました。
2001年のPFFで「キング・オブ・カルト石井輝男」という特集を組んだのは、『盲獣vs一寸法師』のプレミア上映のためでした。
当時77歳の巨匠が学生とデジカメで超低予算自主映画をつくっていることに感動したのです。
その後のPFF全国開催では、大分会場での上映にあわせ主演のリリー・フランキーさんにお越しいただき、また、大阪会場のプログラムに、石井監督の特集を加え、監督に数日間ご滞在いただきました。
石井監督のご自宅も、身だしなみも、大変にダンディで、不思議な無国籍なクールさでしたが、その旅支度のスマートさにも驚きました。
とても小さな黒いケースひとつで移動なさって、まるで、『裏窓』のグレース・ケリーの魔法のバッグのようでした。
石井監督のお墓は網走にあると聞きます。『網走番外地』にちなんだ選択だそうですが、いつか旅したいと思います。

そして今年も全国ツアーの準備が進んでいます。
東京開催終了後、すぐに、秋のツアー準備に入るPFF。
本年は、京都→福岡→仙台→名古屋→神戸と5都市を巡回です。
一番多い時期には、大阪、大分、北九州、高松を加えた9都市をツアーしていました。
その合間を縫って、釜山国際映画祭とバンクーバー国際映画祭へも参加しました。更に、山形国際ドキュメンタリー映画祭の開催年もありました。
成田空港だけでなく、関西空港や福岡空港、名古屋空港からの国際線発着を調べて、無理やり国内移動と組み合わせて、
ものすごいスケジュールづくりを、旅行会社のツアー計画者のように楽しんでいたのですが、
釜山とバンクーバーへの参加を隔年交代で減らし、昨年からはどちらもやめてしまいました。
日本国内の映画環境が急激に悪化して、国内活動に力を入れたいと思うようになったからです。
有難いことに、映画祭の仕事を通して、海外と国内、様々な土地、人を知ることが出来ることで、色んなことが見えて来る実感があります。
文化芸術について語ることが憚られるような現在の日本の空気ですが、
今年はどんなことに触れることができるか、ワクワクします。