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PFFディレクターBLOGRSS

2017/12/15 20:03:20

ベスト10は選べない

日々は変わらず続き、多くの商店が通常営業する現在の正月なのに、年末のこの<時間がない!>という焦りはどこから?・・・・渋谷を歩きながらふとおもいました。
それは、まあ、私たちが今週末16日から22日まで夜のイヴェントを置いてしまったからでもあるのですが・・・忘年会シーズンに「忘年会」と名付けたイヴェント(PFF大忘年会)も、困ったものです。お酒出ませんのに~、と自分で自分に突っ込みです。

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「PFF大忘年会」

会場は「テアトル新宿」。過去にはここでのオールナイトイヴェントがきっかけで、世界巡回プログラム「8ミリ・マッドネス!!」が生まれたという、感慨深いPFFと東京テアトルとの共同企画ですが、今年の新挑戦は、オールナイトで二度のトークという<深夜地獄>と、レイトショー枠をいただいての、PFFアワード2017入選監督<上映立案・進行&宣伝チャレンジ>です。各監督がそれぞれ工夫した告知やゲストの招待を行う、自主的な夜を展開します。
とはいえ、20日と22日はPFFアワード2017入選監督不在の、PFFオリジナル企画。映画の上映だけを行う静かな夜です。

今回は、初めての試みが続く一週間。例えば秋のPFFで大好評だった「ワンピース・チャレンジ」のずらっと監督集合時は、モルモット吉田さんがワンピースの秘密を根掘り葉掘り聞きだすトーク進行をしてくださいます。日曜からのレイトショーでPFFアワード2017監督が自主企画したトークゲストもそれぞれ個性的で、意外な組み合わせににんまりしたりしています。

ん?・・・いきなり宣伝か!
いえいえ、それだけではありません。

年末と言えば、映画賞の発表が続いていきます。
洋邦それぞれ500本といっても大袈裟ではない公開映画のなかからベスト10を選ぶって、不可能という言葉がふさわしい現実ですが、増加する個人的未読本の山にある柳下毅一郎さんの「皆殺し映画通信」シリーズをやっと読んで、偉い人もいるものだと、感服しました。映画の記録が追い付かない、そんな現状に、未来への貴重な資料になっていく労作です。映画を観るとき何をみるのか?仕事であっても途方にくれる数。けれどもこの秋は、久方ぶりに映画を見る時間を最優先してみました。PFF直後に参加した山形国際ドキュメンタリー映画祭でリズムができたこともあり、釜山、高雄、東京、東京フィルメックスらの映画祭参加で二度と観るチャンスがないかもしれない映画に出会い、新文芸坐での山田五十鈴特集で映画がタイムマシーン(撮影中に映り込む風景は貴重な記録映像です)だということを改めて実感し、蒲田東宝という<映画館>でタイムスリップし、など、時間のやりくりを映画にあわせたこの数か月でした。そして小林勇貴監督の新作『ヘドローバ』に胸を突かれたのが先夜のできごと。iPhoneでの撮影、完璧ですね。スクリーン映えもばっちり。小林さんの成長にもしみじみと感動しました。(*小林さんは2014年に『Super Tandem』で入選されているのです)

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PFFアワード2014入選『Super Tandem』(小林勇貴監督)

かつてないスピードで"映画"というもののイメージが世代、体験によって拡がっていくことをますます痛感しています。映画って、もうすでに、人によって指してるものが全然違う、多分。そしてそれは、とても自由で楽しい気分を運んでくれます。
自主映画が、映画の新たな地平をみせてくれるときに、これまで何度か遭遇してきました。それは、単純にいえば「つくりたいものを全力でつくっている」ときに生まれる力。これから、もっとそんな映画に出会えるという嬉しい予感とともに、今年は、前述のテアトル新宿イヴェント、PFFアワード2018公募、ベルリン国際映画祭など海外映画祭への出品、PFFスカラシップ新作『サイモン&タダタカシ』公開宣伝をかたちにしながら暮れる予定です。

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第24回PFFスカラシップ作品 『サイモン&タダタカシ』(小田学監督)

一方で、あるまとまった時間を拘束される<映画を観る>という行為は、現代のライフスタイルでは非常に異質、あるいは贅沢な体験となることも改めて実感です。慣れないと居心地の悪い時間になり、はまると、周りにどんなに人がいても、ひとりを楽しめる時間にもなる。
<慣れる>ために映画祭を活用してほしいなあと改めて思いました。
そして、映画が変われば映画祭も変わる。
来年は40回を迎えるPFFがどうなるのか、我ながら楽しみです。

あ、山田五十鈴さんの特集は、映画史を一気にみるという意味でも、芸道を味わうという意味でも、日本の政治意識の変遷を一気に知るという意味でも、戦争の暴力を実感する意味でも、いろいろと目を開かれました。フィルムでしか残っていない貴重な作品が満載で、新文芸坐に感謝感謝です。そして、あの時代にフリーランス(五社協定や俳優の専属契約のあった時代ですから現在の意味とはちょっと違います)で活動する優れた俳優の歴史を追うことのすばらしさをしみじみと実感したのです。そして、東京の映画環境の恵まれていることも・・・
今回の山田五十鈴特集では、『現代人』がフランス語字幕プリントだったことに驚きました。もしかして、日本にはもうプリントがないのか?DVD未発売がほんとうに残念無念な超傑作です。

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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