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PFFディレクターBLOGRSS

2017/04/30 16:41:47

福岡からお久しぶりです。

年明けからロッテルダム、ベルリン、高雄、香港などの海外映画祭や特集と、現在開催中のPFFin福岡はじめ国内出張などでホテル滞在が50日以上続いたためか、外食率が高すぎるためか、運動不足のためか、珍しく発熱して喉にダメージが来て、福岡で声が出なくなってしまいました。
驚愕。
気分は北島マヤ~とひとりで盛り上がってますが、いかんです。
ともかく、ホテル暮らしは"ほどほど"がいいなと再認識。
そのうえ、不在中にますます映画館での映画祭企画や特集企画が多彩化多様化して、「映画祭行くより東京にいるほうがいろいろ体験できるのかも?」状態です。
例えば、終了してしまいましたが、これ。
香港特集なのに、まさに香港国際映画祭滞在にかぶってしまって行けず、心から残念な限り。

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日本・香港インディペンデント映画祭

どうしてもやりたい!という熱意の伝わる企画が映画館でサクサクと起きる東京はちょっと他の都市とは違うかも。と近年増々感じさせられると同時に、「映画祭」って何?
という自らの仕事に対する課題も更新され続けます。

映画祭ならではの企画って、何でしょうか?
例えば、どうしてもコンペ作品や自国映画の報道が中心になってしまう世界三大映画祭ですが、ベルリンでは、レトロスペクティブ企画をいつも楽しみにしています。
「あー!こんな企画をやれる予算や月日がほしい」と羨望する企画が定期的に出現します。本年も、できれば全部観たかったこの企画。

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RETROSPECTIVE 2017:"FUTURE IMPERFECT. SCIENCE · FICTION · FILM"

あるいは、ある監督や俳優、または技術者に焦点を当てる特集も、各映画祭が毎回展開していますが、東京では新文芸坐、シネマヴェーラ、神保町シアター、ラピュタ阿佐ヶ谷はじめ、映画館で常に企画が複数進行しています。
驚きの映画天国東京をしみじみと痛感します。

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神保町シアターで開催中の「映画監督・成瀬巳喜男 初期傑作選」

PFFは、国際映画祭より規模はぐっと小さいですし、趣旨や活動もかなり独特なため、運営している私たちにとっても、いわゆる「映画祭」では括れないところがあるのですが、それでもカテゴリーは「映画祭」です。名前もそうですし。映画祭でしかできない企画に対する煩悶は、これからも続くなあと熱でどよりんとした頭で今年の招待作品企画を構築中です。
そんななか、イメージフォーラム・フェスティバルが始まりましたね。
ちょうど、自主映画監督たちにはお馴染みの、ベルリン国際映画祭フォーラム部門ディレクターのクリストフ・テルへヒテさんが来日されておりまして(今年はベルリンの会期中にインフルエンザでダウンして殆ど誰にも会えなかったことを詫びておられます)明日1日にイメージフォーラムで海外の映画祭に映画を出すことについて講義をするプログラムがあります。
翌2日は、クリストフさんのパートナーで、いろいろな映画祭のプログラミングを担当しているラシャさんが、特に専門にしている実験的なドキュメンタリーのフランスとの共同制作のことなど含め、講義が設けられています。
映画祭のプログラマーは、複数の映画祭を担当している人が多い。一種、小さな世界です。ですので、そんな人たちの話を直に聞けるこのチャンス、活用することをおすすめします。

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イメージフォーラム・フェスティバル2017

ところで、福岡にいると、この商業都市が独特のポジションを持ってるなあとしみじみします。人口増加率日本一の景気のいい街。行政は熊本、商業は福岡と別れている九州の歴史が、この街を生んでいるのではないかと思ったりします。
同時に、ここに来るたびに、東京の異様さを感じます。あらゆる機能がこれだけ集中した首都は、他にないでしょう。
文化庁の京都移転計画があるのなら、行政機能の福島移転計画をやればいいのにといつも思います。そうすれば、復興大臣いらなくなりませんか?たとえば、文化は京都、行政は福島、そして、産業は大阪、福祉は北海道とか?復興とか再生とかのスローガンを挙げて中央集権で動かすより、政治家や官僚が分散移住することで多くの人口変動が生まれ、教育制度が変わり、経済構造がかわって、一気に「さようなら20世紀までの価値観!」が達成され、多分30年後には日本の姿がかわるのではないでしょうか。
と、いつのまにか強制になり、いつのまにか値上がりし続ける国民年金の請求書や、定期検診を受けないと国民健康保険が使えなくなる可能性があるという脅し文書や、各地の文化施設や大学の驚愕の指定管理業者入札制度による経費削減と人員削減と同時に行われる、過去の先輩たちと同じ天下り余生のためのポジションの増加をみるにつけ、どこまでも豊かになることが目標だった20世紀よさようなら!が日本の急務ではないかと改めて思うのでした。
例えば、映画「人生フルーツ」、書籍「一汁一菜でよいという提案」の大ヒットをみていると、国民間での価値観のかい離がどれだけ大きいのかとしみじみします。*余談ですが、「人生フルーツ」と並んで「TOMORROW パーマネントライフを探して」もいいですよ~!女優のメラニー・ロランの企画なのですが、数年前にモロッコの映画祭でみかけたメラニー・ロラン(審査員で参加しておられました)の、毛玉の浮いたださいセーターで子供と遊んでいる自然でチャーミングな佇まいに感動して見に行きましたら、やっぱりチャーミングな映画でした!家の前とか街の空き地に「食べられる」植物を植えよう運動している街とか、自給自足を目指す過疎地とか、世界中の楽しい挑戦で満載です。是非!

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「人生フルーツ」
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「TOMORROW パーマネントライフを探して」

はたまた話は変わって、昨年の公開映画で、今も頻繁に思い出されるのが、「ヒメアノ~ル」
原作を途中まで読んで映画をみてしまい、漫画を最後まで読むに至っていませんが、「いじめ」の強烈なイメージが何度も蘇るのです。つまり、「いじめる人間は、いじめられる人間より多い」という恐ろしい事実です。

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「ヒメアノ~ル」

昨年、仕事でNYにいったときに、帰国のパスポートコントロールで、日本人の身なりにそれなりのお金をかけた中年男性3名が、パスポートコントロールの列を整理している黒人女性職員をみながら、ずっと「ほら、●●君、君の嫌いな黒人女がここにもいるよ」「●●さんだって黒人女嫌いじゃないですか」「あ、またあそこにも黒人女だ」と、延々と「黒人女が嫌い」というだけを言い続けている姿に、日本の無意識のいじめをみせられて、めまいがしました。
いじめ意識だけで結ばれた仲間意識を、延々とティーンネイジャーから初老まで継続している日本人、想像以上に多いのではないかと思わされる事象に、パスポートコントロールなど、複数で待たされている日本人の行動で遭遇すること、珍しくありません。いじめをいじめと意識しないまま、大人になっても同じ行動をしているいじめ社会であることを認識すれば、いじめはなくなるんではないかなあ・・・

そんなこんなつれつれぼんやり思いながら、福岡開催で第38回PFFを終了し、いよいよ第39回開催準備開始です。
9月16日から29日、東京国立近代美術館フィルムセンターにて。
是非スケジュールチェックください!

プロフィール

PFFディレクター
荒木啓子 Keiko Araki

雑誌編集、イベント企画、劇場映画やTVドラマの製作・宣伝などの仕事を経て、1990年より映画祭に携わる。1992年、PFFディレクターに就任。PFF全国開催への拡大や、PFFスカラシップのレギュラー化、海外への自主製作映画の紹介に尽力。国内外で映画による交流を図っている。

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