監督:藤田秀幸(現・藤田容介)

自分の才能に限界を感じ、全然文章が書けなくなった小説家。彼は編集者にリンチを受け、動物園の飼育係に虎が逃げたと驚かされ、文学少女から罵詈雑言を浴び、終いには本当に虎に襲われる。そんなバカバカしくも悲惨な話を、リアリズムから遠く離れ、極端にデフォルメされた演技と、イマジネーション豊かな映像の積み重ねによって、ユニークな不条理喜劇として作り上げた。特に、同じ被写体をアングルやサイズを変えて何度も何度も重ねる力強いカッティングは独得の表現を生み出し、ロケーションの秀逸さと相まって、見事に計算された虚構空間を現出している。音楽の使い方も現代的センスに溢れ、コンビナートのシーンの音楽とのマッチングは絶品。

  • 1986年/19分/カラー/8mm 英題:A TERRIBLE TIGER
  • 監督・脚本・撮影:藤田秀幸
  • 制作:関口太郎 助監督:三井達士
  • 出演:相沢英成、鳥居竜也、くり抜太、樋口敦子、木内佳香

海外映画祭

1987年 トリノ国際映画祭 最優秀8ミリ映画賞 イタリア