北新宿の切れた指先

監督:西沢正智

北新宿のボロアパートの一室。そこに生息する作者がカメラに向かい、ひとりで繰り広げるパフォーマンス。自分の顔を写す。わざと包丁で切った指を写す。窓の外に視線を向け、建物の隅に捨てられたプレーヤーを見つめ続ける。コーラの1.5リットル瓶に水を入れ、一気に飲もうとする。作者は一言も語らず、暗い部屋はカメラの駆動音だけに包まれ、孤立した時間を失った不気味な空間となってゆく。何度も一気飲みに挑戦し、遂に1.5リットルを飲み干してしまう、ほとんど狂気に近い無意味な行為を目の当たりにするラストは、背筋が凍りつくほどの恐怖を覚える。我々の日常の中に潜む恐怖の本質を、作者の強烈な意志と痛々しいまでの演技によって見せきった個人映画。

  • 1986年/35分/カラー/8mm 英題:A CUT FINGER AT KITA-SHINJUKU
  • 監督・制作・脚本・撮影:西沢正智
  • 出演:西沢正智