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PFFアワード

PFFアワード作品紹介

1987年:第10回ぴあフィルムフェスティバル一般公募部門入選作品

作品名 監督名 作品名 監督名
『愛の街角2丁目3番地』 平野勝之 『コロマダII 眠れないコロのために…』 Mr.J
『MB映画』 岡本知己 『ついのすみか』 井川耕一郎
『男の花道』 園 子温 『虎』 藤田秀幸(藤田容介)
『北新宿の切れた指先』 西沢正智 『hi-lite』 墨岡雅聡
『恋の姿見』 大川戸洋介 『Bye-Bye、メール』 上原昌子

応募総数 611本 入選 10本

『愛の街角2丁目3番地』

監督:平野勝之

マサヒロとヨーコはふとしたことで喧嘩別れし、失意のマサヒロはオカマになろうとし、ヨーコはドブ川に住む乞食の仲間になる。しかし思いは絶ち難く、やっと再会した2人は愛を確かめ合うのだが…。
原作は大友克洋のマンガだが、作者の過激な即興的手法によってそこからどんどん離れてゆき、気がつくと、8ミリ以外のメディアでは絶対成し得ない作者ならではの世界が構築されている。生身の人間達がマンガよりマンガ的にメチャクチャわめき狂い走りまくる超映画的躍動感の凄さと、全く対照的な静の映像から醸し出されるペーソスの心地良さ。

1986年/8ミリ/カラー/112分 英題:HAPPINESS AVENUE
監督・撮影:平野勝之
製作:不死身会+シネマヴァリエテ
出演:杉山正弘、原田陽子、鈴木 豊、園 子温、稲垣宏行

『MB映画』

監督:岡本知己

冒頭、作者はカメラに向かって語り始める。これからどんな映画を作るかわからないが、とにかく撮ってみようと。部屋に据えられたカメラ。広い部屋へ引っ越し、さらに日常を切り取ろうとするが、やがて1人だけの映画ごっこに飽き友人3人を参加させ、彼らと3本のドラマを作り始める。その中で女の裸を出すことにこだわる作者だったが、そのけじめをつけきれぬまま再びカメラは部屋に戻る。MBとはマスターベーションの略で、あがき苦しみながら何とか作品にしようとし、しかし自分の表現として処理しきれなかった作者は自分の不格好さをあくまで冷静に受けとめる。そこに観客は作者の成長した姿を見出すというユニークな共犯体験を味わう2時間。

1986年/8ミリ/カラー/122分 英題:M.B. MOVIE
監督・制作・脚本・撮影:岡本知己
出演:岡本知己、岩井俊二、東山充裕、伊井 章、阿部伸朗、志賀伸子、木下麻樹

『男の花道』

監督:園 子温

作者自らが演ずるカッコワルイ主人公が、色々なものを引きずりながら“男の花道”を目指すシリーズの第1部と第2部。第1部は主人公が何の意味もなく男たちから逃げ回り、ひたすら過激な行為に走るのを描写したもの。第2部はそれと全く関係なく、ある地方の町を舞台に、家を出て東京で一旗揚げたいと思っている主人公の悶々とした日々を描いている。第1部の狂暴なカメラワークから一転して、静謐さと重厚さを兼ね備えながら巧みに動き回るカメラが捉えた主人公とその家族の表情のリアルさ。そしてラスト、主人公がライン引きを持ちながら街中を走り回るシーンは、家と親とを断ち切れない作者の心の叫びが見事に伝わり、胸を打つ。

1986年/8ミリ/カラー/110分 英題:MAN'S FLOWER ROAD
監督・脚本:園 子温
制作:河西宏美 撮影:鈴木健介、他
出演:河西宏美、園 子温、山道狂介、酒井展子、鈴木健介

劇場公開
海外映画祭
1987年 トリノ国際映画祭 (イタリア)

【貸し出し対象作品】料金:15,000円(税別)/貸し出しフォーマット:8ミリ

『北新宿の切れた指先』

監督:西沢正智

北新宿のボロアパートの一室。そこに生息する作者がカメラに向かい、ひとりで繰り広げるパフォーマンス。自分の顔を写す。わざと包丁で切った指を写す。窓の外に視線を向け、建物の隅に捨てられたプレーヤーを見つめ続ける。コーラの1.5リットル瓶に水を入れ、一気に飲もうとする。作者は一言も語らず、暗い部屋はカメラの駆動音だけに包まれ、孤立した時間を失った不気味な空間となってゆく。何度も一気飲みに挑戦し、遂に1.5リットルを飲み干してしまう、ほとんど狂気に近い無意味な行為を目の当たりにするラストは、背筋が凍りつくほどの恐怖を覚える。我々の日常の中に潜む恐怖の本質を、作者の強烈な意志と痛々しいまでの演技によって見せきった個人映画。

1986年/8ミリ/カラー/35分 英題:A CUT FINGER AT KITA-SHINJUKU
監督・制作・脚本・撮影:西沢正智
出演:西沢正智

『恋の姿見』

監督:大川戸洋介

これまで、両親と友人と猫ばかりにカメラを向けていた作者が、初めて女を被写体に選んだ作品。3つのパートから成り、それぞれ違う女がカメラに捉えられる。最初の女はぬかるみの空地でダンスを踊り、部屋に戻るとキセルを喫い、そして服を脱ぎ、作者と異様な官能の世界に入ってゆく。2番目の女は、ただ立っている。部屋の中でもアンニュイな表情で鏡の前にじっとしている。3番目の女は元気に冬の街を闊歩し、所構わずパフォーマンスを始めてしまう。作者は3人の女をただじっと見つめ続けるだけで何も語らない。しかし対象から湧き上がるエロチシズムを少しも見逃さず、日記的な淡々とした映像の連続の中に女たちの色香が漂う。

1986年/8ミリ/カラー/86分 英題:REFLECTIONS OF WOMEN
監督・制作・撮影:大川戸洋介
出演:遠藤朋子、栗原清美、榎田智子

『コロマダII 眠れないコロのために…』

監督:Mr.J(鈴木尊士/北村太志/大場弘司)

最終兵器コロが脱走した、コロを生け捕りにせよ!我らがヒーロー、ボイスレンジャーの4人は立ち上がるという少年達が好むパターンとも言える近未来SFアクションごっこ。しかし凡百のごっこ映画の低俗さから遥かに飛翔して、かつてのどの映画の文法にも当てはまらない解釈不能のカッティングが、全く新しい映画の出現を予感させる。高校や周りの住宅街を舞台に拳銃を撃ちまくり、追跡し、コロ(犬)と対決する4人。その活躍を、テレビ番組のパロディや、アメリカ映画の名場面のパクリや、MTVのノリで、ダイナミックかつ荒唐無稽に描いた。映画の枠に一切捕われず、飛躍し続ける映像は正に“10年先を行く映画”。

1986年/8ミリ/カラー/39分 英題:COROMADA II
監督・脚本・撮影:Mr.J(鈴木尊士、北村太志、大場弘司)
出演:北村太志、大場弘司、鈴木尊士、保坂聖一、鎌賀公郎、高塚耕一

『ついのすみか』

監督:井川耕一郎

姉が失踪し、残された男と夜毎逢瀬を重ねる妹。両親が出かけて帰ってこない夜の台所で2人は、何をするともなく虚ろな会話を交わす。あさりを食わせろと言う男。私の体の中、砂だらけとつぶやき、軟体動物のように台所の床をはう女。砂をぬぐってと言われ、女の首筋をふいてやる男。カメラは2人の表情と流しのあさりにぐっと寄ったまま、砂をめぐるとりとめのない会話が呟かれ続ける。その熱っぽい、ざらざらとした感触が全身にゾクゾクと伝わる濃密な映画空間。凝視するカメラが捉える、女の髪、首、唇、舌、しぐさ、そして声のなまめかしさは、強烈なエロスとして見る者に迫ってくる。作者ならではの官能の世界が透徹された完成度の高い作品。

1986年/8ミリ/カラー/35分 英題:A STRANGE AFFAIR
監督・制作・脚本:井川耕一郎
撮影:福本 淳、井川耕一郎 録音:山岡隆資
出演:北沢典子、飯塚裕之、荻原かおる

劇場公開
海外映画祭
1987年 トリノ国際映画祭 (イタリア)
1988年 ブリュッセル・スーパー8&ビデオ・フェスティバル (ベルギー)

『虎』

監督:藤田秀幸(現・藤田容介)

自分の才能に限界を感じ、全然文章が書けなくなった小説家。彼は編集者にリンチを受け、動物園の飼育係に虎が逃げたと驚かされ、文学少女から罵詈雑言を浴び、終いには本当に虎に襲われる。そんなバカバカしくも悲惨な話を、リアリズムから遠く離れ、極端にデフォルメされた演技と、イマジネーション豊かな映像の積み重ねによって、ユニークな不条理喜劇として作り上げた。特に、同じ被写体をアングルやサイズを変えて何度も何度も重ねる力強いカッティングは独得の表現を生み出し、ロケーションの秀逸さと相まって、見事に計算された虚構空間を現出している。音楽の使い方も現代的センスに溢れ、コンビナートのシーンの音楽とのマッチングは絶品。

1986年/8ミリ/カラー/90分 英題:A TERRIBLE TIGER
監督・脚本・撮影:藤田秀幸
制作:関口太郎 助監督:三井達士
出演:相沢英成、鳥居竜也、くり抜太、樋口敦子、木内佳香

劇場公開
海外映画祭
1987年 トリノ国際映画祭
最優秀8ミリ映画賞
(イタリア)

『hi-lite』

監督:墨岡雅聡

ショート・ショート作品集とでも言おうか、32分の中に短いエピソード、ギャグが10数本も散りばめられた一篇。ゲラゲラ笑えるものから、ウーンと考え込んでしまうものまで、全篇が都会的なユーモアのセンスで貫かれ、特に後半の“23歳のなった僕の右手と左足と後頭部”のエピソードは、機関銃のように発せられるウィットの利いたモノローグとそれに合わせてリズミカルに展開する映像が見事にシンクロし、軽いけれどしなやかな“23歳の僕”の存在論を雄弁に語って小気味良い。多くは、学生である作者の日常の中のちょっとしたおかしさをデフォルメしたギャグから成り、登場人物のキャラクターのユニークさからも、多くの人に愛される作品になっている。

1986年/8ミリ/カラー/32分 英題:hi-lite
監督・脚本:墨岡雅聡
制作:岐部俊夫、山本康晴 撮影:田中 徹、山本康晴 編集:山本康晴、墨岡雅聡
出演:墨岡雅聡、山本康晴、長沼秀幸、島田一久

『Bye-Bye、メール』

監督:上原昌子

僅か4カットから成る掌編で、女性作家らしい繊細でリリカルな感性が4分の間に見る者に心地よく浸透してくる。小雨の降る春の日、作者はカメラを持って海岸にやってくる。2人の友人に被写体になってもらい、雨にぬれた地面に腹ばいになって、ローアングルで2人が道を歩いてゆくのをゆっくりとズームインしながら追い続ける。そのカットから、8ミリを撮ったことのある者なら誰でも記憶にある、冷たい地面の感触が蘇り、いつの間にか作者と一緒にファインダーを覗いている自分に気がつく。ぎこちなく自信なげにカメラを向けた風景のスケッチとシャイなナレーションによってさりげなく綴られた映像日記。

1986年/8ミリ/カラー/4分 英題:Bye-Bye,Mail
監督・制作・撮影:上原昌子
出演:中村小次郎、東 尚子

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