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PFFアワード

PFFアワード作品紹介

PFFアワード1990

作品名 監督名 作品名 監督名
『明日も遊ぼうね』 大友太郎 最優秀短編賞
『コンビニエンス・パパ』
永森裕二
グランプリ
『雨女』
矢口史靖 『自転車でおいで』 川西 純
審査員特別賞
『妹と油揚』
天願大介 『dusky Blue』 塩田泰造
『絵本』 日比野浩樹 『NANA』 友野 一
特別賞
『オレの女だ!』
松岡英治
森 弘
『悩ましき東京タワーのもとで』 計良美緒
『ギョーザつくる母』 矢部達也 観客審査員賞
『春一番が吹く頃に』
瀧島弘義
最優秀撮影賞
『幻視めくらまし』
佐瀬妖一
慶野たく実
田中俊一
『ボンジュール・フィリピーヌ』 松本昌子

応募総数 402本 入選 14本

『明日も遊ぼうね』

監督:大友太郎

少年は幼い頃から自分のそばにいる少女の存在に気付いていた。だが、それが誰だかは分らない。ある日、核ミサイルが誤って日本に向け発射された。数時間後の運命を全く知らないかのように無邪気に遊ぶ子供たち。そこで少年は少女に再びめぐりあった…。核の恐怖という重いテーマに取り組み、しかも従来の作品のようにヒステリックに反核を叫ぶのではなく、あくまでもポエティックに、夢見るように語りかけている。戦争を知らない子供たちが戦争を知らない世代であり続けるためのレクイエムである。

1990年/8ミリ/カラー/41分 英題:LET'S PLAY TOMORROW AGAIN
監督・脚本・撮影:大友太郎
音楽:後藤 聖、江草啓太 製作:第三映画会
出演:重藤優子、岡本史浩、日野恒平、二反田尚美

グランプリ

『雨女』

監督:矢口史靖

降りしきる雨の中、他人の迷惑をもかえりみず突っ走る常軌を逸した2人の女。生きるためには畑を荒らし、スーパーを襲い、牛をも殺す。雨が降る限り続く2人の奇妙な共同生活。何故?そして、晴れたとき2人はどうなるのか?そんな観客の疑問にはおかまいなく映画は疾走する。
ある時はドキュメンタリー、ある時はB級ホラー、そしてはたまた前衛映画!?様々な要素を散りばめつつ断固として“意味づけ”を拒否する展開と、ストーリーやスタイルから離れて貪欲に対象に斬り込む映像。それは観客の生理を直撃し、前頭葉にべったりととり憑いて離れない。

1990年/8ミリ/カラー/72分 英題:THE RAIN WOMEN
監督・制作・脚本・撮影:矢口史靖
出演:槙井美和、駒場香代子、山口昭三郎

【貸し出し対象作品】料金:15,000円(税別)/貸し出しフォーマット:ビデオ

審査員特別賞

『妹と油揚』

監督:天願大介

オカルト全盛時代に贈る、のどかで静かなホラー・ムービー。忠は離婚して戻ってきた妹の京子と2人暮らしだが、京子には何かが取り憑いているらしい。それを必死に取り払おうとする兄なのだが、実はこの兄妹、近親相姦の関係にあり、京子に憑いているのはその関係に腹を立てた京子の元亭主が使っているイズナだった。モノクロゆえに不気味なスクリーン。そこで不敵な笑を浮かべるイズナ。ゆがんだ愛を清算できない兄妹。昭和30年代の日本の家屋や風俗を彷彿とさせる、凝りに凝った美術で、ノスタルジックな味わいを持つ大人っぽいミステリー・ワールドを見事に描き出した。

1990年/16ミリ/白黒/37分 英題:BABY SISTER AND FRIED THIN BEANCURD
監督・脚本:天願大介
制作:落合トモハル 撮影:岡田初彦
出演:今村夋一、小川敦子、井村 昴、瀬川哲也、鴇巣ナオキ

劇場公開
1991年 6月1日~14日 東京 中野武蔵野ホール
1992年 2月15日~28日 東京 中野武蔵野ホール
海外映画祭
1991年 バンクーバー国際映画祭 (カナダ)
1997年 オルレアン国際映画祭 (フランス)

『絵本』

監督:日比野浩樹

章は地方誌に連載を持つフリーライター。最近はスランプ気味で筆が進まない。旅先の友人から送られてくるビデオを見て、ボーッとしているだけの彼を編集者の杏子は案じる。そんな中、章のもとにいとこの宵子が訪ねてきた。家族のもとに帰るのを拒む宵子を章はしばらく預かることにする。どことなく切なく優しい場面が多く、原稿の書けない章と吃音症の宵子のいる風景は題名通りとても詩的な響きと余韻を持つ。観る者の胸に迫る急転直下のラストシーンは“やられた!”と思わず言いたくなるほど鮮やか。

1990年/8ミリ/カラー/53分 英題:CHILDLEN'S BOOK
監督・脚本:日比野浩樹
撮影:成瀬知一 製作:名古屋大学映画研究会
出演:日比野浩樹、寺井久美子、成田美佳

特別賞

『オレの女だ!』

監督:森 弘/松岡英治

近ごろの純愛はかなり痛いものらしい。キャンパスで一目ぼれした恵子に誘われて何やら怪しげなクラブに入った良夫。予感は的中、そのクラブはなんと売春組織で、恵子はそこのナンバーワンだった。なんとか恵子にクラブを辞めて欲しくて、熱血漢良夫の戦いが始まった。良夫の前に次から次へと立ちはだかる猛者たち。やられても、やられてもまた立ち上がるヒーローには素直に好感がもてる。特筆すべきはスタントを駆使した迫力満点のアクション・シーンで見応え十分。見た後に胸がすっとするぶっ飛びかっ飛び青春アクション・コメディ。

1989年/16ミリ/カラー/45分 英題:SHE IS MINE!
監督・脚本:森 弘、松岡英治
制作:大塚雅彦、福島一郎 撮影:山本正宣、東本敏宏 音楽:加賀 敦
出演:田中睦郎、内田みのり、岡部勝憲、川崎修治

『ギョーザつくる母』

監督:矢部達也

1988年元旦の矢部家の事件を大胆かつ如実に表現した異色のドキュメンタリー!?アップテンポのリズムに乗って、矢部家の台所に異変が起きた。それは何と、ギョーザの300個製作という想像を絶する事態であった。母はたらいのようなボールに山盛りの具を目にも留まらぬ速さで包み、フライパン二刀流を駆使、情け容赦なく迫り来るギョーザをばった、ばったと焼き上げていく。その人間技とは思えない母の手さばきの良さをコマ撮りでユーモラスに見せてくれる。3分間ではあるが笑いあり、家族愛ありと、矢部家のギョーザ同様充実した内容に仕上がった。

1990年/8ミリ/カラー/3分 英題:MY MOTHER MAKES DUMPLINGS
監督・制作・脚本・撮影:矢部達也

最優秀撮影賞

『幻視めくらまし』

監督:佐瀬妖一/慶野たく実/田中俊一

未だ闇が厳然と残っていた頃、未だ人々が夜のしじまの向こうにある何かに怯えていた頃、そんな時代がこの人形アニメーションの舞台となる。夕刻、後ろめたそうに家を出てゆく夫、何かを感じながらもそっと送り出す妻。障子に映る影に気付き、ふいに追いかけた妻が見たものは、闇の世界の生き物たちだった…。小物や画面の隅々にまで神経の行き届いた演出、家の中や町並みなどはこれが模型であることを忘れるほど精巧で情緒豊かに作られている。そしてぎこちないリズムで動く人形たちが妖しく激しい女のドラマをおだやかに演じ切っている。

1989年/16ミリ/カラー/24分 英題:DAZZLE
監督・制作・脚本・撮影:佐瀬妖一、慶野たく実、田中俊一

最優秀短編賞

『コンビニエンス・パパ』

監督:永森裕二

ペンフレンドとの結婚を機に東京生活を始めた男、松男。1年経ち、すっかり東京に慣れた彼であるが、ただ1つコンビニエンス・ストアだけにはどうしても足を踏み入れることができない。勇気を振り絞り、完全な都会人を目指して、彼は自動ドアの前に立つのだった。独特のリズムを持ち、機関銃のように連射を仕掛けるシニカルな台詞。休むことを知らず変化を続けるスクリーンは融合し、観客を巻き込んで、大都市とは一体何か、人間性とは一体何かを叫ぶ。ダッチワイフを抱き締め、1人海に泳ぎだした松男に冷たい波だけが優しく彼を包み込む。

1989年/16ミリ/カラー/28分 英題:CONVENIENCE PAPA
監督・制作・脚本:永森裕二
撮影:鈴木 守
出演:大島 椿、とこまこと、春野かおり、はやしひな

『自転車でおいで』

監督:川西 純

突如「大学を辞めて、家業の自転車屋を継ぐかも知れない」と言い残し故郷に帰ってしまった祥太郎。途方に暮れたのは親友の葉介と、祥太郎のガールフレンドの恭子。2人の間には彼の使っていた自転車だけが、まるで彼であるかのように存在する。東京という街のありきたりな風景を新鮮な角度で切り取った画面の中で繰り広げられる人間模様。親友と恋人を失った男女それぞれのファジィな痛みを清々しく、せつなく表現する。自転車という小道具に命を持たせ、祥太郎の存在や、恭子と葉介の2人の微妙な関係を語らせた演出手腕が光る。

1990年/8ミリ/カラー/63分 英題:COME OVER BY BICYCLE
監督・制作・脚本:川西 純
撮影・編集:山本大典 録音:多田卓司
出演:扇田未知彦、三浦裕子、神代 剛、岡垣 豊

『dusky Blue』

監督:塩田泰造

「くじら町に連れて行って」とイズミに頼まれたコーイチ。それも好きな人に会うためだと言う。気が進まないコーイチだったが、仕方なく友人に車を借りに行く。こうして2人の旅は始まった。アッシー君、キープ君といった、当時の男女関係をライト・タッチで描いた、地図にない町の恋物語は、とてもファッショナブルな画面作り。コーイチの部屋、友人の車、くじら町の防波堤などの小粋な小道具とちょっぴり気障な台詞、そして選曲に徹底したこだわりを感じるBGMを加えて、体感ビートのロード・ムービーに仕上がっている。

1989年/8ミリ/カラー/48分 英題:DUSKY BLUE
監督・脚本:塩田泰造
撮影:宮沢 厚 製作:シネサークル浪人街
出演:星野 哲、宮田幸子、村山俊郎、岡本良次

『NANA』

監督:友野 一

何をしても心が満たされず“訳のわからない疲労感”にとり憑かれた青年ユタカは、ある冬の日、謎の白人女性に出会う。憔悴した彼女を、彼は言葉も通じないまま部屋で休ませる。やがて彼は彼女の正体に強烈な興味を抱くが“ナナ”とただ名を告げただけで、彼女の沈黙と彷徨は続く。彼女は一体何者なのか…。
現代人の誰もが抱える虚無感と孤独をモチーフに、人間の根源的な存在の問題を鮮やかに斬りとってみせた異色のドラマ。緊張感漲るサスペンスフルな映像を生み出したその演出力は、8ミリのフレームを忘れさせる程の堂々たるスケールを持つ。

1989年/8ミリ/カラー/74分 英題:NANA
監督・脚本・撮影:友野 一
制作:友野 一、中島正彦 美術:中島郁子
出演:赤坂 裕、サラ・スザンネ・キューン、石田龍一、青木淑子

『悩ましき東京タワーのもとで』

監督:計良美緒

エッフェル塔の猿真似と言われても、もう東京の風景に欠くことのできなくなったシンボル、東京タワー。
和歌山から修学旅行でやって来たゆみ子の東京物語もやはりこの象徴のもとで展開する。同級生との淡い恋に揺れているゆみ子はそのとき17歳。そして3年の時が過ぎ、またこの街に20歳になったゆみ子の恋の花が咲く…。女性監督の鋭い視点で、素朴で純粋で正直な主人公を通じ、女性の可愛さや醜さを何の虚飾もなく生々しくさらけ出した「女の子による女の子の」ムービー。恋する乙女の微妙な心理を黄色い声で説くゆみ子が元気に画面を走り回る。

1989年/8ミリ/カラー/28分 英題:UNDER THE EROTIC TOKYO TOWER
監督・制作・脚本:計良美緒
撮影:古賀太郎 録音:三浦秀一
出演:土海美幸、夏目吾郎、勝野雅美

観客審査員賞

『春一番が吹く頃に』

監督:瀧島弘義

制服の下に“女”という成体を隠してじっと羽化の時を待つさなぎたち、女子高生。それは多感で脆く、一番残酷な生き物である。主人公のみづきは女子校の3年生。密かに同級生の照美に想いを寄せている。ボーイフレンドから別れを告げられ、涙する照美をそっと抱きしめなぐさめるみづきだが…。少女同士の疑似恋愛を見つめる鋭い観察力、キャストの少女たちの演技のナチュラルさも加わって、実にリアルな「女子高生生態図鑑」に仕上がっている。真夏の住宅街を歩く2人、縁日での浴衣姿、クリスマスの夜など、柔らかに美しいシーンがまるで絵のように印象的。

1990年/8ミリ/カラー/88分 英題:SPRING HAS COME
監督:瀧島弘義
脚本・撮影:久万真路 製作:グループ・ラブ
出演:荒木喬子、三代庸子、三井理子、田原拓史

審査員特別賞

『ボンジュール・フィリピーヌ』

監督:松本昌子

憧れの彼が来る!というわけで、うきうきの菜々子。いつもはしない部屋の掃除をし、花まで飾って彼を待つ。そして高野君はやって来た。ワンルームのアパートを舞台に少し乾いた“いまどき”の恋愛を描いた作品。主人公の菜々子も音楽にうるさそうだが、作者のリズム感の良さも全編を通じて溢れ出ている。台詞の間合い、効果音の使い方、ストーリーのテンポ、すべてタイミングが絶妙。なお題名はフランスの男のコと女のコが、果物の2つの種を分け合い、次に会ったときに「ボンジュール・フィリピーヌ」と言い合うたわいないコトバ遊びから来たものなのだとか。

1990年/8ミリ/カラー/36分 英題:BONJOUR PHILIPPINE
監督・制作・脚本:松本昌子
撮影:三上昌晴
出演:相田晴美、東森 努、小森由美、狩野 研

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